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入透
2020年4月7日 23:28
ぼくの頭の中に広がっている海の中に、きみの声がおちる ベルーガは灯台を越えて先へ 貝殻になったいくつかの夜が、爪先をかすめて波間へといそぐ 心臓の中にはいつだって夕暮れがつまっていたし それが恋だと気づくには、あの子は少しばかり歩きすぎていた 「砂浜に咲くのは白い花だけだよ」 そのくちづけはあの青い花柄のスカートに似ていた にんげん、と 呼ぶにはあま
2020年4月7日 23:24
AM10:02の月明かりで服を編む寝癖のうしろで魚が鳴く豆の入ったスープと、遠くへ行った恋と蜥蜴は蒲公英の根をよけて歩きながら腰から羽が生えるのを待っている前髪に腰掛けた昨日が頬杖をつくだれかの言葉だけがその部屋に溢れていて私の鼓膜はずっと凪いだまま3334階のビルの屋上で視界の端を猫が横切る蕩けた沈黙にパンを浸してミルクと、
2020年4月7日 23:16
生まれることのできなかった涙が宙に凝って碧く光っている 列に遅れた紫陽花が七月の影を踏んで 悲しみの上澄みだけを黄昏に縫い止めている 帰ってこない手紙の返事が白く下唇をなぞって かつて少女だった何かが、繋がろうとする熱を赤く隔てた 老人は燻されて銀に変わった骨を杖にして露店を眺める 虹彩から飛び立った鳥は夜に溶けていつかの笑い声になった 「ねえ、私たち、ま
2020年4月7日 23:03
初夏すべらかな白い二の腕をはしる幼い溜息が屋根の上にのぼってミント・グリーンを街に降らせた静寂ほど騒がしいものは他になくサンダルに溜まった透明を濁らせるゆれる白昼夢そう思っていたものこそが世界かつて誰かに背中を刺された人が、愛に名前をつけたそのときからずっと私の幻肢痛は消えない唇に拒まれたままの声は死にかけの昆虫のように脊髄の周りを回っている足裏を青が脈打つ生命は皆、何か
2020年4月7日 23:01
少女/頭、には火が灯っていた少女/暗少女/舌の上でアマニガを転が、す少女/(別たれず)少女/人、の、言葉少女/削られて少女/赤紫の天井少女/に少女/黒いプリーツは悲鳴少女/「すべてはとうにておくれでした」少女/固まった脚少女/反転少女/強風、と少女/120円少女/…返り血なのだ、わたしは少女/"まあ"少女/うつくしいものうつくしいひとうつくしいこと少女/融少女/
2020年4月7日 22:58
遠雷霙グレイ・スカイ海鳴り 束の間の陽光窓を叩く燕熊蜂 ハマダイコン砂、砂、砂貝殻白い地球 水上の線路滴揺れる瞳孔遠くへ 遠く、へ 故郷よ間延びした語尾よ海の冷たさよ空の高さよ 憎んだこともあったお互いにけれどもう、征くのだ 最後まで大声で泣き続ける あなたを残して