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真実はいつだって遠くにある。敢えて手間をかけるということ。『遅いインターネット』考察

井ノです。

先日書いた記事が『#起業』タグで1週間で最もスキを集めた記事の一つだったようです。noteを始めて1ヶ月そこらですが、少しずつ成果を感じる場面が増えてきたように思います。

成功者のノウハウを真似したところで、それが自分に合うとは限りません。更には、自称有識者の都合の良いようにコントロールされてしまう場合だってあり得ます。

自分の人生の主導権を取り戻すためには、客観力やリテラシーを身に着けて、必要な情報を正しく取捨選択する力が必要です。それは真実を見抜くための能力とも言えます。

ところで、真実というのは何処にあると思いますか。手が届く範囲に転がっているのでしょうか。無料で誰でも簡単に手に入れられる情報に価値はあるのでしょうか。今回は、そんな観点で話をしてみたいと思います。

手が届く範囲にある情報が真実とは言えない理由

最近、個人的にヒットしている、宇野さんの「遅いインターネット」において、昨今のネット問題について語られています。

日本ではTwitterに代表されるネットの「卑しい人たち」には2パターンあると思うんですね。

まずは、先ほど述べたように自分はマジョリティの側だと確認して安心したがる人たち。

--もう1つのパターンは、どちらかというと、「マイノリティ」というか、自分ではそうだと思っている人たちで、複雑な世界から目を逸らしたいから、「特定のイデオロギー」に回帰している人たちですね。


イデオロギーの色眼鏡でしか世界を見ようとしないから、科学的な事実や客観的な証拠も無視しがちになり、結果的にフェイクニュースや陰謀論の温床になっている

SNSは、というかSNSが体現する現代の情報社会は、要するに誰もが自己幻想をインターネットで表現して、僕はウンザリしているけれどそれが評価経済的に名誉や地位に結びつく時代なので、自己幻想を独力で表現する材料(実績など)に事欠く人はイデオロギーにすがるようになってしまうのだと思います。

ネットやSNSの浸透によって、リテラシーを学ばなくても、誰でも簡単に発信できる世の中になりました。私達は、その利便性を享受する反面、ノイズのような情報に惑わされないために、読む技術を学ばなくてはいけません。

なぜなら、手が届く範囲にある情報というのは、リテラシーに欠けた人々による自己幻想の発信であり、巧妙に切り取られてカスタマイズされた心地好い企業意図であり、科学的事実や客観的証拠を軽視した自称有識者による知識コピペでしかありません。それは、自分の人生に本当に価値をもたらしてくれるような真実とは程遠いものです。

私たちが他人に都合良くコントロールされないためには、SNSやGAFA、小銭稼ぎの自称有識者が発信する、負の情報に惑わされないことです。そのため、氷山の一角ではなく、その根底にある真実に対して目を向ける必要があります。

ただ、学校や会社で学ぶリテラシーというのは、空気を読んで「同じ」枠に当てはめ、「正解」を導くためのものであって、同調圧力やフェイクに対して疑問を持ったり、複雑な問題や情報に正しく対処することが難しいのです。

そのため、現代のネット社会を生き抜くために必要なリテラシーというのは、枠外にある真実を見抜き、他人との「ちがい」によって価値を生み出し、自分だけ「問い」を発信するための読む技術、書く技術ということです。これらの技術をしっかり学ぶ機会が求められているのです。

リテラシーを高め真実を見抜くための「実践知」

リテラシーを高めて真実を見抜くためには、実践知が役立ちます。最近、私が、そのように実感する出来事があったので紹介します。

◆実践知
実践することにより得られる、 暗黙知のこと。

先日、「最新科学×伝統医療が奇跡を起こす 食事 睡眠 運動の教科書」という書籍を読み、直感的に良い本だという印象を持ちました。ですが、それを確かめるべくAmazonレビューを見てみると評価はそうでもないのです。

出版日:2020/3/18
Amazonレビュー:★★☆☆☆ 評価数1(2020/4/7時点)

私は、この状況に違和感を持ちました。健康に関するビジネス書を大量に読んでいる知見と、それらを実際にやってみた経験や気づきを以て、効果があるだろうと思える理論がまとめられていたからです。

何故こんなに評価されていないのだろうという疑問が生まれたので、ちょっとした手間をかけて、海外版のAmazonレビューを見てみた所、非常に良い評価を得ている書籍であるということがわかりました。

出版日:2018/1/30
Amazonレビュー:★★★★★ 評価数73(2020/4/7時点)

