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歌舞伎界に疑問(子息による芸の継承問題について)

歌舞伎界が好きじゃないという話をします。
けして歌舞伎という伝統芸能や歌舞伎役者が好きじゃないという訳ではありません。文化芸術を愛する者として歌舞伎は無視できない存在です。映画やテレビドラマに出演している歌舞伎役者で好きな人は沢山います。
今回は歌舞伎界に長く続くある伝統に疑問を呈したいのです。

先日、ある有名歌舞伎俳優の若干9歳の長男が、父が子供時代に名乗っていた名前を襲名したという話題がニュースになりました。世間一般的には目を細める出来事かも知れませんが、僕はそうは思えないのです。
自分で判断をする知識も経験もない幼い子供に、いわば将来の職業を決定させてしまうのは人権を無視した行為だと思います。
歌舞伎に限らず、能や狂言等の伝統芸能に多いと思いますが、子が親の芸を継がないといけないという古い考えが色濃く残っています。
100%が継いでいる訳でないという事実も知っています。中には親の芸を継がなかった方もいるようですが、かなり少ないと想像していますし、親に『芸を継ぎたくない』『他の職業に就きたい』と伝えるのは相当大変で勇気がいる事だったと察します。
幼い頃から親からは勿論、その周辺の方からも『あなたは継承者』だとプレッシャーを与えられ続けて育ったのでしょう。
一般の子供と遊ぶ事が許されず、部活ややりたい習い事もできず、稽古と舞台を繰り返す日々。舞台経験を積み、環境に染まった頃には『他の職業』という選択肢は無くなっていたのだと思われます。
『親の芸を継ぐ』という選択肢がある事は大変良いと思いますが、他の選択肢を与えないのは如何でしょうか!?
恐らく実際に伝統芸能をされている方は、僕の意見に反発すると思います。「うちは子供の意見を尊重している」「芸を継いだのは子供が希望したから」と仰ると思います。でも、本当にそうでしょうか?
例えそうだったとしても、数多ある選択肢からそれを選んだとは言えないような気がします。
一子相伝と言えば聞こえはいいですが、それって子は親の芸や技術を習得しないといけない!というプレッシャーでもあります。
僕は親(日本料理店経営)の後を継ぐという考えを全く持たないまま少年時代を過ごしました。中高時代に『映画関係の仕事に就きたい』という夢はおろか全ての選択肢を奪われ、父の決めた日本料理店に修行に行かされました(僕の場合逃げ切りましたが)。
選択肢を奪われるのも不幸ですが、
そもそも選択肢が無いというのも不幸だと思います。
親の都合で子供の将来の職業が決まるのは、人権を無視している事だと強く訴えます!
豊かさって選択肢が沢山ある事だと思っています。
親の役割は自分都合なレールを敷く事ではなく、高い場所から広い世界を望ませて将来への選択肢を与える事だと思っています。
今回は話を分かりやすくする都合上歌舞伎や伝統芸能を取り上げましたが、日本人は子が親の意思を継ぐ事に美徳としているようです。政治家も経済界も子が継ぐ事を支持します。子が継ぐ事を『親孝行』という風習があります。
こんな古臭い考えは今すぐに捨てた方がいいです!
僕はこの日本中がもっと大きな声を挙げて、この悪しき風習(伝統)を終わらせるべきだと思います!

こんな僕ですがサポートをして頂けると嬉しいです。想像を形にするために、より多くの方に僕の名前・創作力・作品を知って欲しいです。 宜しくお願いいたします。