【小説】ピエロ男と動かないボーナス（#毎週ショートショートnote）

「成功すれば10万円贈呈です」
ゲームマスターの手に握られた万札がひらひら揺れる。仕事帰りの路上で僕はピエロ男に怪しいゲームを持ちかけられていた。

僕が見ず知らずの他人に声をかけ、その人の口から10分以内に『動かないボーナス』というワードを引き出せれば賞金10万円貰えるというものだ。

「貰えるものは貰っておけ」の精神で生きてきた僕はピエロの誘いに乗ることにした。

このゲーム、僕には勝算があった。
歩きながら読書している「二宮金次郎的」青年を見つけ声をかける。

「たらはかに様が企画する今週の『毎週ショートショートnote』のお題は何？」
「え、『動かないボーナス』」
読み通り。即答だ。ゲームクリア。

驚くピエロ。
10万円を握ったまま固まってしまった。
「おい、早くその10万円よこせ」
力任せに引っ張るがびくともしない。
この臨時ボーナス、逃すわけにはいかない。
しかし彼もお金を手離さない。
やがて、動かないピエロが口だけ動かし言う。

「これぞ『動かないボーナス』」

《終》

たらはかに様の企画に参加させていただいてます。詳しくは上のリンクから。

今週のお題は『動かないボーナス』。


素敵な企画ですので、皆様も是非！