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持続可能な成長をするためのアンラーニング🍀知識・スキル・ノウハウのアップデート

皆さん、こんにちは。インソース コンテンツ開発部のイシハラです。

突然ですが、「アンラーニング(unlearning)」という言葉をご存知でしょうか? アンラーニングとは、今まで学んだ知識や既存の常識を捨て去り、新しく学び直すこと🎓です。「学習棄却」「学びほぐし」などとも呼ばれます。

似ている言葉として、「リスキリング」「リカレント」といったものがあります。どちらも「能力の再開発」という意味になりますが、中でもリスキリングは組織が主催して行うもの、リカレントは個人が自己啓発や自己研鑽として行うもの、といったニュアンスになります。

両者の関係でいうと、アンラーニングは「個人による学び直し」の枠組みで、変化が激しい現代においても継続的に成長するために、自分の知識やスキルをどのようにアップデートしたり、新しいものをキャッチアップしていくか、というメソッドになります。
 

アンラーニング(知識・スキルのブラッシュアップ)の必要性

グローバル化が進み、テクノロジーの進歩が目覚ましい今の時代は、過去からの延長線上で未来を見通すことがほとんど不可能になってきています。この先も環境が大きく変化する中で、従来のやり方に固執し、これまで身につけてきた経験だけを頼りに生き抜いていくことは難しいものですね。

だからこそ現代のビジネスパーソンには、知識や考え方を常にアップデートし、新しい思考を吸収しながら、時代をキャッチアップしていくことが求められているのです。(この文章を書いている私も、気が引き締まる思いです!)

また、これまでは同じ枠組みの中で知識・経験を積み上げる「積み上げ型の学習」で成果を上げることができた一方、枠組み自体が大きく変化する現代の環境では、積み上げ型とは違う新たな学びが必要となってきています。
そうした時代の要請を受けて注目されているのが、冒頭でお話しましたアンラーニングです。

私たち人間は「変化を嫌がる」傾向がある、とも言われていますが、そうした居心地が良い環境(コンフォートゾーン)から抜け出すためにも、アンラーニングは効果的です✨
 

アンラーニングのプロセス

アンラーニングを行うためには、学び直さなければいけないという「契機(chance)」があり、そのチャンスを捉えて、どのように知識・スキルをアップデートする必要があるかを「内省(reflection)」し、実際に「行動(action)」して成長する、というプロセスを辿ることになります。

ここからは、各プロセスについて詳しく見てみましょう。
 

(1)「契機(chance)」
変わる必要があると感じる出来事に遭遇する

継続的に成長するためには、普段から成長できそうなチャンスを掴んだり、きっかけを逃さずキャッチアップするような、前向きかつ主体的なマインドが必要となります。

具体的には、

・アンテナを高く持つ
=自分の仕事に関する最新知識、技術情報などに常にアクセスする。社外セミナーなどに参加し、考え方が違う人材から刺激を受ける。
・変化を受け容れるマインド
=自分の得意分野だけでなく、苦手なことや気乗りしない仕事にも機会があればチャレンジしていく。
・常に向上しようという気持ち
=現状に満足せず、常に自らを高めたいという向上心を持つ。

といったマインド(姿勢)です。
逆に、気をつけたいマイナスの意識・思考は次のようなものです。

・「自分の仕事じゃない」「上司が悪い」「知らなかった」「今は忙しいからしょうがない」といった愚痴(言い訳)ばかり考える
・自分の置かれた状況を八方塞がりに感じ、身動きできないと決めつける
・どうやって行うかよりも、なぜできないかということばかり考える
・厳しい課題とは真正面から向き合わない
・何事も他人の動向を見ながら行動する
・自分の責任を表に出さないようにする
・自分が悪く思われないか、いつも防御の姿勢をとる
・何をしたらいいか分からないことを理由に、何もしない

どんなに優秀な人でも困難な状況では気持ちが弱くなるものですが、苦しい中でも、より良い結果を導き出すように気持ちを整えなければ、物事は前に進みません。苦しみに蓋をせず、やりたくないことほど真正面から関わっていくことが、当事者意識を高め、結果的に自分の成長を早めることになるのです。
 

