見出し画像

【毒親連載小説#74】成人後も続く毒親からの呪縛⑨

私が海外で生活を
始めてからのこと。

当時、私は
中国で生活をしていた。

年末に帰国すると、
そして父は私にいつも
こんな見下した口調で
こう言うのだった。

「お前はなんだって
 中国みたいな国に行ったんだ」

年に一度、
帰省し久しぶりに
顔を合わせても
こんな冷水を浴びせるような
言葉しかなかった。

また両親は私に
「お年玉はないのか」と
お金をせびったり、
私を気遣う言葉はおろか、
自分のことばかりだった。

なので、
私にとって年に一度の
年越しというのは
惨めさと苦痛しかなく、
まるで苦しみの上塗りを
しているかのような気分だった。

私が帰ってきたことを
いいことに、
両親は待ってましたと
言わんばかりに
お互いの不満を
私に訴えてきたり、
ある時は帰国中にも
夫婦喧嘩が始まった。

年に一度、
日本に帰国した時まで
なんでわざわざ
またこいつらの茶番劇に
付き合わされなきゃ
ならないのかと
心底、うんざりしていた。

年に一度の年越しですら
こんなありさまで、
私は成人後もずっと
両親と接するたびに
自分の心をすり減らし、傷ついた。

そして、
もう二度と帰るものかと思いながら、
数日もしないうちに
両親のいる日本を早く離れたい
そう思った。

父と母。母と私。父と私…。

この幾重にも重なった共依存関係は
確実に私たち家族の心に亀裂が入り
もはや修復不可能な状態にまで
私たち家族を蝕んでいった。

(つづく)

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?