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海外移住リアルネス

なんかここ最近日本の方から立て続けに「海外移住したいんですけど、どうやればいいんですか?」的な事を聞かれまして。

お洒落で素敵な夢の海外生活〜みたいな事を考えてる人、大好きなあの国で暮らしてみたい人、日本での生活になんらかの限界を感じてる人、ここではないどこかで大冒険したい人、色んな人が様々な海外移住に興味を持っているみたいです。

いいじゃんやっちゃいなヨ!(ブン投げ) 興味がある事は俄然チャレンジしてみるべきっすよ。「心の声は神の声」だっていいますよ?一度きりの人生だもの。海外移住つったって要は単なる引越しだし、そんなにビビるもんでもないですよ。

僕のケースを今振り返ってみると、最初の動機は「生活とキャリアの幅を世界規模に広げられたら楽しそう」という野心+好奇心による思いつきだったと思います。「オラ東京さ行くだ」的な、ほぼ酔った席での世迷言です。実際当時の同僚からは「頭おかしい」と言われました。

それでも何かしら行動を起こせば何かしら起こるもので、紆余曲折の末気付けば結果的にイギリスにいたという感じです。なので特に戦略的に海外移住を試みた訳でも無いんですが、このトピック実は結構需要があるのかなと思ったので、こんな僕の経験でも誰かの助けになればって事で、実用的観点からちょっと書いてみようと思います。


【ベーシックス】

海外に移住するには、当然ですがその国の居住権が必要です。居住権さえクリアすれば、とりあえずは海外移住達成です(結論早い)。具体的にはパスポートかビザのどちらかが必要になります。

パスポートは、親族がその国の国民であるとか、国際結婚等する事によってゲットできます(帰化申請に関しては、移住後になるのが普通です)。これらは欧州においてそれほど珍しいもんでも無いですが、日本は基本的には重国籍を認めていないので、このケースは稀だと思います。「日本人をやめる」てのはなかなかタフな決断なので、殆どの人は移住先のビザを取る事になります。


【ビザのあれこれ】

どこに移住したいかによって、その難易度は大きく違ってきます。居住権に限った話だと、移民を広く受け入れてる国では比較的ビザが取りやすい一方、日本やイギリスなんかは、最もビザが取りにくい国だと言われています。

そんな日本のパスポートは意外にも世界最強クラスで、観光であれば欧米アジアの多くの国々にビザ申請無しで渡航できます。とはいえ観光ビザは普通年間3〜6ヶ月程度の滞在で、現地就労は認められないため、ガッツリ移住したい場合は観光以外の各種ビザを取る必要があります。


●超金持ってる人用ビザ

どんな国も、税金いっぱい払ってくれる人や外貨いっぱい落としてくれる人が大好きです。なので起業だったり大規模投資等する事で、事実上居住権は買えます。

また、充分な貯蓄や日本からの定期収入があって現地就労の必要が無い人、もしくはリモートで仕事が出来る環境の人は、制限はありますが観光などの長期滞在ビザで、明日にでも仮移住可能です。

小金持ちなら留学ビザでしょうか。学費を収めれば教育機関がビザのスポンサーになってくれます。留学生なので就学しなきゃいけないし、就労もかなり制限されますが、これも事実上お金(なんとか手の届くお値段)で買えるビザです。僕の友人にも10年以上留学生として現地生活してる人がいます。オススメかどうかは疑問ですけど。

そんな金ねーよという方でも、例えば東南アジアとかに行けば富豪だったりするのでワンチャンあります。リタイヤ後に物価の安い国に移住して年金生活を送る人は、欧州にもたくさんいます。僕もいつの日か、トロピカルアイランドで絵描いたり楽器弾いたりしながらゴーギャンみたいな変態こじらせジジイ余生を送りたいものです。そんで「田舎移住リアルネス」コラムとか書いちゃう(#スローライフ系トレンド)。


●超スキル持ってる人用ビザ

相当なハイキャリアや、現地ではなかなか調達できないスキルを持った人は、就労ビザ獲得に有利です。ビザのスポンサーになってくれる雇い主を見つける事で就労ビザをゲットできます。

雇い主にとってスポンサーになる事はさしてリスクにはなりませんが、各種審査や事務手続き、多少のお金が必要になるので、そういう面倒事を経てでも雇う価値のある人材かどうかが決め手になります。グローバル企業であれば、その辺は予め整備されている場合も多いです。


●特に何も持ってない人用ビザ

留学ビザから企業インターン等を経て現地採用で就労ビザに繋げるのが一般的です。ただしやはり何かで突出していないと現地学生に交じって現地採用の競争を勝ち抜くのはなかなか大変みたいです。一般職であれば当然現地人の採用が優先されるからです。学生ビザが切れるのと同時に帰国する人達をたくさん見ました。