さて、環境に慣れてしまったり、実践結果の予測がついてしまう経験が続いたりすると、どうしても新しい気づきが得にくくなります。

これについてスタンフォード大学のクランボルツ教授は、様々な経験や機会をプラスに活かす「プランド・ハプンスタンス・セオリー(計画された偶然理論)」を提唱しました。このキャリア論では、次の5つの資質が経験をプラスに活かすとされています。

「経験をプラスに活かす5つの資質」
1.好奇心:自分の知らないことなど、何事にも積極的に関心を持つ
2.持続性:一度始めたら、手応えや結果を出すまであきらめず続ける
3.楽観性:意に沿わぬ異動や転職でも、キャリアや人生の好機と捉える
4.柔軟性:どのようなことでも受け入れる許容力と柔軟性を持つ
5.リスクテイク:大変な状況でも、これを乗り越えられれば新たな成長があると考え、恐れずチャレンジする

以上5つのことを意識し、新たな変化や壁についてもマイナスに捉えず、「自分の新たな可能性を試す機会」として積極的に受容していくことで、新たな学びを得ることができます。

特に重要なのが、経験を楽しむ「好奇心」と「チャレンジ精神(リスクテイク)」です。日々仕事をする中でも、面倒なことを引き受けたり、失敗して恥をかいたり、苦労が伴ったりすることも多いものです。そんな時に、「これは自分の新たな可能性を試す機会だ!」と知見を積極的に活用する姿勢こそが、学びを深めていくのです。

先の見えない時代で成長していくことは、偶然に身を任せ、その時できることを一生懸命に頑張って積み重ねること、とも言えるかもしれませんね。
 

(2)「内省(reflection)」
どのように変わるべきか、何を新しく学べば良いかを考える

続いては内省です。自分の得意なスタイル・方法に執着することへの注意も含め、自分で変える必要がある部分を見定め、その成長に向けて、どのように行動していくべきか計画を立てるプロセスになります。

主体的に自らの成長を意識し続けることは良い手法ですが、組織からの辞令など、外側からの刺激・圧力により、変化を求められることも多いものと思います。

下記の4点は、「発達的挑戦(ストレッチ)」と呼ばれる、成長につながるための困難な経験です。本人としては少し気後れしたり、やりたくないと感じてしまうようなものですが、逆にチャンスと捉え、成長につなげていく姿勢が重要となります。

・不慣れな仕事
=関わったことのない分野の仕事や、苦手な仕事はやりたくないというのが本音だが、知識やスキルが無い分伸びしろも大きい分野になる。
・前例のない新しい仕事
=未経験の仕事ということで困難は伴うが、こうしたことに関われるチャンスはめったにないと、前向きに捉える意識が重要。
・高いレベルでの責任が伴う仕事
=これまで経験したことのないような、重い責任を負う立場で仕事をすることも、自身の成長につながる。
組織を横断して取り組む仕事
=他部署や他社の人と関わりながら行う仕事も、他部門の仕事内容、利害関係者との調整の進め方といった新たな学びを得やすい。

上記のような仕事は、なかなかすぐには上手くいきませんが、だからこそ言い訳や愚痴、あきらめの姿勢など、マイナスの思考に陥らないよう注意していきましょう。
 

続いて、具体的なビジネススキルや仕事のノウハウに関するアンラーニング事例をご紹介します。

事例① 仕事の進め方や手順
=上司から教わった仕事の進め方も、自身で確立した仕事の手順も、その時点においてはベストなやり方であったかもしれません。しかし、当時から時間が経った今、仕事を取り巻く環境も自身のスキルも大きく変わっています。今の状況に合わせたやり方にシフトするためには、これまでの進め方や手順といったものをアンラーニングする必要があります。

事例② 顧客やマーケットの捉え方
ビジネスの相手であるお客さまも変化しています。期待に応えようと思っていても、お客さまの考え方や嗜好に対する認識、それに応じるこちら側のスタンスが古いままだと、期待に応えることはできません。異業種からの参入が激しい今日においては、マーケットの枠組みの捉え方も、常に見直しをかけていく必要があります。こうした顧客やマーケットの捉え方といったものも、アンラーニングの対象となります。

