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年間PV数は20万!「創業情報集約サイト『ひろしまスターターズ』」の裏側取材 〜尾道で見つけた完全オーダーメイド眼鏡店〜

月の初めはまだ半袖を着ていたのに、気づけば秋を通り越して冬目前という季節になりましたね。そんな10月下旬。
「いま、いこ」取材班の井上は、普段いるイノベーション・ハブ・ひろしまCampsを飛び出して広島県尾道市に下り立ちました。

今回は、広島県の取り組みの1つ「つながる! 支える! 創業する! 創業情報集約サイト『ひろしまスターターズ』」で取材している情報が、どのような流れで私たちへ届けられているのか?その裏側をお伝えします。

行政のサイトで20万PV!「つながる! 支える! 創業する! 創業情報集約サイト『ひろしまスターターズ』」

あらゆる切り口から創業に関する広島県内各地のお役立ち情報を集約しているこちらのサイト。様々な情報を掲載して、みなさんの創業をサポートするのが目的です。担当者の方に聞くところによると、なんと年間20万PV(ページビュー)の人気サイトなのだとか。

(※PV数とはWebサイトの特定のページが表示される閲覧数のこと。どれだけ多くのユーザーに読まれているか、という指標になります)

サイト内で公開されているあらゆる情報は、広島県内の話題のスポットや面白いヒト・場所について、事務局スタッフによるブレストで候補者をリスト化した中から、1つ1つ選び出して取材に行っています。

今回はその取材の現場から「どんな様子で取材が行われているのか?」、その裏側をご紹介します。

取材先は「眼鏡を作るヒト」

今回取材に伺ったのは、広島県尾道市にある『寺山眼鏡店(てらやまがんきょうてん)』。メガネ1点1点の製造から販売まで、全てこちらのお店で行われています。

よくあるメガネ屋さんは「メーカーから物を仕入れて売る」のが一般的ですよね。そのため寺山眼鏡店のような『完全オーダーメイドのお店』は全国的でも5店舗あるかないかというとても珍しいお店です。

店主の寺山洋平(てらやまようへい)さんはもともと大阪のご出身。
大阪でメガネの販売を経験した後、メガネのメッカ・鯖江市にて修行し、約6年前ここ尾道で『寺山眼鏡店』を創業されました。

しかしなぜ、縁もゆかりもない尾道をえらばれたのでしょうか?
そして、製造から販売まで全てご自身でされているのはなぜなのでしょうか?
色々な疑問、新たな視点が見つかりそうなわくわく感を抱きながら、取材先へと向かいました。

真っ白い大きなのれんのその先は…

尾道は広島駅からJR山陽本線で約2時間。
今回の取材先『寺山眼鏡店』は尾道駅を出て左方向、横断歩道を渡って尾道本通り商店街へと進んでいきます。
平日10時前の尾道本通り商店街は、まだシャッターがおりているお店がほとんどで、あちらこちらで工事の音が鳴り響いています。

尾道本通り商店街「絵のまち通り」

通勤や営業先に向かう自転車や車が後ろから来ていることに気を遣いながら、進んでいくこと約15分。

突如あらわれた真っ白い大きなのれんと、そこに書かれたメガネらしきロゴ。そして店前にはサイクリストが集う街、尾道らしくサイクルスタンドがありました。
思わずのれんの向こうを覗きたくなるような店構えが印象的な『寺山眼鏡店』。

こちらが今回の取材先『寺山眼鏡店』

いざ、のれんをくぐって店内に入ると___
温もりのある明るい色の木の家具と、あちこちに散りばめられた観葉植物、そしておしゃれで上品に並べられたいろんな色・形のメガネの数々。
柔らかであたたかみがあり、落ち着いた雰囲気の店内に思わず私もテンションが上がります。

壁には1つ1つ異なる形のメガネフレームやフレーム材質がスタイリッシュに並べられ、こんなにめがねっておしゃれなものだったっけ?と、思わずにはいられませんでした。

出迎えてくれたのは店主、寺山さん。
黒縁メガネがとてもよくお似合いです。

もちろん寺山さんが掛けているメガネも完全オリジナルの手作り製品。
なんとなく(メガネ屋さんだから寺山さんもきっと目が悪いんだろうなあ)と思っていたのですが、なんと掛けているメガネは度なしレンズの伊達メガネだそうで、、笑。そして視力は「2.0」。

しかも驚くことに他の2人のスタッフも度なしレンズの伊達メガネ、眼鏡屋なのに眼鏡不要のみなさんです笑。
メガネをかけているから目が悪いとは限らないようですね。

店主の寺山洋平(てらやまようへい)さん。この日は黒縁メガネを着用。

聞くと、寺山さん達にとってメガネは幼いころからずっと憧れだったそう。
高校生のときに試しに伊達メガネをかけていったら「賢そうにみえる」と友達に言われたのが嬉しかったというのがきっかけで、そこからどんどんメガネの世界に入り込んでいったそうです。
ついにはご自身のお店を開業してしまうのだから、趣味や好きなものがもつパワーは計り知れないですね。

それにしてもスタッフのみなさん、メガネがとてもよく似合います。

インタビュアーは広島県民おなじみのあの2人

まだ少し緊張感の残る中、みんなで雑談をしていると、、
そこにあらわれたのは今回スターターズ記事のインタビュアーを勤めてくださる、広島ローカルタレントの中島尚樹・井上恵津子ご夫妻。

