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エッセイ | 冷房が苦手だと気づく

私の部屋にあるエアコンはいつも28℃の設定で稼働している。暑がりの私にとってはこの温度がちょうどいい。以前はもっと低い温度設定にしていたこともあったのだが、知らず知らずのうちに体調が悪くなっていたのでやめたのだ。

体調が悪くなったのが冷房のせいだと当初は気付かなかった。その年の夏は25℃に運転温度を設定し、部屋はキンキンに冷えてホットコーヒーをいれてもすぐに冷めるほどだった。

職場や外出先も冷房の設定温度が低かったため、何かを羽織って過ごすこともあった。夏なのに暖を求めるとは愚かな行為をしていた。


体調の変化に気付いたのは視界がクラクラし始めたからだった。自分の意識はしっかりしているし、乗り物やお酒で酔っているわけでもない。それなのにクラクラする。とても気持ち悪い症状だった。

困った私はかかりつけの病院へ行ってみた。とんでもない病気にかかっていたらどうしようかと想像していたが、結局その日は病名や原因は分からなかった。

医師も不思議そうにしていたが、診察の最後に「念のため」と言われたことがあった。

「念のため、自分で冷房の温度設定ができる場所では今よりも1℃高めに設定してください」

私は不思議に思い理由を尋ねると、「磯森さんはもしかしたら冷房が苦手なのかもしれません」と言われた。

まさか、そんなわけがないだろう。私は冷房を溺愛しているのだが?


医師に言われたからには試してみるほかない。とりあえず、家にいる時は温度を1℃高く設定してみた。はじめのうちは物足りない気がしていたが、慣れるとこの温度も悪くない。体が無理をしていない感じがする。

夜眠る時は日中よりもさらに温度を1℃上げた。朝までずっとつけているため、冷えすぎないように配慮してみた。

この生活をしていくうちにクラクラする不調は無くなった。こうして私は「冷房が苦手」の称号を手にいれたのだ。


このような経緯があり、私の部屋のエアコンは28℃設定で今も動いている。最近は夜も28℃で動いているが、朝の4時には運転が止まるようにしており、朝は「少し暑くなってきたな」と思いながら目が覚める。

冷房が苦手な人は暑いのが得意なわけではないし、暑いのが嫌いな人は冷房が得意なわけでもない。

熱中症にならないようにと考えて寒すぎる環境を作り出してしまうと、今度は冷房によって体調を崩してしまうかもしれない。なんとも夏は難しい季節だ。



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