blue flower

ぼくの頭の中に広がっている海の中に、きみの声がおちる

ベルーガは灯台を越えて先へ

貝殻になったいくつかの夜が、爪先をかすめて波間へといそぐ

心臓の中にはいつだって夕暮れがつまっていたし

それが恋だと気づくには、あの子は少しばかり歩きすぎていた

「砂浜に咲くのは白い花だけだよ」

そのくちづけはあの青い花柄のスカートに似ていた


にんげん、と

呼ぶにはあまりに透き通りすぎていたあのときのぼくらは

ただ、お互いのかたちを確かめ合うのに夢中で

結局は水面越しに手を繋ぐことさえ、

できずに



「そうだなあ

鴎はもう行っちゃったけれど

つぎの誕生日にはきっと

青い花を、贈るよ」

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