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随筆(2020/10/16):場が温まってない時の先駆者は、「場を温める時間とコスト」を織り込まねばならない

イノベーターがしばしば、新しく仕掛けようとして失敗して、「早すぎた先駆者」と呼ばれることがあるじゃないですか。

失われた、取り返せない、膨大なコストを考えると、こんなふざけた称号なんか何の慰めにもならないんですけど、ふと「こうなのではないか?」という閃きがありました。

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未開拓のジャンルはブルーオーシャンと呼ばれ、そこで何か作って売れば、競合他社も少なく、資源も豊富なため、儲かる。という、ブルーオーシャン戦略の話があります。

でも、たぶん、同じように見えるブルーオーシャンにも、場の温まっている「ホットブルーオーシャン」と、場が冷え切っている「コールドブルーオーシャン」があるんじゃないか。

平たく言えば、売ったものが素早く出資者や顧客や市場の反応を受けて、飛ぶように売れる場合と、そうではなくびっくりするくらい誰ものってこなかった場合とが。

(ちなみに、もし、ブルーオーシャン戦略の元の本に、そういうことが既に書いてあったとしたら、俺は間抜けもいいところだ)

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ホットな場合は何も考える必要はなくて、荒稼ぎすればいいんですよ。

(レッドオーシャンになった時のために、早めに傷の少ないうちにケツまくる準備をしなければならないのかもしれませんが、それはレッドオーシャンの話だし)

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コールドな場合が問題です。

「早すぎた先駆者」は、ふつうは買い手のニーズか、(時の運も含めた)場に適合しなかったように、とても見えます。

これは恐ろしいことで、前者のニーズを満たしていても、なお市場のタイミングや発展性に合致していなければ、売れない訳です。

売る以上は、幅広い買い手と、広い市場に、受け入れられなければならない。

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「早すぎた先駆者」のやるべきことは、まずはもちろん、客に求められた(または客が求めるほど魅力的な)サービスをパッケージした、新しい製品を作り、適正な広告表示と売り方で売ることです。

これ自体、しばしばかなり金がかかる。パトロンの出資とかが必要な場合が良くある。

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だが、これでは足りない。

じゃあ、何をすればもっと効くのか。

場を、とりあえずは局地的にでも、いつかは拡大可能な形で、温める努力をしなければならない。

「これはこれこれこういう魅力があり、グッと来るし、欲しくなる。分かってくれたかな? それは嬉しいですね。では、乞うご期待」

これはしばしば、そういう売り出しのキャンペーンであり、だからこそ宣伝戦略や広告代理店が輝いて来る訳です。

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要は、場を温める努力が要ることもある。

それは時間もかかるし、コストもかなりかかる。

だが、ちゃんとうまくやれば効くし、そもそもそれをしないと売れないこともあるとなると、これは見過ごせない。

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もちろん、場が温まっていても、箸にも棒にもかからない製品をそこに送り出したら、信頼が大幅に損なわれるんで、場は極端に冷える。

宣伝側からすれば

「開発側コラアアァァ! お前らのために温めた場を、肝心のお前らが冷やしてどうする! 関係者一同の努力を何だと思ってやがんだ!」

とは、まあなるわな。

そこは、作る側は、気をつけましょう。

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また、宣伝が成功して、人口に膾炙して、なのになおもリリースが遅れる、というのもよくない。

これをやると、宣伝だけでみんな満足して、満足したからにはいずれ飽きるからです。

宣伝は人々の興味を惹くにはいいが、宣伝などで外から引き起こされた興味というものは、余程のことがない限り、持続出来ない。

心が動かされても、というか動かされるこそ、いつかは止まる。

だから、宣伝のうまみというのは、その間にしかないし、それまでに製品を届けなければどうにもならない。時を逃してはならない。

そこは、やはり、作る側は、気をつけましょう。

これ、いつか自分が小説を出版社から出したり、自分で出したりする時に、自分が気をつけなければならないところだ。心していきます。

(いじょうです)

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