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第三次ジャポニズム到来(願望)

Shogunヤバい!面白れえ!時代劇ってちゃんとやるとホント美しいな。派手な殺陣シーンは殆ど無いのに、ひとつひとつの所作と心情を丁寧に描くだけで、その背景文化が鮮やかに浮かび上がってきます。日本語の響きも雅でメロディカル。それでいてちゃんとエロいしグロいし、異文化交流+ポリティクスの脚本もエンタメ度高い。能も茶道も夜這いも納豆も出てきますよ。

トム様のキラキラ系ラストサムライから20年、今や渡辺謙真田広之もすっかりハリウッド俳優ですな。モナークの帰国子女俳優達もいい仕事してます。澤井杏奈とかもうブレイク必至なのでは。男子諸君は穂志もえかに萌え狂ってるようですけど。かつて黒澤時代劇に熱狂したのはルーカスとかタランティーノみたいなオタク達でしたが、最近のキッズはゴーストオブツシマとか隻狼みたいなハイエンドゲームで教育されてます。制作側はもとよりオーディエンス側も、日本文化という難解マナーをオセンティックなまま受け止められる土壌が育ってきたんでしょうね。僕は1975年のオリジナル版Shogunは知らないんですが、ここロンドンでも年配の人に聞くと、本もドラマも当時大バズしてたっぽいですよ。半世紀を経て復活、まだ4話の段階ですが、再び旋風を巻き起こしそうな気配です。

それにしても、アカデミー賞のジブリとゴジラ、先日の鳥山明追悼と、ここ最近日本の風が吹いてる感ありますね。日本のコンテンツパワーについては僕もこれまで散々しつこく書いてきましたが、ようやく目に見える形でエンジンかかってきた感(ドヤ顔)。だいぶ前に「日本脱出のためには日本力を磨くしかない」的な事書きましたが、いよいよ日本も真のグローバル化を果たすのか。


アカデミー炎上案件

アカデミー賞といえば、今年の「授賞式でのアジア系差別」が話題になってました。動画見ましたが、なるほどなかなかしょっぱい感じですね。近年、選考委員に多様性を取り込み、LGBTや黒人差別の是正を頑張ってきたアカデミー賞。パラサイトが受賞したり、去年なんかはアジア系アメリカ人映画が席巻してて、エブエブが賞を総なめにしてました。で、その昨年の受賞俳優達が今年の受賞俳優に無視されるという体たらくを露呈。しかもロバートエマも、ヒロシマ絡みフェミ絡みの映画で受賞しておきながら、その授賞式でやらかしてしまうという、つくづく白人って学習しないというか、バカなんですかね。ポリコレ有志の面々が、次の救済ターゲットとしてアジア系に目をつけ始めてますよ。

僕のNoteでは、ポリコレだの反資本主義だの香ばしくてイタいネタもちょいちょい扱ってますが、真っ向から「人種差別」について書いた事はなかった気がします。というのも、自分も日本人としてイギリス在住15年を超えたところですが、幸い僕個人的には人種差別を受けた経験が無く、いまいちモチベーションが無かったんですね。

ただ、差別は間違いなく(日本含む)全世界そこら中にあるし、永久に無くなる事はないでしょう。どれだけそれを行動に出さずにおけるか、理性的に処理できるかという点で民度や文化成熟度が試される訳です。

宗教対立や、黒人・LGBTに対する攻撃的差別と違い、アジア系への差別は「透明化」と言われたりします。存在そのものを無視する、カウントに入れない、見えない・いないものとする。一時流行ってた「好きの反対は嫌いではなく無関心」的なアレですね。最大級マウンティング格差で、対等な人間として見てない。攻撃対象にすらならない。アウトオブ眼中。どうでもいい。それは差別の意識すら無い無意識的行動であり、ある意味攻撃的差別よりも危険ともなりえる、むしろ差別の根本的・本質的問題です。日本における差別も、透明化の方が多い印象。無自覚な差別、マイクロアグレッションとかいうやつですね。

ゲーム業界炎上案件

過去100年、不当な差別是正のために、様々なリベレーション活動が世界を切り拓いてきました。その最たる老舗、ウーマンリブがフェミとなり、今もネオリベ・アクティビストの中核を担っています。SDGs由来のポリコレの追い風を受けて増長した、ディズニーやゲーム業界のWokeWash問題も近年のトレンドです。

そんな中、最近ゲーム業界で燃えまくってるのがスウィートベイビー社というポリコレ・コンサル会社です。ありとあらゆるコンテンツにポリコレをブッ込んでいくのがお仕事。なんでそんなビジネスが成り立つかというと、コンテンツ制作においてポリコレポイントを稼ぐと、ESGスコアアップ、投資融資に有利に働くためです。「誠意による自主的コンプラ審査」みたいな生暖かいものではなく、単なるシステムハック、純粋なビジネス・金です。しかもこういうコンサル会社、いっぱいあるっぽい。

