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高校の教室に青春という忘れ物をした。


青春。


僕はこの単語が非常に苦手だ。


部活動。仲間と流す汗。

団の勝利を信じて声を張り上げる体育祭。

文化祭準備の中迎える日暮れ。

仲良し男女4人グループで放課後カラオケ。

付き合いたての彼女との通学路。

制服しか知らないあの子の私服姿。


その全てを僕は知らない。


お前はこじらせてる。


これは周囲の友人から嫌というほど言われてきた言葉だ。

青春もののドラマを批判し、

流行りの恋愛ソングを嫌悪し、

団結を薄っぺらいと嘲笑した。

僕は青春と呼ばれる高校時代を全て捨ててしまった。



部活生を横目に塾の自習室へと向かい、

行事ごとに打ち込む人間を馬鹿にしながらゲーセンに行き、

恋人がいる人間は受験に落ちると軽蔑した。


青春コンプレックス。

これが僕につけるべき病名だ。



僕の出身校は体育祭が盛んなことで知られている。

各団に50万円ほどの予算が配布される大規模な応援。

特に団の幹部となると、

夏休みを犠牲にしてまで応援の構成や作戦を考える。

体育祭の期間は放課後遅くまで体育祭準備や応援練習が行われる。

3年生を中心に指揮が高まる中、僕は塾でポレポレ英文読解とにらめっこをしていた。


そして、体育祭が終わると、円陣を組み幹部たちを中心に団員たちは涙を流す。

みんなのおかげで俺たちは応援優勝できました!

本当に今まで頑張ってくれてありがとう。俺たちについてきてくれてありがとう。


僕は円陣の中にいたが心は蚊帳の外だった。

団長が言うみんなに僕は入っているのかな。


僕は羨ましかったんだ。

勝った、負けたにそこまでこだわって涙まで流せる人たちが。


本当は馬鹿になんかしちゃいない。

彼らのようになりたかったんだ。


そう言えば、3年間片思いしていたあの子にも結局何も言えなかったんだっけ。。


親に言われたことがある。

心配しなくても大学に入ったら遊べるし、彼女くらいできるって。


違うんだよ。


青春には消費期限がある。



僕に消費されなかった青春は


2012年の教室に置き去りになったままだ。



ここまで読んでいただき、ありがとうございます。今、心の傷を少しづつ癒しながら元の自分に戻れるよう頑張っています。よろしければサポートお願いします。少しでもご支援いただければそれが明日からの励みになります。