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地震の日の会ったこともない自分

地震が怖い。

地震がおきた時や思い出した時には強く思う。

そうじゃない時も、ずーっと意識のどこかに「地震が来たらこわい。来たらどうしよう」というのがあるはずだ。

そこを起こしたら、無限にいろんな怖いことを想像できるのであえて無意識と意識をふわふわいったりきたりさせながら、浮かせているという感覚。

現実逃避にように聞こえるかもしれないが、実はこれこそがリアルにいつも有事を考えていることなんだと感じている。

東日本大震災から徐々にそのリアルさは育ってきた。

311のあの日、私はスタジオにいて自分が関わるコンテンツの撮影に立ち会っていた。

スタジオのロフト部分にいたので、揺れの体感は大きく、何かを触っていないと投げ出されそうな不安定さで、なのに心はどんどん静かになっていった感覚が忘れられない。

最初は確かに「やっば!」などと稚拙な言葉で思ったけれど、揺れが大きくなるにつれて心のスイッチは切れたみたいに静かになり、水の中にいるみたいな感覚だった。

でも、揺れている最中、電気がチカッチカッと一瞬消えて着いた時、自分の心にカチッとあるスイッチが入ったのがわかった。

それは、それはこれまで会ったことがない自分だったのです。

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