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2023年3月おすすめ新譜

今月のベストアルバム&アイドル枠:airattic『airattic』

ジャンル:オルタナティブ・ロック、パワー・ポップ

tipToe.、RAYも所属するSOVAの第3弾グループ、去年結成したairatticの1stフルアルバム。音楽が素敵なグループはもちろんたくさんいますけど、これは自分が「やっぱりそうだ!アイドル(オルタナティブ・アイドル?)音楽の正しいやり方だ〜!」と叫んだ一枚。アップテンポでダンサブルなパワー・ポップを基調とした楽曲はライブ現場でも、家でヘッドホンでも楽しめる。

そして、パワー・ポップ以外も色んなジャンルの曲があります。ポップで爆速なマスロック曲「crawl syndrome」を初めて聴いた時は本気で「あぁ〜tricotじゃん!」と高まった。他にもエイプリルブルー/元For Tracy Hydeの管梓さんが書いたドリーム・ポップ・バラード「フィルムリールを回して」、ファンキーでちょっとディスコな「mixjuice」、ギターバラードな「灰色の街について」(ギターはcruyffのハタユウスケさん?!)があって、音楽性のバライエティもかなり豊富。

ライブアイドル好きな人はもちろん、アイドルに興味なく、ただオルタナティブ・ロックが好きな方にもぜひ聴いてほしい一枚。

そして、airatticは先日渋谷のWWW Xで2ndワンマンライブを行いました。ライブ配信のアーカイブ映像はまだまだ見れますので、気になった方はぜひ配信チケットを買って、airatticのライブを見てみよう。

Black Country, New Road『Live at Bush Hall』

ジャンル:アート・ロック

去年12月にロンドンのBush Hallで行われたBlack Country, New Road(BC,NR)の2 days公演を収録された、未音源化新曲のみで構成されたBC,NRの初のライブアルバム。ライブはそれぞれの物語性のある3つびブロックで構成された(テーマはそれぞれプロムナイト、田舎の集会、ピザレストランらしい)、ステージのセットやメンバーの衣装もブロックごとに変わる。

なんかちょっとアイドルのライブみたい?!そういえば、BC,NRのメンバーはみんな20代前半なので、確かにアイドルの年頃ですね……自分よりも若い!!

私は去年のヒット作『Ants from Up There』でBC,NRの大ファンになったが、このアルバムはIsaac Wood脱退後の新作であり、音楽性はIsaac時代より大きく変わった。ロックの定番楽器だけではなくヴァイオリン、サックスやフルートなどを多用した複雑なアレンジは相変わらずに美しいが、Isaac時代の憂鬱さやアンビエントさは一気に消えて、代わりにアップテンポでもっとポップ寄り、青春感のある曲がたくさんありました。

そして、元メインボーカルが不在ということで、メインボーカルの役割もほかのメンバーに交代された。BC,NRが男女混合のバンドなので、新体制を迎えてから、女性メンバーがボーカルを担当する曲もありました。男女ボーカルの交替でライブの物語性がいっそう深まりました。特に、ピアノのMay Kershawの歌声がとても綺麗だった。

ということで、今週にBlack Country, New Roadの来日公演(東名阪3ヶ所)があります。東京公演は既にソールドアウトですが、名古屋や大阪公演はまだまだチケット販売中。このアルバムを聴いて気になった方は是非お見逃し無く。

Yves Tumor『Praise a Lord Who Chews but Which Does Not Consume; (Or Simply, Hot Between Worlds)』

ジャンル:ポスト・パンク、ノイズ・ロック

90s感に満ち溢れた一枚。キャッチーでポップなメロディー、ダンサブルなリズムと陽気な歌声は、ノイジーでゴシックでダークなアレンジと完全に正反対。シンセリフはめちゃNew Orderっぽい感じ、好きです!リズムや歌声を聴いて踊り出したい気持ちになりますが、ノイジーなギターを聴いてちょっと重い気分になってしまう。ちょっと情緒不安定になるかもしれないが、その感覚は全然楽しいです!

.Vril『Animist』

ジャンル:ミニマル・テクノ

ミニマル・テクノという未踏の領域。簡単なメロディーや繰り返したミニマルビートはとにかく痺れる。唯一問題になるのは、このアルバムはちょっと長すぎる。繰り返したリズムは心地良いけど、やっぱり20分経ったら限界が来るので、通して聴くのが難しい。作業時に聴いた方が良いかな……

今月再発見した過去の名盤:Swans『Soundtracks for the Blind』(1996)

ジャンル:ポスト・ロック、実験音楽

ロック史上最もラディカルなグループの一つとも言えるSwansの10枚目のアルバム。ポスト・ロックに大きな影響を与えた、2時間を超えたエクスペリメンタルな大作。

「実在しない映画のサウンドトラック」ということで、このアルバムの世界観はかなり雄大、映画感とサウンドトラック感も強い。壁のようなノイズ、サウンドコラージュ、ミュージック・コンクレートやドローンとぎりぎり保ってたロック性の奇妙な組み合わせ。そして、どのジャンルの映画というか、きっとホラーでしょう。本当に、恐怖を感じた。すぐ殺されるような気持ちだった。

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