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『キューバ医療の現場を見る』キューバ友好円卓会議

はじめに:持続可能な社会を創るキューバ

女史は、2018年にキューバを訪れた。そして女史は、キューバに一瞬で魅了された。キューバほどに豊かな国を、女史はあまり見たことがない。共産主義は滅びてなどいない。女史はそう思った。

ホセマルティ、そしてゲバラとカストロの高い志を、西洋諸国の魔の手から、命を呈して守り実現したキューバ市民の誇り高き国を読者に紹介したい。

キューバは、医療、農業、教育、など、様々な分野で優れた技術を有している。今回は、医療に着目した著作を紹介したい。

ちなみに、キューバの医療は無料である。そして、外国人に対してもこれは適用される。

さらに、ラテンアメリカ各国の優秀な学生が、わざわざキューバに留学し、医療を学ぶという現象が長らく続いている。それに関しても本記事で説明したい。

異郷から来た女史が何者か知りたい人はこれを読んでくれ。

そして、女史のnoteをどう読むか、こちらを参考にしてくれ。

*これは、女史がキューバで撮ったカリブ海だ。大変美しい。(転載厳禁)

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キューバ医療の基本:ファミリードクター制度

キューバの医療システムの基本はファミリードクター制度である。ファミリードクターは、各地域の診療所に付随した自宅に暮らしており、一人のファミリードクター当たり、120家族(700-800人)の住民の健康管理を行っている。

そして、ポリクニコと呼ばれる総合医療所が、ファミリードクターのバックアップ機関として存在している。このポリクニコの上に、州病院、その上に、全国病院が位置するピラミッド式体制図となっている。

住民は、基本的な日々の診療をファミリードクターの元で行っている。ファミリードクターの利点としては、読者の皆様のご存じだと思うが、より地域の人々に密着した細やかなケアを提供することができる点等が挙げられる。

ちなみにキューバの、人口当たりの医者の数は日本の3倍である。

キューバで医師免許を取った医者たちは、全員、3年間ファミリードクターとして各地域で経験を積まねばならない。

このように、キューバでは、医学部卒業時からのキャリアパスがしっかりと医療体制の中に組み込まれているのである。

キューバ市民は、地元の信頼できるドクターの元、日々の健康管理を行っている。

医療教育:薬剤治療に依存するな

キューバの医療の凄さは体制だけではない。医者を育てる医療教育も非常に素晴らしい。

まず、キューバの医学部生たちは、薬剤による治療のみに頼ってはならないという方針の元、ありとあらゆる医学を徹底的に教え込まれる。もちろん、西洋医療もしっかりと勉強するが、それに加えて、鍼灸、経絡、などの東洋医療も学ぶ。

こうすることで、後々ファミリードクターとなる彼らは、地域の患者に対して、薬の投与に限らず、より適切な治療法を提供できるのだ。

例えば、皆さんが体に痛みを感じて病院に行ったとする。きっと鎮痛剤をもらって帰ってくるのが関の山だろう。キューバでは、もちろん鎮痛剤を提供する場合もあるが、薬だけに頼らず、根本的な体の痛みを治療しうる手法を試してくれる。これは、世界中の幅広い医学を学んだ医者にしか提供できない治療方針である。

医療外交:教育とエイズ

キューバは、その高い医療における知見を外交に巧みに使用している。もちろん、よい意味で。

キューバは、前章で述べた医療教育の高さから、ラテンアメリカ各国から優秀な学生たちがその門戸を叩く。

しかし、理由はそれだけではない。キューバの教育は無料で行われる。もちろん、外国人学生にも無料で提供している。

ラテンアメリカの多くの地域では、医療が行き届いておらず、医療教育もあまり発達していないケースが多い。そのため、志の高い学生は、キューバの優れた医療教育を受けたがる。そんな学生をキューバは快く受け入れ、教育を受けさせ、さらには祖国に帰し、彼らが地元の村の医者として活躍できるように育てる。

