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フランス人にとって”働く”とは【日本の就活から逃げたい大4の呟き】2

南仏はすっかり春、を通り越して 夏!! 
太陽がさんさんと降り注ぐ中、何をするわけでもなく公園に寝転んで ぽけーーっと過ごす人々の多いこと、多いこと。

木々の葉っぱから日の光が差し込んで、緑が地面にこぼれ落ちていく様子は、木漏れ日とはこのことかと言わんばかり。

サムネの写真は、カランクと呼ばれる、断崖絶壁の岩に囲まれた南仏特有のビーチを訪れた際の一枚。なんかのジャケ写か。

何はともあれ、前回に引き続き、日本とフランスの仕事に対する考え方の違い、ひいては人生における仕事の位置づけについて、ゆるゆると書き綴っていきたいと思います。


フランス人は本当に仕事嫌い?

私がフランスに住み始めたころ、とにかくうんざりしたのが行政や引越し関連の諸々の手続き。渡仏する前から、留学や駐在の方々のブログを読み、自分なりに心していったものの、想像を超えてくる職員たち。

なんといっても遅い、遅すぎる!(そして適当^^)

日本から送った荷物を受け取りに郵便局に行った際には、17時閉店と記載があるにもかかわらず、16時を過ぎた段階から本日の新規客はお断り!と問答無用で追い返される始末。

こっちの従業員からしてみれば、閉店時間は、帰宅時間と同義なのだろう。「俺らはこれから帰るんだから、お前らを構っている暇などない!」と言わんばかりに、客が店内に残っているのもお構いなしにそそくさと撤収作業を始める。

翌日、私の荷物の所在を探りに郵便局へ直接聞きに行ってみるも、「あー、ここにはないよ、知らんけど。」と一掃された。

その後も郵便局のコールセンターへ電話をかけたり、なんだかんだ奮闘するものの音沙汰無し。

結局、私の荷物は、なぜか複数の郵便局拠点をたらい回しにされ、集荷から1か月後、ようやく私の手元に届いた。(航空便の一番早いタイプ)

さらに届いたといっても、フランスには日本のように再配達などという画期的な制度は存在しないため、近くの郵便局に徒歩で取りに行くしかなかったのだが。

あれは汗のにじむなんてもんじゃない暑い暑い夏真っ盛りの午後だった。郵便局から歩いて30分ほどの大学寮まで、視界を段ボールでいっぱいにしながら、途中途中で何度も立ち止まりつつも運びきった。

日本のヤマトさん佐川さんの有難みを骨の髄まで味わった、そんな経験だった。

就業時間の概念

これが果たして巷でよく言われるように、フランス人の怠け者の性格に起因するものなのかというと、私はそうではないように思う。

確かに、従業員のやる気やお客さんに対する受け答えに関しては、到底日本のそれとは全く違う。
(そもそも私は業務さえしっかりやってくれさえすれば、接客どうこうについてあまり気にしないタイプ。なんなら面倒くさいやり取りが少なくて案外楽だったりする。)

じゃあ、この違いを生み出しているのは何かと訊かれると、国民性や従業員の個々の性格といったソフトなものではなくて、そもそもの 就業時間 という単語の捉え方の差異から来ているのではないか と感じた。

私がインターン先の企業でも目にしたように、17時が終業時間と規定されていれば、17時に皆が職場を後にする。

いたってシンプルでわかりやすい規則。
A demain ! ( また明日!)と言って皆が颯爽と職場を去っていく姿はもはやすがすがしく気持ちがいい。

一方、日本で長期インターンをしていた際は、定時を過ぎても、誰一人として仕事を切り上げる社員さんはいなかった。
インターンという分際である以上、定時に帰宅の支度を始めるのだが、一人早く帰るのがなんだか気まずかったのを覚えている。

もちろん、この2社の例から日仏の職場環境を一般化して比べることなど不可能なのは百も承知。

しかしながら、個人の感想として、就業時間 とは何ぞや!と問うた時に、フランスと日本の企業には大きな隔たりがあると感じた。

バーで出会ったフランス人に私が受けたこのカルチャーショックについて話してみたところ、彼の会社では定時を過ぎても会社に残っていると上司を怒らせてしまうそうな。そのくらいフランス人は労働者の権利を大切にする意識が高く、労働法を守ることにとってもシビア。(本来そうあるべき)

5週間のヴァカンス

さらにフランスの労働法で特異なのは、一年間で5週間のヴァカンスを取得しなければならないことだ。
2019年からは従業員に有給休暇を取得させることが義務化されたため、5週間きっちり消化しないと、上司から休暇を強制的に与えられるそう。

有給消化率100%なんて日本じゃまず有り得ないのでは。
会社によっては6~8週間の長期休暇を取れるそうで、羨ましいことこの上ない。

その上、日本のお盆のように一定の期間に皆が集中して休暇に入ることもないため、1年の内で夏に2週間、クリスマスの時期に1週間、そして春や秋、好きな時に2週間、といった具合にバランスよく分散させられる点も魅力的。

(なんだかんだ夏はヴァカンスに入る企業、個人店が多いので、手続きが滞ったり、お気に入りのパン屋さんでバゲットを調達できなかったり、諸々の弊害は生じるのだけれど。まあ皆休みたいよね、!しょうがないか!というマインドが国民全体で共有されている気がする。)

学校のヴァカンス事情はというと、とにかく休みが多いこと!2~3か月の夏休み以外に秋休み、クリスマス休暇、冬休み、春休みと休みだらけ。およそ7週間学校に行くごとに2週間の休みが入る。

いや、いつ勉強しとんねん。

こんな率直な疑問が浮かんでくるのだが、まあ社会はどうにか回っているようだし、というか社会が適切に回っている限り、それでいいんじゃないのって。

実際、地域によってヴァカンスの時期が異なり、ヴァカンスに入る自治体がローテーションしているのでどうにか社会は回る様子。パン屋さんに至っては、ご近所パン屋さん同士で話し合って、どこに行ってもパンが買えない!という事態を避けるため、交代交代でヴァカンスに出かけるのだとかなんだとか。

ここまでヴァカンスが暮らしに密着しているとは、フランスに来るまで思いもしなかった。ただ、夏が近づくにつれて浮足立つフランス人を見ているのはなんだか可愛くて微笑ましかったりする。

と同時に、日本に帰ったら就活に本腰を入れなければいけない私。フランス人への羨望の眼差し。もういっそのこと、フランス現地就職を目指してみようか。でも納豆は毎朝食べたい。

何はともあれ、もうすぐ夏本番、待ちに待った長い長いヴァカンスがやって来る。今夏はどこへ行こうか。何をしようか。水着とサングラスは忘れずに。さあ、さんっさんのの太陽を浴びて、時間を忘れて、思うがままに、思いっきり、人生を楽しんで。


【次回】フランス人にとって”働く”とは【日本の就活から逃げたい大4の呟き】3

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