広島ローカルタレントの中島尚樹・井上恵津子ご夫妻

お二人のYouTubeチャンネルでは、広島県内各地をご自身の足で訪れ取材したおすすめスポット情報などを発信されています。

『ひろしまスターターズ』のサイトは、基本的にテキストだけの情報発信でしたが、昨年2022年から動画での情報発信にもチャレンジされています。
これまでも過去に2回、中島家さんと一緒に「創業」を切り取って取材してきました。
インタビュアーが変わると相手から引き出すことの出来る話が全く異なってくるため、誰がインタビューするかという点も取材時に力を入れているポイントです。

まずは全体の流れを相談。

  • どのような流れで進めていくのか

  • 動画版とテキスト版それぞれ何の質問をするのか

  • ピンマイク、音響の調整

  • カメラで映す背景と立ち位置の確認(なるべく全体を映すように配慮しながら)

などなど。
特にカメラ位置は、1つのカメラは全体を映す用に、2つめのカメラはアップ用にして、人がどんな風に映るか、そして店内の雰囲気を伝えることも意識して考えながら撮影場所を調整していきます。
笑いの裏側にあるプロ意識!そんな配慮があったとは驚きです。

当初予定になかったことでも、気になるところはところどころ追加で取材させていただくことに。撮影対象の許可やまわりへの気配りも欠かさず撮影は行われていきます。

そんな準備段階の中、何気なく中島家ご夫妻が聞いた「昔、ここは何屋さんだったんですか?」という質問。

寺山さん「もともと家財屋で、次がふとん屋、そして今めがね屋ですね」
中島家さん「なるほど。家財屋、うどん屋、めがね屋なんだ!」

・・・(うどん)?
『うどん』と『ふとん』は発音が紛らわしいですね!笑

さて、ひと笑いとったところでインタビューへ突入。
そんな場があたたまる雑談もかかせないということですね。

取材の裏側はというと

『創業』というと、どんなイメージをお持ちでしょうか?
世間一般的にはやはり「大変そう」「リスクがある」「収入が不安定」など負のイメージが強いように感じます。
取材では、そこに気を配りながら気になるポイントを質問の中に織り交ぜていきます。

インタビュアーのお二人は、ポイントになりそうな言葉を拾ってキャッチコピーをつけてみたり、尾道という地域特性に触れながら質問を変えてみたり、要所要所を言い換えながら心地の良い相槌で、次々と話を引き出していきます。


____寺山眼鏡店は完全オーダーメイドで製造から販売まで全て自店でおこなっていますが、そうなるとメガネの種類は当然少なくなってきます。それでもメーカーのものを入れないのはなぜでしょう?

寺山さん:「色んなメーカーのものがあると自分達でアフターフォローができない。でも自分達のもの(メガネ)だったら自分達でアフターフォローまでできる。全部ここでやっているからこそ、低価格で、なるべく長く使ってもらえるようにちゃんとフォローが出来る。だからこのスタイルをとっています。」

また、メガネを使う上で1番大事なのは『サイズ』だそう。

サイズが合わないと「メガネが似合わない!」ともなりかねないため、メガネに困っている人は実は結構多いようです。そのため寺山眼鏡店では製造するときにお客さんの顔をよーくみながらその人用にサイズをカスタマイズ。『自分だけに合うメガネ』を作ってくれます。

「お店を訪れる人は、最近ではSNSや人からの紹介で既にお店のことを知って来てくれる人が多くなっています」と、寺山さん。
また意外にも尾道を訪れる観光客の方も「メガネに困っていたから」と購入していく人も結構いらっしゃるんだとか。

サイズ調整しながらメガネのデザインをする寺山さん(お写真は奥様)

ひと通りインタビューを終えたあとは、店内の表側だけではなくて作業スペースとなる2階もしっかり撮影。

ただ、ここの階段がとても怖い・・・
昔ながらの古い作りの家だけあって階段の幅は狭いし段差は急だし踊り場はありません。1段ずつ慎重に上がらないと落ちてしまいそうですが、寺山眼鏡店のスタッフの方は荷物を上げ下げしたり作業中に来客がきたらすぐに出迎えにいったり、日常的にどたばたと降りたり上がったりしているとのことで、、、驚きです。

尾道では空き家を店舗にした場合、大体店前だけ綺麗にしてあとはそのままつかっている物件が多いそうですね。足腰がとても強くなりそうです。

取材班は、動画の尺を想定しながら、素材となるスチール写真もしっかりとって無事にこの日の取材を終えました。

このあとは、取材で得た録音・動画・写真・音声などの素材を編集して、おおよそ3週間後に『ひろしまスターターズ』のサイト内へアップします。

今回取材してみて、気になるワードを探るように、前のめりに聞く姿勢で話を展開していくことが、インタビューの極意なのか?!と感じました。話し手の調子があがっていき、ついつい話しすぎてしまうような口ぶりやさりげない持っていき方は心地のいいもので、とても勉強になりました。


EDITORIAL NOTE ー井上のつぶやき

『メガネだじゃれをつくってください』
・・・もし突然そう言われたら何が思いつきますか?
私は思いつきません。ですが、さすが中島家さん。インタビュー中、大阪ご出身の寺山さん相手にちょこちょこ「メガネだじゃれ」を投げかけます。

おめがねにさがったということですね!」
「そんな人を色眼鏡で見ていないですよね?」

なかなか寺山さんには響いてなかったようですが笑、そんな場を和ませる一工夫もあり、終わる頃には寺山さんもめがねえ笑顔に

そして取材に伺ったこの日、取材用マイクに音が入らないか心配になるくらい商店街のあちらこちらで工事の音が。そんなまちの様子から、また何か1つ尾道に新しいお店が増える予感がします。

次はどんなお店が出来るのか、
そしてどんな創業者に出会えるのか、
尾道から“目が”離せません“ね”

「いま、“い”こ」井上稚子


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