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連載(91):人類の夜明|まどろみの中で「何事も飯の種にしていては真心はこもらない。」

この記事は『かとうはかる(著)「人類の夜明」』を連載しています。

何事も飯の種にしていては真心はこもらない。

教育にしても、政治にしても、宗教にしても、科学や芸術にしても、それを飯の種にしている限り本物にはなり得ない。

どんな人の心にも、必ず正義の虫は宿っている。

しかし、悪の虫も同居しているのである。

その悪の虫は、華やかなもの、金ピカなものに弱く、権力には更に弱い。

したがって正義を貫こうと思っても、それを貫くことによって生活が破綻するとすれば、悪の虫が『そんな馬鹿げたことは止めろ!』と囁くだろう。

現実に返って見ると、やはり我が身が大切なのである。

仕方なく、不本意ながら不正義を通すことになる。

そして、もっともらしく弁解するのである。

○ このプロジェクトは専門家の我々から見ても危険はない!、だから進めるべきだと・・・。

○ 喜捨しなさい、さすればきっとあなたは救われるでしょうと・・・。

○ あまり出来栄えは良くないが、早くお金にしなければならないので、このへんで妥協しようと・・・。

○ 締め切りが迫っているので、適当に書きつないでおこうと・・・。

○ 儲けるためには質より量だと・・・。

○ 地位確保のため、あるいは金儲けのためなら、自らの信条を曲げてでも従おうと・・・。

こうして正義は飯の種にねじ曲げられ、良心は牢獄の中に封じ込められるのである。

もし生活に心配がなければ、人々は堂々と正論を語り、誠心を表し、偽らない自分を現わすことができるだろうに・・・。

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