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【再読・感想】「はずれ者が進化をつくる ~生き物をめぐる個性の秘密~」を改めて読んで

表題の本は、2020年10月に一読、内容を記事にしましたが、その後私自身が多くの本を読んで学びを深め、結果、価値観もずいぶん変化したので、改めて「個性とは何か?」についてまとめてみたいと思い、本書を手に取りました。

「個性」とは何か?

本書の著者、稲垣栄洋氏によれば、個性とは「自分らしさ」のこと。昨今では「自分らしく」していいと言われることが多くなりましたが、「自分には個性がない」と悩んでいる人も意外に多いとか。

さて、稲垣氏は植物学者なので、「個性」についても植物(生物)を例に考えています。

植物(生物)にとっての「個性」は「多様性」とも言い換えられると言います。とりわけ雑草は、人が育てようとしても育たず、芽を出すタイミングもバラバラ。それは「種」として生き延びるための戦略(早く芽を出した個体が何らかの理由で枯れても、あとから伸びたものが生き延びれば「種」としては生き残れる)であり、ある意味それも「個性」であり、「多様性」の結果だと言えます。

もし、そのような「個性」がなく、品種改良された「良品」ばかりを育てたら……?

本書ではジャガイモなどの野菜を例に挙げています。どれも同じタイミングで芽を出し、味は良し、収穫量は多く、大きさも統一された野菜は育てやすく、管理しやすいでしょう。けれど、そこに個性はなく、ひとたび病気にかかればすべてが同じタイミングで全滅してしまうという危険もはらんでいます。

それは人も同じこと。

もし、誰もが同じ能力を持っていたとしたら?
また、あなたと同じ能力を持つ人ばかりだったとしたら?


 そのような世界は、上記の野菜のように、あっという間に滅びてしまうに違いないと稲垣氏は言っています。

「自分らしさ」とは何か?

では、「自分らしく」生きて行くにはどうすればいいのでしょうか?

そもそもこの、「らしさ」と言うのがくせ者。「らしさ」とは、実は他人から見たあなたのイメージでしかなく、あなたの本質を表すものではありません。たとえば「お兄ちゃん(お姉ちゃん)らしく」「父(母)らしく」と周囲に言われたからその通りに振る舞おうとすれば、もともと備わっている「ありのままのあなた」は仮面の下に隠れてしまいます。

ときに、社会が期待する「らしさ」通りに振る舞うことも必要です。しかし「本当の自分、ありのままの自分」を見つけるには一度この、社会が期待する「らしさ」を捨てなければなりません。

わたしたちは、成長過程で数々の「らしさ」を求められてきたため、それを捨て去るのは簡単ではありませんが、それが出来た時、自分の「ニッチ」を見つけることが出来ると稲垣氏は言います。

「ニッチ」とは?

自然界で生き残っているすべての生物は、ある環境で生き残ったナンバーワン(例えば植物なら、日陰で生きるのに適したもの、砂漠でも生きられるよう進化したサボテンなど)の存在。これが自然の法則です。つまり彼らは、ナンバーワンになれる、自分だけのオンリーワンを持っている。この、「ナンバーワンになれるオンリーワンのポジション」のことを、生物学で「ニッチ」と言います。この「ニッチ」が、自分らしく生きていくための鍵になってきます。

「ドラえもん」に出てくる、のび太の例がわかりやすかったので紹介しましょう。

のび太は、勉強は出来ませんが、瞬時に眠る能力や、あやとり、射撃が得意です。ドラえもんの道具、「もしもボックス」でそれらがものを言う世界、つまり「ニッチな世界」を作り出したのび太は、そこで一躍スターになることが出来る、と言うものです。

わたしたちも、のび太のように「人よりちょっと得意なこと」で勝負すれば、本当の意味で「自分らしく」生きることが出来る。誰かが用意してくれた競争の場ではないので、すぐに見つけるのは難しいかもしれませんが、失敗続きでも大丈夫。ナンバーワンになれない場所をたくさん見つければ、最後にはナンバーワンになれる場所が見つかります。