外国人学生から搾取するのでなく、彼らを優秀な学生に育てて、国に帰す。なぜなら彼らはいつしか一国を率いるリーダーに成長するはずだからだ。そうなったとき、彼らはきっとキューバに価値を還元してくれる。

キューバの外交はエイズという人類の重大問題にも適用される。キューバのエイズ罹病率は0.06%と、先進国も顔負けの低数値だ。

これは、キューバがエイズ発見初期から患者を隔離し、研究を続けてきたことにある。隔離と言っても、日本のハンセン病患者への仕打ちとは全く異なる。人権を侵害するような手法ではなく、あくまでも治療をする中で彼らを徹底的に研究し、症状が回復した場合には日常生活に彼らを返した。

こうして、キューバはエイズの治療薬を開発するに至った。

多くの西洋諸国の企業も、同様にエイズの治療薬を開発し、販売している。問題点は、それらが非常に高価で、貧しい発展途上国ではそれらを買うことができない。ゆえに、発展途上国ではエイズは死に至る病である。

西洋諸国の企業は、エイズ患者からも金をむしり取る、悪魔である。

一方のキューバは、独自に開発した薬を、発展途上国に無償で提供している。欧米企業の薬が買えない発展途上国にこれらを提供し、彼らの国の健康に大きく寄与している。

医療教育やエイズ治療薬を無償で気前よく提供することで、キューバはラテンアメリカの健康に貢献するとともに、周辺諸国との友好的な関係を築いている。

見返りを求めない、それどころか相手諸国の幸せを願った上での外交。

どこぞの西洋諸国とは大変に大きな違いである。

共産主義の特権:競争原理の不在

さて、なぜキューバはこれほど気前の良い国なのか。それは彼らが共産主義の中で育ってきたことが大きな要因である。

共産主義の下では、競争原理は働かない。競争がないため、他人を蹴落とす必要がない。競争がないため、特定の職が”かっこいい”、”金持ちになれる”などという原理も存在しない。

むしろ、キューバの医者の給料は、農民の収入よりも低い。

競争原理が働かないからこそ、キューバの市民は、自分の本当の意志に基づいた選択ができる。医者になりたければ医者に。農業が好きなら農家に。弁護士になりたいなら弁護士に。日本のように、”給料が高いから医者に”、”安定しているから公務員に”、”でも本当は田舎でのんびり花屋さんでも開きたいな。。。”なんてことにはならないのだ。

さらに、競争原理の不在は選択の自由だけでなく、研究開発にも大きく寄与する。研究者間、企業間で競争する必要がないため、協業が可能なのだ。世界中のほとんどの企業は、自社の技術は徹底的に秘密にし、いかに相手企業を出し抜くかを考えている。しかしキューバでは、秘密にするどころか、皆で協力して研究をし、成果を共有する。

さて、どちらの研究スタイルが技術発展に向いているか。もちろんキューバのスタイルだ。多様な情報の常時共有は、科学の発展に寄与する。これはありとあらゆる科学論文で証明されており、反論の余地はない。

こうして競争原理の不在は、キューバの医療の根本となっている。

おわりに:自由になるために学べ

共産主義は滅びた。それは誰の意見か。発展途上国や自国内の貧者から搾取を続ける、先進国政府及び物事を深く考えたこともない大衆の意見であろう。

キューバの光景を目の当たりにした女史は、彼らを信用するか?答えはNOである。

私は、共産主義に諸手を挙げて賛同するわけではない。しかし、キューバ式共産主義から学ぶべきところは大いにある。これは確実だ。

日本を含む西側諸国の意見は、巧みに大衆を骨抜きにし、あらゆる疑問への興味関心を無くさせる。

女史や、女史の読者の皆様のように、常に物事を注意深く観察し、虚構に惑わされない人間がもっと世界に増えていけば、幸福な社会が実現できるはずだ。

これが、私がキューバ渡航で学んだことのうちの一つである。



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