猪瀬直樹
作家
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押見修造・漫画版「悪の華」はアニメ版を前半だけ、その後は実写映画版をお薦めします。思春期から大人になるまで心のトンネルをどう抜けるか、どのくらいの毒を飲めば免疫ができるか、そういうテーマとして描かれている。
ボードレールの 『悪の華』(堀口大学訳・新潮文庫)は、文学青年なら一度は通過儀礼として、突き刺さるような言葉の群れを容赦なく浴びて仕舞う、そういう有名なフランスの古典文学です。 その『悪の華』をヒントに同名のタイトルで押見修造という漫画家が2009年に「別冊少年マガジン」に連載を開始し、その後コミックが累計300万部も売れた。 ストーリーは、田舎の山に囲まれた袋小路のような出口のない小都市、新しい産業があるわけもなく電線が垂れ下がり看板も色褪せている。衰退する日本の典型