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シニアになって働く意味を考える㉙ ~仕事も人生もマラソンランナー~

定年前後のシニアに「働くことの意味」についてインタビューした記事です。一人一人のインタビューを積み重ねて、「働くことの意味」のスペクトラムを描こうと思っています。目指すは100人インタビュー!今回は29人目です。


部長になって2年目、経営層の期待にどう応えられるか試行錯誤が続く

 Nさんは現在54歳(2024年6月時点)、部下21名も抱えるあるメーカーの開発部長だ。今の部長職に就いて2年目、経営層の期待にどう応えられるか試行錯誤中で、悩みが尽きないそうだ。
 Nさんの人生満足度曲線を見てみると、その戸惑いが分かるような気がします。(今回はいきなり出します。下図↓)

下降局面は昇進した時?

 新卒でA社の開発職としてキャリアをスタート。若手にチャレンジさせる職場であったことが幸いし、その期待に応えていくことで仕事が面白くなりのめり込んでいく。
 大学時代からマジな運動部に入っていたこともあって、このころから趣味でマラソンを始める。
 そんなハイテンション(いわゆるランナーズハイ)の状態をずっと維持するのはキツイと感じ始める。徐々にペース配分を意識するようになり、バーンアウトすることなく着実に(新製品の製造ラインを立ち上げたりして)実績をあげ、管理職に昇進する。ここで最初の軽い下降局面を経験。
 仕事にしても趣味のマラソンにしても自分一人でコントロールすればよかったが、管理職ではそうはいかなかったそうだ。持ち前の持久力で、仕事に忙殺されても、イヤイヤやるのではなく、冷静にステディーに仕事をすすめる。

リストラで所属部門が廃止、配置転換か転職かを迫られる

 この記事でよく登場するリーマンショック後のリストラです。A社所属部門の勤務地変更が決まり、単身赴任か退職(=転職)の判断に直面する。この時期が2度目の下降局面。
 同僚がどんどん転職していくのを目の当たりにしている時、B社から声がかかり転職を決意する。どちらを取っても仕事内容はほぼ同じだったことから、決め手は自宅からの近さ。妻のアドバイスだったそうだ。(ご家庭の暖かさを感じる瞬間でしたし、同業他社から誘いを受けるほどNさんの実力があったんですね)

B社へ転職、そして部長へ昇進するが、、、まるでZ世代?

 B社へ移り、コロナ禍を乗り切り、部長へ昇進されます。で、少し戸惑うNさん。(贅沢な悩みと言えばそうですが、Z世代ではこういう傾向があると聞きます。けど、だいぶ歳が違うし、、、)
 満足度曲線を見ていて思うのは上下変動幅が狭いです。聞いてみると、マラソンはずっと続けていて、その表れなのでしょう。今では若い頃とは違ったマラソンスタイルに変貌しているとも言います。(この辺り後記でふれます)
 「他人に頼むなら自分でやった方がうまくはやくできる」という気持ちとせめぎ合いながら、部下21人を信頼してチームパフォーマンスを発揮させる。こういったマネジメントを模索中で、その迷いが充実感を阻害していると言います。(個人の能力あり過ぎなんですね、、、)

上昇機運のヒントは?

 自分の仕事の範囲をどんどん広げ、着実に結果を出してきたNさんのスタイル。これを脱するヒントは既に得られているようです。それは、自分視点ではなく、会社や経営層が、所属部門に対し、何を期待しているかを考え始めたと言います。
 自分のスタイルを見直し、かつ転換させる勇気は、普通ならなかなか持てないもの。だから、Nさんの上昇機運は近いと思います。

Nさんの働く意味は?

 Nさんの「働く意味」を見てみましょう。著者の勝手な指標で作った「オレ、何で働いてるの?の図」と「働くモチベーション」はこんな感じです。

 円グラフの形、すごくバランスがいい。さっき見た満足度曲線も上下変動幅が狭い。マラソンランナーってこんな感じなのか?
 「他者との関係(チームワーク)」が働くモチベーションになってることは、今抱えてる部長職問題も解決できそうな気がします。
「おカネ」の問題はみなさん避けられないですね。資産家でもなければ。
 「65歳(定年)以降は?」についてはまだ具体的なイメージも持っていないそうです。みなさん、定年後の生き方っていつごろから考えられるんでしょうかね?

後記:


 本文では書きませんでしたが、Nさんのマラソン歴は30年。練習で追い込むことで、(フルマラソンなどの)タイムを縮めてきたと言います。
 最近、Nさんの妻もマラソンを始められ、そのアドバイス役もやるようになったそうです。ところが、彼女は、Nさんの助言を聞きながらも、ゆっくり楽しく走る。妻と一緒にゆっくり走り、距離を踏めばタイムは縮められることに気づかされたそうです。
 たぶん、本文で書いた「自分のスタイルを見直し、かつ転換させる勇気」と関係しているようです。
 うらやましいご家庭です。(お子さんのことは、ここではふれていません、興味深いお話でしたが。)

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