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保護者参加型授業を求める子供たち! 環境問題を「親子討論会」で!

前回の「ヒント帳」では、授業では、子供の発言の向こう側に、その子の保護者の生き方や考え方が立ち表れてくるのを感じるときがあると書いた。そしてそんなときは、話し合っているテーマに対する教師の立場が問われること、結果として保護者と対峙する「覚悟」が求められるのではないかということを述べた。

私は、こうした思いを繰り返し抱くことで、「それならば、保護者の方々に学校においでいただいて、子供と一緒に話し合う場を設定すれば、深まりのある学習が期待できるのではないか」と、考えるに至った。
「保護者参加型の授業」の構想である。

保護者参加型の授業とは

ところで、「保護者参加型の授業」といえば、そのやり方は三つに大別できるだろう。

一つ目は、例えば、算数などで子供の解答に対して「マル」を付けていただいたり、国語で音読を聞いていただいたりするようなタイプだ。授業参観時に行う方法である。学校の学習と保護者とをつなぐことを主なねらいとしたものと言えるだろう。
現在では、家庭で宿題の「マル」付けをしていただいたり、学校で学んだことの要約を聞いていただいたりすることが当たり前のように行われているが、「当時」は、事前に「赤ペン」を持ち物としてお願いしておいた保護者の所に、子供たちがノートや教科書を持って移動していく授業参観会の光景は、新鮮に見えたものだ。

二つ目は、「ゲストティーチャー」として保護者にお出でいただく方法だ。例えば、「昔の学校」や「昔の遊び」について講話をしていただき、子供が聞き取るという学習がよく行われる。

そして三つ目が、保護者に、子供たちの話合い=討論会に参加していただく方法である。子供は子供の立場で、保護者は保護者の立場で意見を述べ合い、「問題の解決」を目指すものである。

今回と次回の「ヒント帳」でお伝えするのは、この三つ目のタイプの保護者参加型の授業だ。

熱く調べる子供たち

今から20年以上前の実践である。
その頃、京都において国連気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)が開催されたことを契機に、少なくとも日本国内では、地球温暖化を始めとする環境問題についての関心が非常に高まっていた。
 
子供たちの危機意識も今とは比べ物にならないくらい高く、6年生の担任だった私は、総合的な学習の時間の先駆けとして、子供たちと環境問題についての学習を進めていた。

子供たちは、個人やグループで調査を行っていった。
図鑑類を使うだけでなく、自分たちが出すごみの量や電気製品の使用状況を調べることで日常生活を振り返ったり、掃除機を使って空気の汚れ具合を調べたりと、その調べ学習は熱を帯びていた。

ある日には、二人の女子が私のところへ来て、こう懇願する。
「今日、市役所の環境保全課に行って大気汚染について聞き取り調査をしてきたいから、みんなより少し早く帰してほしい」
「今日は、雨が強いから、明日にしたら」
と、私が言っても、
「どうしても今日行きたい」
との返事。
もちろん、
「気をつけて」
と、他の子が帰りの会をやっている間に送り出した。

「親子環境会議」と銘打った親子討論会は、そんな時代の流れと子供たちの前向きな学びへの姿勢を背景に開催された。
環境問題は、自分たち子供だけの問題ではなく、「大人」と一緒に考えなくては解決できないという思いを、子供たちが切実にもっていたからである。

会議=討論のテーマは、「人類は滅びるか」であった。

その様子は、次回にお伝えする。

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