#32 世界への入り口
人物、バンド名等説明
・ ゼン:当時シアトルに住んでいて、俺たちを泊めてくれた女性。後にイギリス・ブリストルへ移住。
#32 世界への入り口
前日のパーティーでは、ものすごくいろんな場所を飲み歩いた。危うくはぐれそうになるなどアクシデントもあったが、帰ってもまだパーティーで、アメリカ人のパーティー好きを嫌というほど知るツアーでもあった。
そしてもうひとつ知ったのは、アメリカ人のピザ好きだ。なぜここまでピザが好きなのかというほど、よくピザを食べる。何かと言えばピザで、ほぼ毎日ピザを食っていた。
そのせいかどうかはわからないが、アメリカツアー最終日のシアトルのライブ会場はピザ屋だった。出演者はピザがタダで食えるので助かるが、もう人生5回分ぐらいのピザを食べている。しかし食うものがピザしかない。多分俺たちは、このままアメリカにいたらピザそのものになっていただろうというぐらい、ピザピザピザの日々だった。
そしてこの日は、東海岸のプロヴィデンスやフィラデルフィアで運転してくれたベンがいる、DROP DEADも出演する。久々のベンとの再会を喜び、アメリカ最後のライブの準備をする。会場にはまたもやたくさんの人で、やはり俺たちのような日本のHARD COREを心から待っている人たちが多いことに感動する。
アメリカのどの土地でも必ず、日本のHARD COREが大好きな人間がいた。ここまでアメリカに日本のHARD COREが浸透したのは、GISM、THE EXECUTEなどが参加したワールドコンピレーションアルバム「P.E.A.C.E」の影響が大きいが、草の根的にアメリカに日本のHARD COREを紹介してくれた、アナーバーでも同行したウェッジの功績が大きい。TRAGEDYのメンバーの日本バンドの詳しさには驚くばかりだし、持っている日本のHARD COREバンドのレコードコレクションは、驚愕に値する量だった。
30年以上に渡るバンド活動とモヒカンの髪型も今年で35年目。音楽での表現以外に、日本や海外、様々な場所での演奏経験や、10代から社会をドロップアウトした視点の文章を雑誌やWEBで執筆中。興味があれば是非サポートを!