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【助成先紹介】高校生の食生活見直しプロジェクト おにぎりから世界を見る

インクラインファンド事務局の下尾です。引き続き23年度の助成先を紹介させていただきます。※今年度の募集は終了しました。

今回は、実験/こだわり探究部門にご応募いただき、見事採択となった木津高校生活探究コースを代表して3名の皆さん(永井さん、平岡さん、谷川さん ※以下敬称略)にお話をお聞きしました。
同校普通科探究エリアでは、芸術探究や観光探究など5つのコースに分かれた学びのコースがあります。今回は、料理や裁縫に関心のある皆さんが集う生活探究コースの取り組みを紹介します。インタビュー当日は、学内での探究活動発表会の日だったこともあり、発表会の内容も含め、インクラインファンドで達成出来たことや1年間の取組を振り返りながらお話しいただきました。

Q.皆さんが生活探究コースを選んだきっかけや、普段のコースでの学びを教えてください。

谷川:将来保育士になりたいと考えていて、生活探究コースでは、裁縫や料理、保育実習もあると知り選びました。

永井:小さいときから母の料理を手伝うことが多く、好きだったので調理実習等を期待して選択しました。

平岡:調理実習で作った餃子を親しい先生におすそ分けしたのですが、喜んでもらえたことが嬉しかったです。

Q.今回はどんな課題意識を持って、インクラインファンドへ応募してくださいましたか。

谷川:忙しいことを理由に、朝ご飯を抜いてついついお菓子を食べてしまうことがあります。きっと他の皆も同じではないか、自分たちの食生活を見直すきっかけにしたいという課題意識から、テーマに掲げました。

平岡:谷川さんはお菓子食べ過ぎです。ほんとに(笑)。

Q.当事者としての課題意識だったんですね。「高校生の食生活を見直す」というテーマについて、もう少し詳しく教えてください。

谷川:高校生の食生活の見直しに加えて、私自身がお米が好きなこともあり、もっとお米の魅力について知ってほしいという思いもありました。

平岡:お米好きだよね。

谷川:基本的に朝も昼もお米派で、おかずがなくても、ご飯だけで3杯いけます!

Q.そんなお米への愛から、今回の応募では「おにぎり」を用いたアクションに取り組まれたんですよね?

谷川:まずはお米などに関する4つのテーマを設定し、班に分かれて調べ学習をしました。

A班:日本人がなぜお米を食べなくなっているのか
B班:ご飯はどうすれば美味しく炊けるのか
D班:おにぎりアクションについて
E班:世界の食糧問題について

E班の調べ学習まとめの様子

例えばE班では、現状世界で11人に1人が飢餓に直面しており、その多くがアジア・アフリカの発展途上国である。それに対し、アメリカ、日本の先進国では、肥満、栄養失調が増えていることがわかりました。

このような調べ学習をした上で、おにぎりアクションの取り組みを行いました。学校の昇降口におにぎりアクションの展示をし、この活動を広めました。立ち止まって見てくれる人がいて嬉しかったです。

おにぎりアクションの掲示

谷川:おにぎりアクションの取組はコースを越えて、芸術探究コースと観光探究コースの生徒と調理実習を行いました。炊き込みご飯を炊き、おにぎりを皆で握りました。炊飯器ではなく、圧力鍋でお米を炊いたのですが、想像より難しく、料理の大変さや炊飯器の便利さを感じました。

おにぎりアクションの掲示

Q.ただ自分たちがおにぎりをつくるだけでなく、世界の食糧問題についても考えるような取組をということですが、「おにぎりアクション」について教えてください。

谷川:おにぎりアクションは、「おにぎり」の写真をSNS[Instagram, X(Twitter), Facebook]、または特設サイトに投稿すると、1枚の写真投稿につき給食5食分に相当する寄付(100円)を協賛企業が提供し、認定NPO法人TABLE FOR TWO Internationalを通じてアフリカ・アジアの子どもたちに給食をプレゼントできる取り組みです。おにぎりを作って食べることが支援につながり、自分自身の健康向上にもつながります。高校生の私たちが得意なSNSに写真を投稿するという形で支援ができるので、親和性が高い取り組みであると考えました。

おにぎりを食べることで、発展途上国のサポートができるということ、世界では飢餓に苦しんでいる子がいるということを生徒に知らせるとともに、高校生の間食や昼食におにぎりが適していることを実感してもらいたいという狙いがありました。

Q.インクラインファンドで得た資金は、どのように使われましたか。

コースを越えた調理実習・おにぎりアクションの実施に使いました。

Q.調理実習やおにぎりアクションを通して、芸術探究と観光探究のコースの生徒の皆さんの反応はどうでしたか。

永井:楽しそうな様子で、よかったです。

平岡:作るのが一番楽しそうでした。野菜の切り方を私たちが伝えて、皆で協力して作ることができました。

Q.皆さんが伝えたいことは、調理実習を通して伝えられましたか?

