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連載(9):人間の使命と目的

この記事は『かとうはかる(著)「人類の夜明」』を連載しています。

5. 人間の使命と目的

「人類の歴史を振り返ってみると、どの時代も闘争と破壊、貧困と飢餓の繰り返しでした。

なぜ、このような悲劇がいつまでも繰り返されるのでしょうか?。

それは、人類の目標が不明だったからではないでしょうか?。

すなわち、一体人類は何のために存在しているのか?

一体人類は何を目指して生きなければならないのか?、

など人類が進むべき道が不明だったため、ただ物質的豊かを追い求める経済や、領土拡張などに明け暮れてきたのではないでしょうか?。

個人にしてもそうです。

人生の目的が不明だから、ただ肉体を守る行為や生本能を満たす行為などに明け暮れてきたのではないでしょうか?。

しかしこれでは、万物の霊長としてはあまりにもお粗末です。

人間は動物とは違うのですから、そんな生き方をして良いはずはないのです。

人間には、やらねばならない目的と使命がちゃんとあるのです。

では、どのような目的と使命が与えられているのか?、

宗教じみた話は後に譲るとして、ここでは万物の霊長としてやらねばならない目的と使命を示しましょう。

目的とは、『人格を極めること』です。

つまり、

・慈愛の精神を養うこと
・不動の心を築くこと
・不屈の精神力を養うこと
・やさしさやおもいやりなど、他人をいたわる心を育むこと
・広く大きな心を育てること
・正義と秩序を守る心を育てること

このように心を豊かにすることが、私たちがこの世に生まれてきた目的なのです。

この目的が達成できれば、必然的に人類の使命も達成されるのです。

人類の使命とは、この地球上に理想世界を建設することです。

世界は一人ひとりの集まりです。

その一人ひとりの人間が愛深く、どんな苦難にも負けない不屈の精神を築き、不平不満をいわず、人にやさしく、かつ人を思いやる心を培ったなら、世界は必然的に平和にならざるを得ないでしょう。

すなわち理想世界が造られるというわけです。

考えてみて下さい。

人間社会の争いは、すべて欲得がらみで起きているのですよ。

それは、人の心が豊かになれば回避できるのです。

家庭の不和も、小さな戦争も、大きな戦争も、みな心の未熟さが生み出しているのです。

多くの予算を使って道路を整備しても、交通事故がなくなることはないのです。

莫大な予算を費やして武装しても、戦争がなくなることはないのです。

事故をなくしたいなら、戦争をなくしたいなら、人の心を豊かにすることです。

人の心が豊かになれば、黙っていても人類の使命は達成されるのです。

政治や経済や科学は、この使命を達成する手段にすぎないのです。

ならば、使い切れないほどお金や物を集める必要もないし、資源やエネルギーを奪い合うようなことも不要でしょう。

また物質科学一点張りの文明も、この目的の前では何の意味もなくなる。

ましてや、自然を犠牲にして経済拡張をはかるなどは、愚ともいえる所業でしょう。

こうしてみますと、お金や物に幸せを求めるライフスタイルからの脱却が、価値観を越えて求められてくるのです。」

「しかし私たちは、そんな目に見えない目的のために生きられるでしょうか?。私たちの生き甲斐は、やはりおいしいものを食べ、楽しいことに熱中する、そんなところにあるのではないでしょうか?。」

「しかしその食べたり楽しんだりする満足も、ほんの一時のものなのですよ。

そんなつかの間の喜びのために人は奪いあい、殺しあい、悲しみと苦しみを作っているのです。

一時の満足を得んがために永遠の心に傷をつけてしまう、そんな愚かなことをして良いでしょうか?。

後で触れますが、真の幸せは物や快楽の中にはないのですよ。幸せは唯一、心の中にあるのです。

もう一度いいます。

私たちがこの世に生まれてきた目的は、人格を磨くためです。宗教的にいえば、魂を磨くためです。これ一点に尽きるのです。」

「では、経済的豊かさは必要ないとおっしゃるのですか?。」

「必要ないとはいっておりません。

ただ今日のように経済行為だけが、人生の目的であるかのように考えるのは間違いだということです。

一生、お金、お金、お金、利益、利益、利益、と経済に振り回され、果して私たちは死ぬ間際に悔いを残さないでしょうか?。

人生はそんなものではないでしょう・・・?。」

「それでは、人生を楽しむことは悪なのですか?。」

「いいえ、大いに人生を楽しんでください。

しかし、節度だけは守ってほしいのです。

なぜなら、人類は万物の霊長として地球環境を守る大きな責任を持っているからです。

ですから人生を楽しむにしても、そこに節度が必要になってくるのです。」

(つづく)

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