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distance

月面の砂をすくって、水のかけらを探してみる。

手についた小さな粒子を、慈しむように宙へ払う。


有限の命を生きているのに、悲しみは尽きなくて。
ひたひたと過ぎていく時間の中で、本当にやりたいことは、他にあるのに。


遠くで消えた光を見つめるだけの今。
1つの青い花が枯れた音も聞こえたんだよ。


そこで待っててと言った君の帰りを、
もう、
何年も待ち続けている。


言葉を越えて届けば良いのにと、
ラジオのパーツを分解して。

愛するだけが全てじゃないのにと、
君の最後の写真を空に投げた。



月と地球との距離を測る遊びには、
もう飽きたから。



新しいイタリアンの店でも見つけに行こうか。

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