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東京彩ふ文芸部

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書くのは、楽しい。 あなたも何か書いてみませんか? 2024年1月より、彩ふ読書会は文芸部活動を行います。東京会場の読書会に過去一回以上参加経験のある方でしたらどなたでも部員…
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東京彩ふ文芸部 部員募集のお知らせ

東京彩ふ文芸部 部員募集のお知らせ

書くのは、楽しい。

あなたも何か書いてみませんか?

2024年1月より、彩ふ読書会は文芸部活動を行います。入部条件は「東京会場の読書会に過去一回以上参加経験のある方」です。入部・退部は自由です。

入部お待ちしております!

目次

企画について

活動内容について

マガジンについて

参加時のルール

注意事項

文学フリマ出店企画

参加申込フォーム

企画について

彩ふ文芸部の活動は

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【小説】秘戯

【小説】秘戯

 この部屋の角に置かれたクイーンサイズほどあるベッドは丁寧にベッドメイキングされていて、黒地の上に豹柄の帯をあしらったベッドスローが掛けられている。そのベッドのフッドボードの脇に置かれている縁の付いた黒く丸い天板で三本足のサイドテーブルの上に籐カゴのプランターカバーに入った小さな鉢植えがあり、何という名前の植物か分からないが、二方が一面のガラス窓となっている部屋を覆っている淡いベージュ色のカーテン

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【小説】木になる話

【小説】木になる話

 いつの頃からか育てている一本の木が、折れた。一番大きな枝に見える幹が折れた。数年前までは木の育て方を教わっていたけれど、もう一人前と認められてから、初めて折れた。今までも風が吹いたり、雪の重みだったり、もしくは大雨などで小さな枝がポキポキ折れていくことはあったけれど、こんなに大きな枝、というより幹が折れたのは、木を育て始めてから初のことだった。小さな枝が折れた後は、慰めてくれたり、補修の仕方を教

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【小説】朦朧

【小説】朦朧

救急車のサイレンが聞こえてきたと思ったが
違った。実際には自分の頭が勝手に記憶のど
こかから引っ張って来て鳴らしているサイレ
ンの音だった。そう思っているとエンジンの
唸る音が聞こえてくる。これもまた幻聴かと
思うと、駐車場から聞えてくる実際のエンジ
ン音だった。どうも意識が浮ついてしまって
いる。これはすべてここ数日間私を悩ませて
いる高熱のせいである。遠ざかるエンジンを
聞くとは無しに寝返りを

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