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おいたま食堂多摩川支店です

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ご近所や祖父母、両親。見聞きした昭和的暮らしとお料理のレシピエッセイ。山形県置賜(おいたま)地方の伝統を、器用な母から不器用な娘へ。受け継がれるはずが失敗したり忘れたり。日々のご…
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#山形県

ちっちゃな尾頭付き。ひっくり返して運を開く『むくり鮒』



(この記事は東北を深掘りする日刊webマガジン『まいにち・みちこ』に2019年1月30日に掲載されたものです)

12月から山形県置賜地方の『げん担ぎ』郷土料理を紹介しているが、今回は少々レアな料理のご紹介。
県外の方にはほとんど知られていないかもしれない。
「むくり鮒(むくりぶな)」という魚料理である。
山形県の内陸部は海から遠く、低温輸送が発達していなかった頃は、乾物や塩漬けの魚がよく食卓

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【レシピ付】まめで元気に健康に子孫繁栄。数の子と合わせて金運もアップ!?



(この記事は東北を深掘りする日刊webマガジン『まいにち・みちこ』に2018年12月28日に掲載されたものです)

子供のころ、「かど」という焼き魚が好きだった。

我が家は織物職人の工房で三世帯同居で、幼い頃からおともだちの家より頻繁に、お年寄りメニューが食卓に上った。その結果兄と私は、ハンバーグやスパゲティーより焼き魚やお刺身が好きな子供として育った。
なかでも大きなニシンを一匹のまま姿焼

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宮古島から山形県へ。ミネラル・ビタミン戦士『元気菜』

宮古島から山形県へ。ミネラル・ビタミン戦士『元気菜』

(この記事は東北を深掘りする日刊webマガジン『まいにち・みちこ』に2018年12月11日に掲載されたものです)

「何かいっか? 米はまだ買ってねベ? 白菜と餅は段ボールさ入れたけんど」
山形県長井市の両親は、こんな電話と共によく食べ物を送ってくれる。
私が東京の大学に進学してからだから、かれこれ30年以上。
子供が生まれた当初など、買い物にも行きにくいだろうと、月に二回のペースで送ってくれた時

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故郷長井市周りだけ? まさかまさかのご当地食材、甘いつけ揚げ

故郷長井市周りだけ? まさかまさかのご当地食材、甘いつけ揚げ

(この記事は東北を深掘りする日刊webマガジン『まいにち・みちこ』に2018年12月6日に掲載されたものです)

自分にとってすっかりおなじみ、これは全国標準に決まっていると思い込んでいたものが、山形県民にはある。
その一つが数字記号の①、②だ。
テレビ番組で知られるようになったが、山形県民はこれを「いちまる」「にまる」と読む。そして以下「さんまる」「よんまる」と続く。⑦は「しちまる」ではなく「な

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【レシピ付】冬間近ですよ大急ぎ・秋の晴れ間に芋煮会

【レシピ付】冬間近ですよ大急ぎ・秋の晴れ間に芋煮会

(この記事は東北を深掘りする日刊webマガジン「まいにち・みちこ」様に2018年秋に掲載されたものです)

山形出身者の心身にしみ込んだソウルフード。それは玉こんと「芋煮」
細胞からDNAレベルと言っても過言ではないわけで、それは大げさな表現ではありません。
特に最上川沿いにの者にとっては、秋は芋煮を思い出して河原に行きたくなる季節なのですよ。
筆者は現在、東京の多摩川という、神奈川県との県境の川

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【レシピ付】暑さで食欲がないときもおすすめ。夏野菜の栄養もしっかり採れる山形の「だし」

【レシピ付】暑さで食欲がないときもおすすめ。夏野菜の栄養もしっかり採れる山形の「だし」



(この文章は東北を深掘りするwebマガジン「まいにち・みちこ」様に2018年盛夏に掲載されたものです)

暑い。あつい。この言葉しか出てこない。夏の季語は数々あれど「あつい」ではダメなのだろうか。
こんな駄考えが頭をぐるぐるするくらい、今年はとみに暑い。
長らく『日本の最高気温』トップを維持してきた山形県だが、他の都市に抜かれて久しい。
そして今年7月23日、埼玉県熊谷市で観測史上最高の41,

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【レシピ付】ビタミンC補充・爽やかスモモのルビージェリー

【レシピ付】ビタミンC補充・爽やかスモモのルビージェリー

子供のころ、庭に二本の果樹があった。

祖父が孫の誕生を喜び記念に植えたもので、初孫である兄の誕生の樹はスモモ、私の樹はリンゴだった。
ご近所には同様に、子供が生まれた記念に植えられた果樹が多かったように思う。
モモやアンズ、柿、サクランボ。
もちろん専門の果樹農家ではない一般人の、しかも庭先の事。
丁寧な剪定や摘果などしないので、花は美しく咲いても、八百屋で売られているような大きく甘い、立派な実

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【レシピ付】赤の果実と白・水切りヨーグルトとサクランボのデザート

【レシピ付】赤の果実と白・水切りヨーグルトとサクランボのデザート



ありがたい事に、今年も山形の実家からさくらんぼが送られてきた。
郷里・長井市のあやめ祭りと前後する季節、いつもたくさんの野菜や、季節の銘菓「あやめ団子」そしてこのサクランボが、冷蔵の宅配便で送られてくる。
それは大学を卒業し、郷里に帰らず東京で就職し、こちらで結婚し家庭を持ってもずっと変わらず、毎年20年以上も続けてくれる、ありがたい季節の便りだ。
こんなものも送ってやりたい、これは孫に食べさ

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