フランス人監督「ONODA 一万夜を越えて」を3連休にお薦めします!

皆さん、知っているだろうか?
 フィリピンのルバング島のジャングルに30年間も潜伏していた小野田少尉のことを。終戦の1年前に、「玉砕してはならぬ。ゲリラ戦を展開せよ」との秘密指令を受け渡島した。現地部隊はほとんど死んだが、小野田少尉は残存部隊を指揮してジャングルの奥に潜んだ。数年後、仲間は4人に減り、そのうちの1人が投降した結果、終戦後に小野田たちの存在が知られたが、呼びかけに応じることはなかった。そのままその存在は日本では忘れられていたが、現地民は食糧や家畜を奪いに来る強盗のような存在として認知していた。しばらく後、もう1人も現地人との撃ち合いで死ぬ。
 1973年に現地民との撃ち合いで小野田少尉の最後の部下、小塚一等兵が死に小野田1人が残された。翌74年、バックパッカー・鈴木青年がキャンプを張り粘り強く小野田との接触を続け,ついに小野田少尉と邂逅する。小野田少尉は、「残地諜者たる命令を解除してもらわないと投降できない」と伝え、戦時中の上司(少佐、陸軍中野学校)が現地で任務解除を伝えた。
 小野田少尉は51歳になっていた。このニュースは日本のみならず驚きをもって世界に拡がる。

 僕は工事現場の親方として学生運動の垢を落とすため黙々と肉体労働に明け暮れていた25歳ころである。この数年前、横井庄一という兵士がグァム島の山の中から現れてニュースになっている。横井の場合は殺されないようジャングルに逃げ込んだだけで、ロビンソンクルーソーのような暮らしの仕方が注目された。しかし小野田少尉の場合は、30年間ずっと戦闘行為をしていたので驚いたのだ。投降した際の敬礼の仕方がサムライを感じさせた。◎写真

 「ONODA」としてフランス人監督が映画化したのは2021年、ということを知らなかった。◎写真
 いまNetflixやAmazon primeで鑑賞できることがわかり、3時間近い力作を、先日、大雪の夜、雪かきのあとで明け方まで瞬きもせずに観た。
 2021年はコロナ禍の真っ最中で映画館は閑古鳥だし、そもそも東宝シネマズなどメジャー館にはかかっていないからスルーしていた。話題にもなってもいない。完全に見過ごしていた。

 この映画をお薦めするのは、日本人監督なら情緒的ないしは感情的になってしまうところを淡々と事実を重ねて緊張感を維持している点だろう。1981年生まれのまだ若いこのフランス人監督を僕は評価する。
 3連休にお薦めします。

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