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コロナ後遺症①(中等症以上・発症2カ月後)

コロナ後遺症が社会的に問題になっており、後遺症についてイタリアからの論文をご紹介します。

方法

イタリアの単施設からの報告。対象はCOVID-19のため入院治療を要した患者。そのうちWHOの検疫基準の3つを満たす全患者を外来でフォローアップした。検疫基準は、①3日間発熱なし、②他の症状が改善、③24時間以上あけてSARS-CoV-2の検査が2回陰性。研究に参加する際にはPCR検査で陰性を確認済み。

包括的な病歴聴取と身体診察。急性期の症状と、それが改善したかをアンケート。罹患する前と後のQOLを100点満点で自己評価し、10点以上の低下をQOL悪化と定義。

結果

対象患者は143人。平均年齢 56歳、女性 53人(37%)、平均BMI 26.3、現在の喫煙 15人(10%)、肺炎あり 104人(72%)、ICU入院 18人(13%)、酸素投与あり 77人 (54%)、人工呼吸器 7人(5%)、平均入院日数 13.5日だった。罹患前後のQOL悪化は63人(44%)。

研究に参加した時点で、発症から平均60日、退院から平均36日が経過していた。その時点で無症状は18人(13%)、症状1~2つは46人(32%)、症状3つ以上は79人(55%)だった。

症状のうち多いものは、疲労 53%、呼吸困難 43%、関節痛 27%、胸痛 22%だった。10~20%で見られたのは咳嗽、嗅覚障害、乾燥症候群、鼻炎、眼球充血、味覚障害だった。10%以下だったのは頭痛、喀痰、食欲不振、咽頭痛、回転性めまい、筋肉痛、下痢だった。(グラフからの目算)

コメント

肺炎やICU入室の割合から考えて、対象の多くは中等症以上の成人患者。重症はおそらく13%程度。発症から2カ月たっても無症状にまで回復した人はわずか13%に留まり、多くの人が後遺症に悩まされていることが分かる。しかも約半数の人がQOL低下を訴えておりコロナ後遺症の深刻さ浮き彫りになっている。

ただ平均BMI 26とかなりの肥満集団を対象としている点は日本とはやや事情が異なる。疲労・呼吸困難・関節痛などの頻度の多い症状は、ひょっとしたら肥満の影響で頻度が修飾されているかもしれない。

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