この体験から言えることは、検索して一番最初に出てくるような手が届く範囲にある情報が正しいとは限らないということです。実際は、自分の直感や客観力、実践知を信じて、多少の手間をかけて検索した方が、より質が高く意味のある情報が得られる可能性が高いです。

また、単に知っているという知識ではなく、実践を通した経験や気づきによって幅と奥行きを増した知識の方が、より効果的で役に立つということは、納得感があると思います。

例えば、世界的に評価の高いスティーブ・ジョブズの公演を見るとわかりやすいです。彼は、単に輝かしい実績や知識を披露するのではなく、人生にインパクトを与えた体験(原体験)と、それを通して得た学びや気づきを、ストーリー形式で語っています。このように実践知を活用することで、主張に強い説得力を持たせることができ、聞き手の心を大きく動かすことができるのです。

SNSの浸透によって誰でも知識人のように発信できる時代になりましたが、実践知を活用できていない人が非常に多く、嘆かわしい状況だと感じています。

なぜなら、自分で実践もせず、リテラシーを学ぶこともなく、ただただ有識者から借りてきた知識をドヤ顔で発信したところで、何の説得力も持たないし、大抵の人にとって価値のある情報だと思ってもらえないからです。

まとめると、知識を発信する際は、実際にやってみて得た学びや気づきを一緒に語ることで、読み手に深い価値を提供しながら、さらにその知識を自分のものにすることができます。この実践知を活用するテクニックは、覚えておいた方が良いでしょう。

おまけ『最新科学×伝統医療が奇跡を起こす 食事 睡眠 運動の教科書』プチ感想

「サーカディアンリズム」×「アーユルヴェーダ」を組み合わせた健康法。

「サーカディアンリズム」については、メンタリストDaiGoさんも、よく紹介されていますが、簡単に言うと体内時計のことです。

「アーユルヴェーダ」とは、インドの伝統的医学のことです。アーユルヴェーダの解説は、一般的な健康本にはあまり載っていないため、新鮮で興味深いものでした。

要約すると大切なのは、いつ食べて、寝て、運動するかということですね。まず最初にマインドフルネスを活用して、習慣を変えやすい状態にしていきます。この誰でも習慣を変えられるように、しっかり順序を踏んでいるという親切心が好印象でした。

必ず守りたい3つの習慣として以下が紹介されていましたので、人によって合う合わないはあると思いますが、いかがなものか、まずは実践して確かめてみたいと思います。

①毎日同じ時間に寝る。22時くらいには寝ているのが望ましい。

②正午に1日で一番多く食事(カロリー)を摂る。夕食は早目の時間に済ませ、昼食の半分程度の量にするのが良い。

③起床して朝一番に激しめの運動をする。脂肪燃焼と生体リズムのスイッチが入るから。

②に関しては意外な感じがしましたが、遅い時間にたくさん食べると消化に良くありませんので、これが睡眠の質を落とすということであれば納得感がありますね。

③はDaiGoさんも習慣化していたように思います。

気になった人は、読んでみて下さい。

あとがき

書店に積まれているビジネス書の数々を見ていると、人は自分が本当に必要な本を買えているのだろうかと、疑問を持つことがあります。時にはSNSのタイムラインに対する脊髄反射的な読み書きから距離を置いて、わざわざ手間をかけて検索するという、ネット黎明期のスピード感を取り戻すことが大切なのかもしれません。

私は、読む技術については、人並みにある気がしていますが、書く技術については、まともに学んだことがないので、やはり苦労しています。noteについても実験的に始めたものですが、書いているうちにわかってくることも多く、これも実践知かもしれないと感じています。

最近は、途中まで書いてそのままになっている積み記事が溜まって来たので、集中力を維持したり、もっと簡潔にまとめるなどして、きっちり書き終えるための技術を勉強したいところです。

あと、海外版の本のタイトルや表紙の方が個人的に好みなのですが、日本語版は、どうしてこんなごちゃごちゃにしてしまうのでしょうか。たくさん伝えようとし過ぎて、逆に本当に必要な情報が伝わってないような、そんなもどかしさを感じます。

日本の出版業界などにおいても、たくさん売るという製品ベースではなく、読んでくれたお客さんが成功することを目的とした、顧客ファーストの視点が必要なのかもしれません。

【参考文献】

最新科学×伝統医療が奇跡を起こす 食事 睡眠 運動の教科書

『Change Your Schedule, Change Your Life: How to Harness the Power of Clock Genes to Lose Weight, Optimize Your Workout, and Finally Get a Good Night's Sleep』

『遅いインターネット(NewsPicks Book) 』

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