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日本で初めてパイプオルガンが鳴らされたのはいつか[大分1557年説について]

大分市に「西洋音楽発祥記念碑」というものがあり、碑文はオルガンが1557年に使用されたと伝えている。 公表はされていないその碑文の内容の出典を恐らく見つけた。以下の2. から1. を探し当てた。 1. 古ポルトガル語、1598年出版:Cartas que os padres e irmãos da Companhia de Iesus escreuerão dos Reynos de Iapão & China aos da mesma Companhia da Indi

    • 史料6 (続)楽譜に凝縮されたガリカニスム

      前回に引き続き より から214ページを扱う。 1.歌詞 213ページの最後に青字で "Psal." とあり、214ページの冒頭は "Dixit Dñs." と続く。 "Psal."はPsalm、すなわち詩篇のことである。"ñ" はスペイン語でエニェと呼ばれる文字で、nの上に~(ティルデ)を伴う。大文字だとÑ。現代ではスペイン語他いくつかの周辺地域の言語で使われるが、中世ラテン語では二重のn(=nn)を省略するために使われた。 しかし、中世の楽譜では紙面の関係上か

      • 史料5 楽譜に凝縮されたガリカニスム

        より 他の聖歌集では大抵黒一色かせいぜい赤と黒の二色使いのところ、この聖歌集は楽譜部分は赤黒二色とはいえフルカラーで豪華な宗教画・静画的装飾が多くのページに施されており、最早一つの美術品の様相を呈する。筆者は絵画美術は音楽以上に素人なので、ここでは要所以外触れないことにする。 1. グラドゥアーレとアンティフォナとは 大雑把な括りで言うと、カトリック教会の礼拝で使用されるネウマ譜で書かれた聖歌集のことである。 ローマカトリック教会で使用されるものはGraduale Ro

        • 史料4(抜粋)

          MOTETS A VOIX SEULE, ACCOMPAGNÉE DE LA BASSE CONTINUE., Paris, 1689, NIVERS, Guillaume-Gabriel (1632-1714) 通奏低音を伴う独唱のためのモテット、パリ、1689年、ギョーム・ガブリエル・ニヴェール (1632-1714) より EXTRAIT DU PRIVILEGE DU ROY. 国王の特権の抄本。 留意点: i. 同時代のフランス王室オルガニストの二コラ

        日本で初めてパイプオルガンが鳴らされたのはいつか[大分1557年説について]

          史料3(抜粋)

          MOTETS A VOIX SEULE, ACCOMPAGNÉE DE LA BASSE CONTINUE., Paris, 1689, NIVERS, Guillaume-Gabriel (1632-1714) 通奏低音を伴う独唱のためのモテット、パリ、1689年、ギョーム・ガブリエル・ニヴェール (1632-1714) より抜粋 OBSERVATIONS 考察 https://gallica.bnf.fr/ark:/12148/btv1b9062570z/f7

          史料3(抜粋)

          『天正遣欧使節肖像画』より記載文章

          注1: 太字は筆者にとって意味が分からないので別途取り上げる単語です。事典や辞書、知人の助言や語感や法則性から考え得る答えを記します。 大見出し: Newe Zeyttung / auß der Insel Japonien. 小見出し: Retract und Contrafähung der vier Jüngling vnd Königklichen Gesandten auß Japon / wie sie zu Mayland den 25. Juli

          『天正遣欧使節肖像画』より記載文章

          史料(抜粋) 2

          Motets a voix seule, accompagnée de la basse continue. Et quelques autres motets à deux voix, propres pour les religieuses. Avec l'art d'accompagner sur la basse continue pour l'orgue et le clavecin. Paris, 1689, Nivers, Guillaume Gabriel (

          史料(抜粋) 2

          史料(抜粋)1

          Description du Parnasse françois, Paris, 1732, Évrard Titon du Tillet (1677-1762) フランスのパルナッソスについての説明、パリ、1732年、エヴラール・ティトン・ドゥ・ティレ(1677-1762) より抜粋 REMARQUES SUR LA POËSIE ET LA MUSIQUE ET SUR L'EXCELLENCE DE CES DEUX BEAUX-ARTS, Avec des ob

          史料(抜粋)1

          史料(切り抜き)

          Motets pour les principales festes de l'année, Paris, 1687, Nicolas Antoine Lebègue / Le Bègue (1631-1702) 年間の主要な祭司のためのモテット集、パリ、1687年、ニコラ・アントニー・ルベーグ(1631-1702) より EXTRAIT DU PRIVILEGE. 特権の抄本。 注: i. 筆者はフランス語をほとんど理解していません。 ii. この画像は電子

          史料(切り抜き)

          Wikipedia「パレストリーナ」における記載内容について

          当記事では緩めの論文調で問題個所の提示とそれに関する考察を行います。Wikipediaのジョヴァンニ・ダ・パレストリーナの記事には、ドイツ語のページは出典明記について確認が必要な箇所が、日本語と英語のページには語弊のある表現があるのではないかと思われます。理由を4つの項に分けて解説します。なお、指摘漏れがあるかもしれませんがここには筆者が確認したことだけを書きます。必要上文章が長いですが要点は太文字を読むだけで追えます。 パレストリーナ(1524-1594)はイタリアのパレ

          Wikipedia「パレストリーナ」における記載内容について