わたしたちの祖先である原人も、森ではナンバーワンになれなかったために草原での暮らしを余儀なくされました。けれどもそこで二足歩行をするよう進化し、命を守るために知恵を駆使した結果、生き延びてきた歴史があります。

生命の歴史を見れば、進化の原動力になったのは、常にニッチを探し求めた敗者たちのチャレンジだったのです。

P143

ナンバーワンになれなくても、わたしたちは生きていく

そう考えると、生きていくのはやっぱり大変だ……と考えてしまう人もいるでしょう。いや、考えるのは人間だからだ、とも言えるかもしれません。

他の生物を見てみると、雑草だろうが何だろうが、与えられた命を全うするだけ。その日一日、瞬間瞬間を懸命に生きていることが分かります。

本来ならば、人間も生物であるからにはそのように生きてもいいはずなのです。赤ちゃんから大人になるための機能は生まれながらに備わっています。そこには何の意思も努力もいりません。誰しも、呼吸をやめようとはしないし、心臓だって動き続けます。生きたくないと思う生命はないのです。

与えられた今を大切に生きる。生きるって、ただそれだけのことなのです。与えられた時間を一生懸命生き、命のバトンを次の世代に繋いでいく。それだけが生物にとって「生きる」と言うことなのです。 

P183~184 抜粋


いろうたの考え

最初にこの本を読んだ時から二年。当時は「(アドラー心理学でいうところの)他人の人生を生きないで、自分らしく生きていこう」というメッセージに受け取った内容も、今、改めて読んでみるとまた違った感想が生まれます。

確かに、「ナンバーワンになれるオンリーワンの場所」を見つけることが出来れば最高です。でもそれが出来ないから人は悩むし、はみ出しものになったような気がして落ち込んだりもするわけです。「一度しかない人生だから、活躍したり、名や作品を残したりしたい」と願う気持ちは私にもあります……!

しかし、自分の得意を活かしてみても、やっぱり上には上がいる……。

そう感じてしまう理由は、「他人と比べるから」だと私は思います。

本書によれば、人は、脳の構造上「優劣」や「平均」を付けたがる性質があるそうです。なので、残念ながら「他者との比較」や「勝ち負け」などの競争から完全に逃れることは出来ません。それでも植物たちのように、その競争に負けたからと言って命を奪われることはまずありませんから、戦う土俵を変える=逃げてもいい。むしろそれは、幸福に生きる上で必要な「戦略」と言うことが出来ます。

「あんな暮らしがしてみたいなぁ」「あの人のようになりたいなぁ」と空想に耽るのは楽しい時間です(私も良く「創作の世界」を楽しんでいます💕)。でも、理想像と自分とを比べて落ち込まなくてもいい。空想は空想で楽しみ、現実は現実で「こんな自分、こんな暮らしもありかな」と受け容れることが大事なのだと私は思っています。

それこそ、先に挙げたように「与えられた今を大切に生きる。生きるってそれだけのこと」なのですから、現実に起きていることを、できるだけフラットに、可能ならば前向きに捉えた方が人生、楽しいんじゃないかな? って思うんですよね。

私自身、「専業主婦で文字書きをしている自分」を、最近はかなり割り切れるようになりました。というのも、「ニッチな世界」とは言わないまでも、自分なりの考えを物語や主張という形で、読んだ方(あなた)に伝えられると実感出来るようになってきたからです。

ですから私は、社会が期待する「二人の小学生の母らしさ」よりまず「いろうたらしさ」を大事にしています。そっちの方が「ありのまま」でいられると分かったからです。

これを読んだあなたもぜひ一度、社会が期待する「らしさ」の仮面を取り、「素のあなた」「ありのままのあなた」を探してみてください🥰 ちょっぴり怖いかもしれませんが、「はずれ者」になることで本当のあなたになれるはずですよ🥰✨


✨いろうたは、「自分らしく生きる」をテーマに様々な角度から小説を書いています。もし、小説を読んだことがない方は、ぜひこれを機に読んでみてください✨

いろうたの小説、「あらすじ一覧」はこちら

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