現地の人と結婚すると、その婚姻関係に基づく滞在許可がおります。当然審査や手続きはありますが、誰でも取れるビザです。就労制限などがあるので、多くの人は規定年数後に帰化申請するようです。友情結婚で友達の滞在を助けたり、一部ではビザビジネスとして結婚する人もいる模様。怪しい話も無くはないので気をつけましょう。

日本企業の現地駐在員という手もあります。殆どの人は任期満了で帰国しますが、転職で現地採用に切り替えたり、結婚したりして定住する人をたまに見かけます。

大体この辺りがメジャーな滞在パターンでしょうか。アメリカなんかだとダイバーシティビザとかいって、グリーンカード抽選とかありますよね。これら以外にも特殊なビザはチラホラあるので、移住を考える方はしっかり調べましょう。

●語学力は必要だけど助けにはならない

ビザの種類によっては申請の際に簡単な語学テストを受ける場合がありますが、それは「最低限必要な能力」の保証であり、特に就職にプラスに働くものではないです。日本で就職する際に「日本語が得意です」と言っても特にプラスにならないのと同じです。

●移民は21世紀的課題

ビザ関係は面倒な事だらけですが、受け入れる側の立場になって考えればどれも納得はできます。どんな国だって、お金もスキルも何もない人がどんどんやってきて生活保護ホームレス一直線みたいな事になったら、そりゃ困る訳です。まあEU内では実際そういう事象もあって、ブレグジットの理由の一端にもなっている訳ですが。格差問題も合わせて、今後増えていくであろう日本への移民受け入れの課題でもあります。


【日本力を磨く】

どんな国でも良い移民を受け入れたいのは同じです。ちゃんと就労納税して、犯罪を犯さず、コミュニティに順応できる人、特に自国民ではまかなえないスキルを持った人を歓迎します。

例えば日本人の最大の個性は「日本人である事」です。つまり日本人にしか持てない能力を持っている事が近道になります。逆説的ですが、日本を脱出するために「日本力を磨く」事が重要になってくるのです。

日本人の固有能力として解り易い例は「日本語」です。職種としては翻訳や日本語教師、旅行代理店等ですが、言語系は需要供給量のバランスでブラック市場になりがちなので「日本的何か+専門職」というアプローチが良いと思います。自分のスペシャリティと現地のニーズの掛け合わせで自分の価値を高めて売り込む訳です。希少性が高まる程価値が上がるのはどんな分野でも同じです。

僕の場合は、海外のゲームスタジオにスパム並にポートフォリオ送りまくって、スポンサー込みの就職先を見つけました。「日本でのゲーム業界キャリア」と「日本的アートのスキル」で、スキルポイントを稼いだ訳です。ゲーム開発といえばほとんどが北米か北欧、東アジアになりますが、幾つか反応のあった会社の中から選んだのがイギリスのスタジオでした。イギリスの場合は就労5年で永住ビザを申請でき、スポンサーも不要になります。


【ぶっちゃけ海外移住ってどうなの】

海外移住する人達は、元々何か目的があって結果的に移住に至ったケースが殆どだと思います。みんなそこでしか得られない何かを得るためにあれこれやって、気付けば色んな面倒事を乗り越えていた感じじゃないでしょうか。僕の周りでも、計画的に移住したというより、成り行き上そうなった経緯の人が多い気がします。

僕個人の感想としては、僕は現状極めてハッピーです。ロンドンは住み心地良いですしヨーロッパも好きです。細かい良し悪しあるのは結局どこに住んでても同じですし。将来的にはどうなるかわかりませんが、まあ何かあれば日本にはいつでも帰れるし、なければ別に帰らなくてもいい。自分的には「選択肢がある」という事が重要なんだと思います。

人によっても、国や場所や目的によっても完全にケースバイケースなので、一括りに「海外移住」と語れるものでもないですが、何か興味や目的、チャンスがあるのならとりあえず挑戦してみる価値はあると思います。コムフォートゾーンを出て新しい何かにチャレンジするのは怖いですが、同時にドキドキワクワクですし自分の成長にも直結します。

実際やる事といえば就活みたいなもんですし、違うなと思ったらいつでもやめて帰ってこられます。家探しとか引っ越しのあれこれも、僕はプロセスひとつひとつを冒険イベントみたいなものとして楽しめました。イベントの起きないゲームなんてつまんないです。

海外移住=馴染みのない異国への転職転居。それを、あり得ない暴挙と見るか、最高にエキサイティングと見るか。興味無い人にとっては信じられない選択でしょうし、万人にオススメするものでは全然無いですが、世の中にはそういうのが大好きな変態がちょいちょいいるのです。



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いつの世も、アーティストという職業はファンやパトロンのサポートがなければ食っていけない茨道〜✨