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連載(64):人類の夜明|宇宙の法則「循環の法則」

この記事は『かとうはかる(著)「人類の夜明」』を連載しています。

循環の法則

この宇宙のすべての存在物は、循環の法則によって永遠の命を保持しています。

大気の循環もそうです。

水の循環もそうです。

大宇宙の消滅生成もそうです。

生物の誕生死もそうです。


[炭素の循環]

大気中の二酸化炭素(CO2)は植物の中に取り込まれ、光合成によって有機物に姿を変えます。

草食動物(一次消費者)が植物を食べると有機物は草食動物の体内に移り、肉食動物(二次消費者)がその草食動物を食べると、有機物はさらに肉食動物の体内に移動します。

そして、その動物が死ぬと今度は細菌や微生物によって分解され、結局二酸化炭素となって大気に戻っていきます。

[窒素の循環]

窒素は大気中に窒素ガス(N)として大気成分の約八十パーセントを占めていますが、直接これを利用できるのは根粒細菌などいくつかの種類に限られています。

生物の遺体や排泄物が腐敗細菌によって分解され、アンモニウム塩が酸化して硝酸塩になったものを植物は吸収しますが、この吸収された窒素化合物は、今度は植物体の中で有機物化合としてタンパク質に合成されます。

動物はその合成されたタンパク質を吸収し、動物性タンパク質に再合成して生命を維持しています。

動物体内のタンパク質の一部は生命活動に消費され、アンモニア、尿素、尿酸となり尿成分として排泄されますが、このような排泄物や動物の遺体は、再び分解者によってアンモニウム塩や硝酸塩に還元されるのです。

[水の循環]

地球の地表面積の約七十二パーセントは水で覆われています。

その水は太陽の熱によって蒸発し、雲となり、雨となって地上に降り注いできますが、その一部は蒸発したり、高山で雪になったり、地表を流れ川ヘ合流したり、沼や湖に止どまったり、地中へ浸透して地下水になったり、草木類の根から吸い上げられたりしますが、結局大部分は海に流れていきます。

海に流れ込んだ水は再び蒸発し、雲となって次の降雨を待つことになるのです。

大気中の水は、おおよそ年に四十回転するといわれますから、九日に一度入れ代わっていることになります。

しかし、地下水などの回転は遅く、通常の場合で二、三年、最も遅いサハラ砂漠などでは二、三万年もかかって入れ替わっているといわれます。

これも循環のなせる技です。

[生命の循環]

私たちの魂(意識)は、地上で精子と卵子の結びつくのを待って子宮に飛び込んできます。

飛び込んできた生命は、以後細胞意識を上手にコントロールしながら正常な肉体を形成し、十月十日をもって産声を上げます。

しかし空気に触れるや否や過去の記憶は完全に潜在し、全く新しい人生を歩まねばならなくなります。

(あなたという意識生命は、Aという名の肉体の操縦者となって八十年余の人生を送ることになるのです)

こうして再生した生命は、新しい人生体験を魂の中に刻んでいき、やがて携えてきた目的を果すと、地上に肉を残し再び意識界へ戻っていきます。


私たちの生命がエネルギーであるように、この宇宙に遍満する生命はすべてエネルギーの一種なのです。

そのエネルギーが時に、水の循環として、物質の循環として、宇宙の脈動循環として(膨張と収縮の循環)、生命意識の循環として姿を変えていくからこそ、永遠の命が約束されるのです。

もしすべてのエネルギーが固着し、循環を停止してしまったらどうなるでしょうか?。

水は澱み、物質は静態し、宇宙意識は一箇所に止どまって輝きを失い、闇一色の世界が訪れるでしょう。

“私は死にたくない、永遠の命が欲しい”という人がいたとすれば、それこそままならぬ老いの身を引きずり(生きる屍となって)永遠に地上をさ迷わねばならないでしょう。

今生でやりとげられなかった目的も、新しい肉体がもらえるから果せるし、無念の悔しさや漸塊の思いも、次生あるからこそ晴らすことができるのです。

生命の平等性はこの永遠の循環があるから成り立ち、私たちは今の環境に甘んじられるのです。

※生命はさまざまな姿を見せるが、それは永遠の循環あればこそ、もしすべての循環が停止したら、命の火花は闇の彼方に葬り去られるだろう。


老人は一息ついた。

老人の沈黙は西の空に一筋の流れ星が走るまで続いたが、それを満足そうに見送ると老人はおもむろに口を開いた。

「ミクロの世界も、マクロの世界も、実に人間によく似ています。だから人間を知るには宇宙を理解すればよく、宇宙を知るには人間を理解すればよいのです。

宇宙は人間の拡大図であり、人間はまた宇宙の縮図なのです。

どうでしょう。

人間の正体がご理解できましたかな?。

人間の正体が理解され、多くの人が人生の真の目的を知った時、奉仕社会は喝采をもって迎えられるのです。」


(以上で第三章は終了です。次は第四章「人類は何処へ行く」に進みます。)

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