見出し画像

韓国BL映画二作「SONNET 18」&「SMOKE」

あー、やっぱりだめだ。どんなに面白いドラマを見ていても、ふとちょっと重い韓国BLを観たくなる。ただ、今月になって一気に数本VIKIなどで配信が始まっている、あの1話15分ぐらいで最後に映画になる意味不明のシステムの新作にはイマイチ面白そうなのがない。特撮BLシーズン2もどうしようか。。。
ウィンタースポーツにも興味がない私、というわけで、ずっと避けていた30分以下の短編映画を物色。GagaOOLalaに最近追加された2019年制作の2本を視聴してみた。
(画像は全てGagaOOLala公式サイトより)

「SONNET 18」

主演:Lee Junkyung、Lee Kichang
2019年 27分(日本語字幕あり)
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★☆☆

作家志望と俳優志望の青年たちの物語

作家志望のソンミンはどこかの出版社に作品を持ち込むものの、ダメ出しされ、落ち込む。そして今度こそいいものを書こうと部屋に閉じこもるもが、まったく書けない。そんな彼を心配した俳優志望のチョンスは、インスピレーションを与えようと、マスクをつけて彼をディナーへと誘う。
彼が自由に書けるようになるためには、何が必要だったのか?

Shall I compare thee to a summer's day?

『君を夏の一日と比べてみようか』
本作のタイトル「ソネット」というのは、観終わってから調べるまで全く知らなかったのだが(大汗)、シェイクスピアの詩集で、この18番というのは最も有名なものらしい。彼自身が気に入っている美少年への想いを書いたものの一つらしい。そういうこともあってか、ここではチョンスが自分も舞台のために練習しながらも、この詩で友人ソンミンが自分のセクシュアリティにきちんと向き合うことができるよう、助けるのに使われている。

短編映画なので、二人の関係性も最初はわからなかったし、ソンミンは作家志望と書いたが、もしかしたら脚本家志望なのかもしれない。チョンスはあらすじに”俳優志望”とあったが、とにかく二人は友人同士だが、結局は惹かれあっている、でもソンミンはそれを認めたくない。自分へのカミングアウト、そしてそうすることによって、作品も自由に書くことができるようにと導いていくというストーリーであったと言える。

映画作品の構成としてはなんとなくイマイチな部分もあったけれど、劇中で流れるピアノ曲も良かったし、詩によって作品全体の雰囲気がとてもロマンチックなものになっているので、よしとしよう。
幸い日本語字幕もあったので、シェイクスピアの詩の部分は助かった!あれは英語字幕だったらちょっと厳しかったな。
主演の二人も可愛かったが、俳優としてはあまり活躍していないのか、日本語はもちろん、英語で検索してもどういう経歴なのかちょっとわからなかった。

シェイクスピアの詩はこちらの記事で、素敵な写真と共にお楽しみください。↓

こちらが予告編。


「SMOKE」

主演:Song Deok-ho、Yoo Jung Hee
2019年 23分(日本語字幕あり)
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★★☆

高校生の淡い恋物語

舞台は男子校、ジョンヒョンは同じクラスのジュンソクに惹かれている。休み時間に他の仲間とタバコを吸いにいくのだが、ついてきたジュンソクにもタバコを勧めてみる。しかし、ジュンソクはタバコの代わりに、なんとジョンヒョンの唇を奪ってしまう。
それ以来、二人は仲良くなるものの、クラスの仲間の間では噂になってしまうのだった。。。

やはり人目が気になるもの

ジョンヒョンはタバコ仲間で友人のミンジェに、二人の仲が噂になっていると指摘され、ジュンソクとの距離を取るようになってしまう。ちょっとタバコを吸ってみたりするものの、やはり”普通”の高校生でいたい、”ゲイ”の噂を立てられるのは耐えられない、そんなジョンヒョンの姿が、短い物語の中にもうまく映し出されていた。

タバコの煙はジュンソクとの親密さをもたらしたように、タバコ仲間との絆でもあった。しかし、ジョンヒョンの心の中にはモヤモヤしたものだけが残ってしまった、ジュンソク、仲間との関係も煙の如く消えてしまった、そんなシンボルとしても、煙がうまく使われていたいい作品であったのではないだろうか。

こちらは予告編。


この記事が参加している募集

映画感想文