新規事業と企業再生のつながり
こんにちは、戸田です。
TRAILでは、新規事業(大学発ベンチャー)から企業再生まで、一見すると全く異なる案件を同時に扱います。
新規事業と企業再生は、会社のライフステージで最も遠い組合せにも見えます。
しかし、経営企画(場合によっては社長)の仕事をインハウスで請け負ってきた中では、それぞれの経験が、もう一方に活きていると感じています。
新規事業には、企業再生の経験が活きる
新規事業や大学発ベンチャーは、新しい可能性を秘めた革新的な技術やアイデアを基にして、市場を創造し、顧客の需要を生み出していくことに醍醐味があります。
しかし、ご存知のように、そのほとんどは失敗に終わってしまいます。
その理由の多くは「そもそもニーズが無かった」というのもありますが、一番よく言われることは「資金が底をついた(調達に至らなかった)」です。
出典元)https://www.cbinsights.com/research/report/startup-failure-reasons-top/
それは“理由”ではなくて“結果”では?という気がしなくもありませんが、いずれにしても、現金がなくなったことで、事業仮説の検証がこれ以上できなくなることが非常に多い。
この状況はまさに、資金収支がマイナス=赤字の状態からどのようにして抜け出す方法があるのか、という視点において再建再生と類する点があり、会社が終わってしまっては元も子もない中において、いかに限られた資金を有効に使えば最短距離で浮上できるのか、を考える場合において、企業再生の経験が活きます。
もちろん、会社を持続させるためのキャッシュ・ニュートラル(収支均衡)を目指す、という考え方は、スタートアップが成長目標を達成しようとするアプローチ(B2B SaaSの例;T2D3※)とは、必ずしも一致しません。
※https://www.t2d3.pro/#t2d3
むしろ企業再生で粘るくらいなら、一度会社を解散してしまって、もう一度新しい会社を作ったほうが早いこともあります。しかしながら、ベンチャー経営において、予め資金繰りの大変さを知っているか知っていないかは、大きな違いになるのではないでしょうか。
企業再生には、新規事業の経験が活きる
企業再生の局面にある会社では、どちらかといえば財務的な論点や課題、さらに厳しい場合には法務的な対処が必要となることが多いでしょう。
しかしながら、元をただせば、事業(商売)が上手くいかなくなっているからこそ、さらにその根本には、正しい経営の意思決定をできなかった組織体質(文化)そのものにこそ、真の原因があることが殆どです。
このような企業再生の場において、上手くいっていない事業を再度、プロダクトマーケットフィットさせるべく業態変更又は事業開発を図ること、さらには、経営チームの在り方そのものをゼロベースで見直すこと(スタートアップでの経営のように)において、新規事業の経験にもとづいた知見は非常に有効です。
とくに中小企業、スモールカンパニーにおける企業再生では、あまり「内」だけに焦点を当てても、勝ち筋が見えにくいと考えます。また、窮境原因といった「過去」の裏返しがはたしてそのまま企業再生の解にもなりません。
なぜダメだったかが分かったからと言って、ではこれからどうすべきかを必ずしも導けません。そのような時こそ、改めて市場・顧客という「外」に目を向けて、「将来」基点での戦略が不可欠になります。
このように、新規事業と企業再生は、全く接点が無いものではありません。むしろ根っこの部分では、「イノベーション」と「リノベーション」は、一つの環のように、経営としてつながっているとも言えるかもしれません。
本日は、以上です。
TRAIL INC.(トレイル)
経営変革のための伴走パートナーシップ
Open Management®
(オープン マネジメント®)
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