入山大希

救急・集中治療に従事しながら、臨床研究などもしています。

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記事一覧

敗血症性ショックに対するステロイドはショック離脱を早める

前回2016年のSSCGでは、輸液や昇圧剤によって血行動態が改善した場合にはステロイドの推奨がされていなかったよう。今回のSSCG 2021で以下のように推奨が変わった。 成人…

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2年前
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敗血症への抗菌薬の長時間投与は死亡率を改善する(SSCG2021)

ご存じの方も多いと思いますが、SSCG2021が今月に出ました。その中で気になったのが、抗菌薬の投与方法について。 「成人の敗血症・敗血症性ショックの患者において、βラ…

入山大希
2年前
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コロナ後遺症③(軽症・8か月後)

COVID-19の後遺症を8か月まで長期にフォローアップした研究があったのでご紹介。 方法 2020年4月~5月にかけて、スウェーデンのとある病院に勤務する医療従事者を対象と…

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2年前

コロナ後遺症②(軽症・発症3カ月後)

先日に引き続いてCOVID-19の後遺症について。昨年、オランダから軽症患者の後遺症について報告された論文をご紹介。 方法 特定の2つのウェブサイトでオランダのCOVID-19…

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2年前

コロナ後遺症①(中等症以上・発症2カ月後)

コロナ後遺症が社会的に問題になっており、後遺症についてイタリアからの論文をご紹介します。 方法 イタリアの単施設からの報告。対象はCOVID-19のため入院治療を要した…

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2年前

外傷患者の肺血栓塞栓症リスクファクター(日本語解説)

肺血栓塞栓症(PE)は外傷後の主要な合併症であり、高リスク患者の同定は重要な課題です。何故ならば外傷後は出血リスクが高いため予防的な抗凝固薬が使いにくく、また下肢…

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2年前

外傷患者の肺血栓塞栓症リスクファクター

外傷患者における肺血栓塞栓症のリスクファクターを調べて論文化しました。ニッチな領域ですが、肺血栓塞栓症はコロナ患者でも多いため注目されている血栓症の一種です。今…

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2年前

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入山大希
2年前
敗血症性ショックに対するステロイドはショック離脱を早める

敗血症性ショックに対するステロイドはショック離脱を早める

前回2016年のSSCGでは、輸液や昇圧剤によって血行動態が改善した場合にはステロイドの推奨がされていなかったよう。今回のSSCG 2021で以下のように推奨が変わった。

成人の敗血症性ショックの患者において昇圧剤の継続投与が必要なとき、ステロイドの静脈投与を推奨する。(弱い推奨、中等度のエビデンス)(原文は英語)

というのも2018年に出たメタアナリシスにおいて、①ステロイドはショックからの

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敗血症への抗菌薬の長時間投与は死亡率を改善する(SSCG2021)

敗血症への抗菌薬の長時間投与は死亡率を改善する(SSCG2021)

ご存じの方も多いと思いますが、SSCG2021が今月に出ました。その中で気になったのが、抗菌薬の投与方法について。

「成人の敗血症・敗血症性ショックの患者において、βラクタム系抗菌薬は従来のボーラス投与ではなく、長時間投与を推奨する。(ただし初回はボーラス投与)」(原文は英語です)

これについては、すでに以下の2本のメタアナリシスが出ているとのこと。従来のボーラス投与というのは30~60分未満

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コロナ後遺症③(軽症・8か月後)

コロナ後遺症③(軽症・8か月後)

COVID-19の後遺症を8か月まで長期にフォローアップした研究があったのでご紹介。

方法

2020年4月~5月にかけて、スウェーデンのとある病院に勤務する医療従事者を対象として研究を開始(従事者4375人のうち、2000人の参加が目標)。参加時点で「2020年1月からCOVID-19を疑う11の症状がなかったか」を調査。あった場合には、軽症か重症かも回答する。参加時点と4か月ごとに血液検査し

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コロナ後遺症②(軽症・発症3カ月後)

コロナ後遺症②(軽症・発症3カ月後)

先日に引き続いてCOVID-19の後遺症について。昨年、オランダから軽症患者の後遺症について報告された論文をご紹介。

方法

特定の2つのウェブサイトでオランダのCOVID-19患者に対してオンラインアンケートを実施。ウェブサイトは Facebook(特定の2つのコロナ関連のグループに所属している)と the Lung Foundation Netherlandsの2つ。

対象患者は、①検査で

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コロナ後遺症①(中等症以上・発症2カ月後)

コロナ後遺症①(中等症以上・発症2カ月後)

コロナ後遺症が社会的に問題になっており、後遺症についてイタリアからの論文をご紹介します。

方法

イタリアの単施設からの報告。対象はCOVID-19のため入院治療を要した患者。そのうちWHOの検疫基準の3つを満たす全患者を外来でフォローアップした。検疫基準は、①3日間発熱なし、②他の症状が改善、③24時間以上あけてSARS-CoV-2の検査が2回陰性。研究に参加する際にはPCR検査で陰性を確認済

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外傷患者の肺血栓塞栓症リスクファクター(日本語解説)

外傷患者の肺血栓塞栓症リスクファクター(日本語解説)

肺血栓塞栓症(PE)は外傷後の主要な合併症であり、高リスク患者の同定は重要な課題です。何故ならば外傷後は出血リスクが高いため予防的な抗凝固薬が使いにくく、また下肢外傷ではフットポンプのような機械的予防策も行いにくいためです。

しかし外傷に続発するPEのリスクファクターを調べた研究は、対象となる外傷が限定されていたり、PEとDVTを合わせた複合アウトカムを用いていたり、手術などの重要なパラメータを

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外傷患者の肺血栓塞栓症リスクファクター

外傷患者の肺血栓塞栓症リスクファクター

外傷患者における肺血栓塞栓症のリスクファクターを調べて論文化しました。ニッチな領域ですが、肺血栓塞栓症はコロナ患者でも多いため注目されている血栓症の一種です。今回はコロナ患者ではなく外傷患者におけるリスクファクターを調べました。
研究手法としては、propensity score matchingという方法に挑戦しており、手法も一歩進化しました。