事例③ 人の考え方や価値観
特に若い世代の考え方は、それ以前の世代の若い頃とはかなり変わってきています。旧来通りの「若手はこうあるべき」という考え方のまま接していると、効果的な指導ができないばかりか、離職を誘発してしまうかもしれません。考え方や価値観といったものもまた、アンラーニングの対象として捉える必要があります。

事例④ マネジメント方法
人の考え方が変われば、人をマネジメントする方法も変える必要があります。同質性の高い組織を前提にした従来のマネジメント手法では、現代のような、多様性の高い組織では上手く機能しません。大量生産を命題とするマネジメント手法では、イノベーションを生むための組織マネジメントはできないことも覚えておきましょう。

事例⑤ 自分自身に対する理解
「自分はこういう仕事が好き」「こういう仕事は向いていない」といった、自分自身に対する思い込みもアンラーニングの対象です。さらに一段上のステージで仕事ができるようになるためには、これまでの自分の殻を壊す必要があります。自分で決めつけてしまっている限界も、アンラーニングによって突破していきましょう。

自身の経験を振り返る際は、

・自信
・好奇心
・挑戦する姿勢
・批判も受け容れられる度量の広さ(柔軟性)
・変化を楽しむ姿勢
・周りの意見に耳を傾ける姿勢

を持つことで、得られる学びはさらに大きくなります。
他者からのフィードバックを受ける際は、厳しい意見でも柔軟に耳を傾け、時には批判さえも前向きに受け容れる姿勢が必要です。(「自分と違う考えに触れることができてラッキー✨」くらい前向きになりたいものですね!)

以上、内省のプロセスでは、成長につながりそうな経験に対して勇気を持ってチャレンジすることと、時代の変遷によって知識やスキル、情報、ノウハウをアップデートすることが必要となります。
 

(3)「行動(action)」
変わると考えたことを実行する

アンラーニングの対象が決まったら、いよいよ行動に移すことになります。

とはいえ、必要以上に構える必要はありません。やってみて上手くいかなければ、元のやり方や考え方に戻せば良いですし、寧ろ、試行錯誤を行う中でどんな変化が起きるのか楽しみにしながら取り組む、くらいの構え方が丁度いいものです。

アンラーニングを実行する際は、ためらいや面倒臭さといった壁を乗り越えなくてはなりません。面倒な気持ちを乗り越えて、慣れ親しんだ従来のやり方を捨て、あえて違うやり方を自分に強制することができるかどうかが、アンラーニングを成功させるカギとなります。

また、最初のうちは不慣れなやり方による非効率も覚悟する必要があり、想定外の問題が発生することもあります。そうした中で、新たな発見や予測していなかったメリットを見出していくことが、アンラーニングの真骨頂です!

さらには、行動しながら、そこで生まれる変化を自分でモニタリングしていくことも大切な要素です。行動の過程で修正を加えながら、新たなやり方と考え方を確立していきます。

もちろん、なかなかアンラーニングの効果が見えない状況が続くようならば、いったん元のやり方に戻すことがあっても構いません。アンラーニングを通して、「元々のやり方が優れていたことを改めて認識できた」というのも一つの成果と言えますね。
 

おわりに

計画した後、普段の仕事をしながら成長するための行動を継続するのは大変なことです。成長するまでの道のりは時間がかかりますので、張り詰めたままではアンラーニングの活動は長続きしません。

理想は、「〇〇先輩と同じレベルのアウトプットを出せるようになる」「難しい要望でも対応できるようになる」など、その成長を遂げた後の輝かしい未来をイメージしながら、自らを奮い立たせ、着実にやるべきことを継続していくことです。

来るべき成長の時に向けて、アンラーニングを定期的に実施し、持続的に成長を繰り返すことを実践してみていただければと思います。
最後までご覧いただき、ありがとうございました☕📚
 

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