スウィートベイビー社に関しては、その出自背景や社員のアクション、金の流れとか、そこかしこから闇深臭が漏れまくってて、「むしろ差別推進団体なのでは?」などと揶揄されています。こういうの、アクティビストあるあるですね。挙句「本社はイデオロギー団体ではなく営利団体である」と開き直る始末。「金のためにやってます」と言い切る清々しいクズっぷり。「Woke/覚醒者」とか自称するのもカルト厨二臭すごいし、ブラックウォッシュ勢力も増長中。どっち向きだろうが過激派には毎度ドン引きするばっかりです。

「差別をなくしたい」という需要に対応し、供給が生まれ市場が生まれる、そこまでは純粋で健全な営みです。しかしその市場の中で利益を最大化しようとあらゆるハックが蔓延った結果、当初の需要とは全く関係の無い次元でシステムだけが暴走していく。利益を金でしか換算できない、無限に加速増大する資本主義の暗黒面ですね。

ポリコレ修正ターン

行き過ぎたポリコレにウンザリした結果、最近では「不適切にもほどがある!」「おっさんずラブ」みたいな、コンプラ前後の検証コンテンツみたいなものも現れ始めて、割と冷静になり始めてる人達もいます。

件のShogunに話を戻すと、このドラマの中でも戦国時代当時の常識、階級、ジェンダーの意識がそのまま登場します。ポルトガル宣教師やイギリススペイン人などを「蛮人」と呼び、西洋側も日本を未開と見るなど、様々な差別意識をそのまま表現しています。あまりにも現在の常識と違い過ぎて、会話だけでもヒリヒリのテンション、日本人の僕でも展開が読めません。全てのアクションが現代劇の予定調和を裏切ってくるので、もうマジで目が離せないよ。

と、そこに「黒人を出せ」とかいうWokeピープルが反応し、「いいかげんにしろ」とまた炎上したりとか。ポリコレが頑張り、反ポリコレが反発し、反反ポリコレみたいなのも登場し始め、こうやって振り子が振れては揺り返し、いずれちょうどいいバランスに落ち着くんでしょうかね。市場原理における適正価格集約、というかもはや自然物理現象のプロセスですね。

異文化や他世代、他時代の常識を見る事で、自分たちの今の常識を客観視する事ができます。過去の差別を見る事で、改めて現状認識が進む。もし全てのコンテンツを今の常識で塗りつぶせば、それはディズニーだろうが何だろうが、つまんなくなるに決まってます。そして今の常識も10年もすれば古くなる訳で、最終的には「いちいち振り回されるだけ無駄」なので、臨機応変、適時フレキシブルに立ち回っていくしかないんでしょう。テレビ洗脳時代とは違って、今はネットレビューがセットになっている時代なので、議論を見越したコンテンツ制作が重要になっています。

第三次ジャポニズム

そんな世界状況で改めて注目を集めたのが極東ガラパゴスの帝王・日本ですよ。独自の文化を突き進む、変態文化の寵児(褒め言葉)。「ポリコレを撥ね付け、自らの変態的欲望に従順な日本コンテンツは最後の希望」と海外のアニメ・ゲームファンからも賞賛されています(複雑)。

かつて中世江戸文化で欧州を揺るがし、近代工業で全世界を揺るがした日本。と同時に室町以前の武士道や禅宗思想なども欧米で度々トレンド入りしてきました。そして今、今度はサブカル・コンテンツにより世界を揺るがそうとしている日本。これはもう第三次ジャポニズムと言えるでしょう(強引)。バブル崩壊以降ずっと死んでた日本にようやく巡ってきた微かな浮上の兆し、この上昇気流を逃すべからず。

ただ、「ポリコレに屈しない」という事は「差別肯定」ともなりかねないので、舵取りをしくじらないようにお願いしたいです。日本の独自文化は素晴らしいですが、表裏一体、それ故に保守的であるとも言えるし、病んじゃうくらい強力なモノカルチャーの同調圧力は多様性の天敵です。

Shogunは関ヶ原までの物語ですが、群雄割拠の戦国乱世の後には、ごちゃ混ぜの天下太平の世が訪れます。鎖国して引き籠ってた江戸時代の日本は超多様的変態サブカル天国だったという話もあるし、日本人自身も江戸文化とかを学び直す必要があるのかもしれません。黒船の西洋合理・資本主義を反面教師として、日本なりのやり方で多様性を実現して発信してって欲しいものです。

第三次ジャポニズムで世界席巻希望。日本ブランドが高まれば僕も仕事増えそうだし!(俗物)


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