ファンドレイジングの伴走支援ってNPOのどんな資金的な変化につながるの?

ファンドレイジングの伴走支援を受けると、どんな資金的な変化があるのですか?

ここ数年、そうした素朴な疑問になかなかお答えできずにいました。それは3ヶ月とか半年、1年などの伴走支援の関わりで明確に影響を与えたと言いづらいからです。

伴走支援は漢方薬みたいにじんわり効くものですと言われると、なるほどとわかったような感じになりますが、はっと我にかえると結局どんな変化につながるんだったけか?となってしまいます。

3年間伴走支援をした団体の変化を振返る

今回は3年間伴走支援してきた団体さんが資金的にどんな変化があったのかを見ていくことで、このじんわり効くとはこういうことか!とつかんでもらえたらと思います。

岡山県倉敷市の認定NPO法人ペアレント・サポートすてっぷさんとは2018年くらいから関わりがあり、2019年から本格的に伴走支援をさせてもらっております。

以下に4年分の寄付、助成金、自主事業の3つの収入の数字を並べています。そして、3収入の合計と対前年比、寄付・自主事業比率を太字で表しています。

2018年度(伴走支援前)
寄付: 209,251円          
助成金:6,192,253円 
自主事業:1,096,450円 
合計:  7,497,954円

2019年度(伴走支援開始)
寄付:1,480,627円
助成金: 7,358,000円 
自主事業:1,324,390円 
合計: 10,163,017円(対前年度1.4倍)
寄付・自主事業比率28%

2020年度(伴走支援中)
寄付:1,676,120円
助成金:11,337,202円 
自主事業:1,099,600円 
合計:  14,112,922円(対前年度1.4倍)
寄付・自主事業比率20%

2021年度(伴走支援中)
寄付:3,871,773円
助成金:  7,420,000円 
自主事業:2,691,937円 
合計:  13,983,710円(対前年度1.0倍)
寄付・自主事業比率47%

なぜ寄付・自主事業比率を表しているかというと、『助成金に依存していること』を課題として団体さんが捉えていたからです。

助成金はまとまった額の活動費を獲得できるNPOにとってはありがたい財源です。しかし、つかえる事業や費目が決まっていて自由に使うことができません。事業は順調なのに、事務所の賃借料が払えない・・・こんなことが普通におきるのです。また、助成終了後も続けていくとなると別の資金源を見つけないといけません。とったらとったで大変なのが助成金なのです

こうした事情を抱えた団体さんは、寄付と自主事業の収益を伸ばすことが変化の指標や目標となりえます。

まずはひとつひとつやっていく

NPOはリソースの制約が強いので、一気に寄付と自主事業に取り組むことはできません。ひとつひとつ進めていくことが大切で、伴走支援ではお話をしながら『今は寄付集めを力入れていきましょう!』と方向性を団体さんとつくっていきます。

各年やるひとつひとつの「ひとつ」は以下です。

2019年度:散発的だった寄付集めを戦略的に取り組む

それまで散発的だった寄付集めを戦略的に取り組むことで、本来寄付してもらえる金額を得ることができました。「寄付なんか集まりっこない」そんな思い込みも、成功体験を重ねることで「多くの人から寄付で応援されるのは嬉しい」に変わってきたのです。

2018年度寄付: 209,251円 →2019年度寄付:1,480,627円(前年の7倍)


2020年度:コロナ禍の受益者向けにコロナ関連の助成金で緊急事業を行う

新型コロナウイルスの感染拡大により、学校の休校や収入源などで苦労されている人のために、多くの助成金の募集がありました。それらに申請をして必要な事業を行いました。

2019年度助成金: 7,358,000円 → 2020年度助成金:11,337,202円 → 2021年度助成金:  7,420,000円 

助成金の依存が課題ではありましたが、コロナのような緊急対応が必要になればそれをきちんと行うことが必要です。コロナがおちついた翌年2021年度はコロナ前の水準に戻っています。 

2021年:新しい自主事業の開発

自由度の高い収入源は、寄付と自主事業です。多くの団体はこの2つを比べると「自主事業なんかできっこない」と思いがちです。ですが、団体運営ノウハウを連続講座にして研修として提供したり、ハンドメイドの物販をする、オンライン相談会などで、最初は小さく始めてじょじょに育てていくと収入源の柱になっていきます。

2020年度自主事業:1,099,600円 → 2021年度自主事業:2,691,937円

ひとつひとつだったはずが同時に2つとりくめるようになっている

2021年度は新しい自主事業の開発がやることのひとつでしたが、実は寄付も増額しています。

2020年度寄付:1,676,120円 → 2021年度寄付:3,871,773円

これは2020年末からマンスリーサポーター募集をされて、1年間で100口以上のサポーターを増やされたことが大きいです。2021年度は自主事業も開発できた上に、マンスリーサポーター募集も取り組めたわけです。

ひとつひとつだったはずが同時に2つとりくめるようになったのは、「寄付なんか集まりっこない」とか「自主事業なんてできっこない」そんな思い込みが実践を通じて変わっていった影響が大きいです。

寄付も自主事業も集めることができるようになると寄付・自主事業比率があがり、課題だった助成金依存が軽減してきました。

2020年度寄付・自主事業比率20% → 2021年度寄付・自主事業比率47%

収入源が複数できると相乗効果が出るのは皆知ってるけどできないから研修でずーっと言われ続けている

助成金依存から脱却して、寄付と自主事業の収入の柱ができてくると、それらに相乗効果がでてきます。

大きな助成金を取っていることが信頼となって大口寄付や企業寄付につながりますし、既存寄付者にハンドメイドの限定販売会イベントをすることで物販につなげたり、物販で知り合った人が寄付をしてくれたりといったことです。そして、助成金を出す財団は選考の際に寄付者数・寄付金額は必ずみますから、それが増えていることは採択率向上につながるでしょう。

収入源を複数持つと相乗効果が出る。これはファンドレイジングの研修でよく言われていることで、多くの人が知っていることです。でも、いざやろうとすると「寄付なんか集まりっこない」「自主事業なんて無理」「大きな助成金なんか採択されない」そうした思い込みが障壁になってしまいます。

わかっているけど普通できないからずっと研修で言われ続けているのです。

ひとつひとつやっていきながら思い込みを取っていけることが伴走支援をつけるメリットの1つだと思います。

伴走支援の効果とは

ファンドレイジングの伴走支援を受けると、どんな資金的な変化があるのですか?

最初に戻ってこの問いに答えると、3年間伴走支援をしたいち団体の結果ではありますがこう言えます。1年目:寄付が集まる、2年目:助成金が集まる、 3年目:自主事業が収入の柱になる、気付いたら同時に複数の財源獲得に対するアクションができるようになっていて、それらの相乗効果が出て、助成金依存していた時期よりも自由に使える資金が増えていて気分に余裕を持って団体経営ができるようになる

もし、本気で助成金依存を変えていきたいと思っていたら、伴走支援をつけて3年以上の時間軸で取り組んでいくことを考えてみてはいかがでしょうか。

今回のnoteは、長く伴走支援の機会を頂けている認定NPO法人ペアレント・サポートすてっぷさんの協力で作成できました。改めてお礼申し上げます。

ファンドレイジングのノウハウをまとめた記事が80本以上読むことができるマガジンを運営しています!NPOの寄付、助成金、自主事業を強化したい方は是非読んでみてください。

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