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捕獲ファーストチャレンジ

うちの辺りは毎冬、一度か二度は雪が降り、時にはうっすら積もったりすることもある。その日、天気予報では午後から降り始め、夜は吹雪くかもしれないと言っていて、ノラミが心配でならなかった。予報通りに暴風と共に雪が舞い始めたので、せめて段ボールハウスを使ってくれたらと思うのに、そういう日に限ってノラミは来ない。

(翌朝のベランダ。猫、寒くないのか…と心配しているかどうかは分からない犬)

この風雪の中を何処で過ごしているのか。暖かい場所でやり過ごせているのだろうか。やきもきしている内に夜になってしまった。真っ暗な外を見て心配していると「ニャア」と鳴く声が聞こえる。
ノラミだ!急いで外へ飛び出すと、吹雪に晒されるノラミの姿があった。慌てて用意していたご飯で、屋根のある場所へ誘導し、そこで食べさせた。がつがつたべるノラミに雪が当たらないように傘で防いでやっていたが、とにかく寒いしこのまま外にいさせるのが心配でならなかった。
今夜だけでも家の中へ入れてやるべきじゃないか。犬はとりあえず、二階から出られないようにして、一階の玄関辺りで過ごさせてやれば。段ボールハウスを玄関に置いたら入ってくれるのではないか。
しかし、ノラミをどうやって家の中へ入れたらいいのか。

犬なら触り方も分かるし、方法も思いつくけど、猫なんて。Tの猫さんを触らせて貰った時も、猫が余りに柔らかくて小さいのに戸惑い、どう扱えばいいかさっぱり分からなかった。
大好物となったチュールを持ち、玄関を開けて呼び込もうとしてもご飯でお腹がいっぱいになっているせいか、入ってくれない。犬は二階へ上げていたが、臭いもするのだろう。ものすごく警戒して外から見ているだけだ。
これではらちが明かないと考えた結果、私が思いついたのは後ろからバスタオルでくるんで捕獲しようという作戦だった。

ここで、猫をお飼いの皆様は「マジで?」と驚かれたかと思いますが、ひとまず続きを。

クマにチュールを持たせ、ノラミの気を引かせて、私が後ろから近づき、タオルでくるんで抱きかかえてしまおう。猫は小さいし、抱き上げるのは簡単だ。それを素早く家の中へ入れてしまえばいい。
そう考え、作戦を決行した。

そして、失敗した。

今となっては猫相手にそれは無謀だと分かるが、あの時は分からなかったのだ。それにとにかくノラミに暖かい場所で過ごして欲しくて必死だった。結果、背後からバスタオルを被せられたノラミは驚き、それでも懸命に抱えようとした私の唇を鋭い爪で引き裂き、吹雪の中を逃げていった…。

私の唇には今でもその傷が残っている…。

#猫 #日記 #エッセイ

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