オスカー・ワイルドの『サロメ』読みました。
昨日読んだシュトルムの『みずうみ』の余韻にずっと浸っていました。
「あの青い山の彼方に僕たちの青春時代はあるのですね。あの時代はどこへ行ってしまったのでしょう?」(71頁)
この言葉が切なくて忘れられなかったです。
なんだかドビュッシーの曲を聴いているみたいな感じで流れていく時間が美しくて、儚くて、ドイツの田舎の寡黙な素朴さの中に悩みとか喜びとか愛しとか諦めといった感情がありました。それはどれも私の心を惹くものでした。
こんなに美しくて切ない恋愛小説があったなんて!神に感謝しないわけには参りませんでした。『みずうみ』と出逢えてよかった。勿体なすぎるほど自分は運がいいと思いました。
今日はまだ時間があったので、ワイルドの『サロメ』を読みました。読んだつもりでいたけど実際は読んだことなかった戯曲でした。
オスカー・ワイルドとの出逢いは10代半ばの頃でした。
新潮文庫の『ドリアン・グレイの肖像』を読んで、その退廃的で耽美主義な世界観に衝撃を受けたと同時に、言葉の持つ表現力の豊かさを知り、世界が変わった気がしたのでした。久しぶりに読みたくなりました。
でもなんだかんだ、ワイルドとの縁は切れてしまったようで、ラダーシリーズの『The Happy Prince(幸福な王子)』などを読んだっきりで、21歳と半年の今になって漸く『サロメ』を購入する運びとなったのでした。
サロメのストーリーは大体知っていたし短い本でしたので雑に読んでしまったところがありますが、その世界は倒錯的で退廃的で耽美的でした。
光文社古典新訳文庫だから読みやすかったです。
また、大学の一般教養の授業で聖書について学んだり、世界史について学んだりすることもあったので、戯曲の世界のイメージは掴みやすかったです。
最近本を読みながらクラシック音楽を聴くのにハマっていまして、ベートーベンの月光ソナタを聴きながら読みました。私は月光ソナタの第三楽章が大好きなのです。
だから情緒的になったのかもしれませんが、最後の、ヘロデが「あの女を殺せ!」と言った時に腕に鳥肌がぶわって立ちました。
この本には、あとがきや解説がたくさん入っているのでそれを読んで、「そうか、なるほど」と思ったりしていました。 この薄い一冊で大分学べました。
そして、『サロメ』が谷崎や三島だったり、たくさんの人が惹かれる訳が分かりました。
最近何冊か読んでいる中で常々思うことですが、本には文字しか書かれていなくて白黒なのに、それを読むだけで私たちは色彩豊かな世界の中に入り込める。
こんなに素晴らしいことはありません。人間に生まれてよかった!そんな気持ちになります。
明日も時間があれば何か読もうと思います。
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