バツイチ子なしとバツイチ子持ちが付き合えない理由
つい先日の同僚との会話。
同僚:「そういえばさ、昔一緒に働いていた〇〇さんって覚えてる?」
わたし:「あー、はい。もちろん覚えてますよ」
同僚:「枝豆さんと会いたいって言ってるんだけど一緒に飲まない?離婚して、奥さんに子どももとられて、さみしいらしい」
「バツイチはモテる」は間違いなく都市伝説だが、ありがたいことにバツイチを理由に出会いの場に駆り出されることはある。
でもバツイチ同士なら付き合いやすいなんて誰が決めたんだろう?
むしろあんまり相性良くない気がするなぁ。
どうにもわたし、バツイチ子持ちの人と付き合うと始まる、終わりのない孤独に勝てる自信がない。
バツイチはモテるはウソ?ホント?
「バツイチはモテる」と言われることがある。
離婚した直後は、たしかにその解放感から人が集まる場所にたくさん出かけた。出会いが増えるのは本当だ。
でも、出会いが増えた記憶はあっても、モテた記憶はない。
バツイチはモテるという論調は、単純に出会いの場にいるバツイチが増えたからだろう。
実際に世の中の結婚の4件に1件が再婚なのを考えると、バツイチを避けて通るほうが難しい。
厚生労働省の「婚姻件数・構成割合の年次推移」によると、1990年から2021年の約30年で婚姻件数は2万件減少し、夫妻とも初婚の割合は7%も減少しているが、一方で、どちらかOR両方が再婚の割合は8%増えている。
さらに離婚後5年以内に再婚をした割合をみてみると、男女ともに約3割。
結婚も離婚もどんどんカジュアルになっていく。
バツイチ子なしとバツイチ子持ちの違い
わたしには子どもがいない。
離婚歴は1.5回あるが、大して揉めることなく穏便に離婚した。
養育費がどーだとか、財産分与がどーだとか、複雑な大人の事情が絡むどろどろの離婚は経験したことがない。
離婚で大きなダメージを負っている友人の顔を思い浮かべると、そのほとんどがバツイチ子持ち。
子どもがいる離婚は、すごい。
詳しい事情は聞くのが怖くてなかなか聞けないが、「もう一生、自分の子どもに会えない」と嘆く男性がたくさんいるところをみると、なかなかにどろどろだ。
***
以前、飲み友達だったバツイチ子持ちの人に「付き合おう」と言われたことがある。
別に悪い人ではなかったけど、好きにはなれず、断った。
その人も別れた奥さんの元に子どもがいるが、かんたんには会わせてもらえない人だった。
結局、好きになれなかった。
「この人には、子どもがいるんだよなぁ」
バツイチ子なしのわたしには、子どもがいる感覚にリアリティがない。
だから、盛大な誤解をしている可能性も多いにある。
でも、やっぱり
「この人には、帰れる場所(=子ども)があるんだよなぁ」
と思ってしまう。
どんなに離れていてもちゃんと未来につながる命綱がついているんだよなぁと。
大きな崖から二人で飛び降りたとして、わたしは即死。
でも彼は、おそらくどこかにロープが引っかかって、子どもと仏頂面の元奥さんに助けてもらうんだろうなぁと。
うっすら彼から香る家族のにおいに、わたしは耐えられる気がしない。
バツイチ子なしとバツイチ子持ちが付き合えない理由
わたしのおじいちゃんの弟が、60歳をすぎて再婚した。
お相手のおばちゃんも離婚歴があり、離婚した者同士。職場結婚だったらしい。
おばちゃんは沖縄から来た人で、いつもにこにこしていた。たまに遊びに行くと、お菓子をくれていっしょにおしゃべりをした。
ある日、おじちゃんとおばちゃんの家に遊びに行くと、おばちゃんがいなかった。
「あれ?おばちゃんいないの?」
「沖縄に帰ってるんだ」
おじちゃんは言った。その言葉を聞いて、わたしはハッとした。
おばちゃんには、この家以外に帰るところがある。衝撃だった。
聞くと、おばあちゃんには沖縄に住んでいるお子さんがいて、仲はあまりよくないけど、たまに帰るらしい。
***
子どもがいない離婚の場合、どんなに想像してもたまに帰る場所はない。
仲が悪い子どもなんて、この世のどこを探してもわたしにはいない。
まだ子供だったわたしは、帰る場所がある人と平気な顔をして一緒に暮らすおじちゃんのことを勝手に心配していた。
70歳も過ぎれば、そんなことは大したことじゃないんだと思う。
でも、40歳を過ぎたわたしは、20歳の時となんにも変わっていない。
70歳を過ぎたおじちゃんだって、もしかしたらさみしかったかもしれない。
***
正直、子どもがいないことで、孤独を感じたことは1度もない。
でも、バツイチ子持ちの人と一緒にいることで、孤独を感じない自信がない。
70歳になって後悔しないかな。
相手が仲が悪い子どもに会いに行く日。笑って「いってらっしゃい」って言えるかな。
わたし、たぶん、言えない気がする。
この記事が参加している募集
だれかの明日の行動を変えたり、不安が減ったり、元気になるエッセイが書けるよう、日々精進しております。いただいたサポートは、活動費に使わせていただきます<(_ _)>