谷川:おにぎりを一緒に作って食べただけではなく、おにぎりの形の紙に世界に向けてのメッセージや、好きな具を書いたことから、食への関心が少し高まったのではないかなと思っています。

逆に言えば、今回の学内でのコースごとの発表は、口頭で一方的な発表だったので、しっくり来てる人がいるかは分からなかったです。合同で調理実習をした皆は、一緒に経験したことで、自分事として感じてもらえることがあったのではと思います。食文化は形がないからこそ、文章で学んでいてもわかりません。実際に食べてみて体験することで、大切にする意識が生まれると思います。

コースごとの1年間の集大成プレゼン 生活探究コースの発表の様子

緊張と涙の審査面談
Q.インクラインファンド応募時の審査面談はどうでしたか?

谷川さん:バイトの面接経験もなかったので、慣れていないこともあり、とても緊張しました。後々、「もう少しこう言えたらよかった…」ということは出てきたのですが、それは今日の学内の発表で活かせたと思っています。

Q.緊張でいっぱいだった面談後は?

平岡:谷川さん、泣いてましたね。

永井:戻ってきたところに、「お疲れ!」と声かけしたら急に泣き出して、パニックになりました。初めて谷川さんが泣いたところを見ました。

Q.それだけ熱い気持ちを持って、皆さんの代表として面談に臨んでくださったということですよね。採択と知ったときは、どんな気持ちでしたか。

谷川:聞く前からずっと、もう絶対無理だと思っていたので、決まった瞬間安心しました。

Q.先生にもお聞きできればと思うのですが、今回の助成金の活用について、期待されていたことがあれば教えてください。

先生:助成金の申請は教員がすることが多く、高校生主体というのは私も初めての経験でした。そんな中でもしっかりやってくれたので、審査面談を終えての涙は、責任感からのものだったと思います。取り組む姿勢が本当に素晴らしく、その一生懸命さに感動しました。学内で行われたコースごとの発表も、とてもよくまとまっており、それがこの助成金がきっかけでできたことなので、大きな成長につながっていることを嬉しく思っています。

新たな探究テーマとの出会い
Q.今回の探究活動を通しての気づきや感想があれば教えてください。

谷川:朝ご飯を抜いたり、ダイエットをして食事をしっかりとれていない人が多いと思います。それに対し、アジア・アフリカを中心にご飯を食べたくても食べられない人がいると知り、自分たちが朝ご飯を抜いていることが馬鹿馬鹿しく感じました。

実習をする前は、私達が取り組んだところで意味がないのではないかと少し思っていたけど、行動の積み重ねが世界を変えていくきっかけになるんだと思い、ご飯に対する意識が変わりました。

また、お茶碗で食べるご飯と握って食べるご飯の味が若干違うことに気づきました。朝はお茶碗で、お昼はおにぎりで食べていて、そう感じます。でもまだなぜかは分かっていないです…新しい探究テーマが見つかりました!

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審査面談では責任感と緊張で感極まりながらも、一生懸命思いを伝えてくださった谷川さん。他コースとの調理実習を通して「一緒に作って食べる」を経験することで、食文化に触れてもらうことを大切に、世界の食糧問題とつながるおにぎりアクションにも、他コースの仲間を巻き込み共に取り組みました。

また、インクラインファンドの審査面談の経験を糧に、学内発表へ活かしたというような嬉しい報告もいただきました。

さらには、新たな探究テーマにも出会ったということで、授業の枠を越えてぜひこれからも探究をしつづけていただきたいです。

インタビューの始めは緊張されていた皆さんですが、振り返りを一緒にしていくなかで、
素敵な笑顔を見せてくださいました。ご協力いただき、ありがとうございました。

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Incline Fund Fushimi (インクライン ファンド 伏見)|皆の寄付で京都の未来を創る京都地域創造基金 (plus-social.jp)

おにぎりアクションについて 
https://onigiri-action.com/


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