ブリュッセル③【伝統を守り続ける家族経営醸造所】
こんにちは。いこです。
ベルギーのブリュッセルに来ています。
今日はブリュッセルを代表するカンティヨン醸造所を見学します。
ビールの常識をくつがえす、すごい醸造所を見学しよう
↑朝10時。カンティヨン醸造所に到着です。
↑カンティヨン醸造所のロゴマーク。最高ですね!! 飲んだくれが後ろ向きに倒れてる。これなら後頭部は守れませんが、ビアグラスは守れます。
↑何かが空気中を漂っているというような、不思議な香りがする醸造所の内部。
↑カンティヨンのビールを飲ませてもらえるようだったので、さっそく一杯いただきます。
ご覧くださいこの色。
ビールに見えなくないですか??
紅茶か、お茶か……
泡もないですし、冷えてる感じでもないですし、見た目も色も、ビールとはとても思えませんよね。
これがカンティヨンのランビックビールです。
もうね……むちゃくちゃ美味いんです🍺
ほかのビールでは決して味わえない無二の世界が広がっています。
酸味と苦味が強くて、一見ビールとは思えないんですが、複雑で芳醇、一度飲んだら忘れられない究極のビールだと思います。
ランビックとは?
ランビックについては説明が必要だと思います。知ってる方、だるい方は次の見出しまで飛ばしていただいて大丈夫です!
現在多くの場合、ビールとは「ラガー」か「エール」のことを指します。
たとえばアサヒスーパードライとか、キリン一番搾りみたいな、喉越しや爽快感、冷やして飲んだときのおいしさが味わえるのがラガーです。
↑こういうの。
外国でいえば、ピルスナー・ウルケルもラガーですね。こういうビールは、発酵するとタンクの底に沈んでいくタイプの「下面発酵酵母」を使って作ります。
それに対して、香りや苦味を大事にしたり、冷やして飲まなくても美味しかったりするビールが、エールです。日本ではメジャーじゃないですが、実はこっちの方が歴史は古い。
↑日本のものだと「よなよなエール」とか「インドの青鬼」「水曜日のネコ」が人気。
外国のビールで、日本でもよく知られているものだと、ギネスがありますね。エールはめちゃくちゃ種類が豊富で、僕の旅行記に登場するビールは8割以上エールです。
エールは発酵すると酵母がタンクの上にのぼっていくタイプの「上面発酵酵母」を使って作ります。
しかし、ランビックビールは、エールやラガーを作るときのように酵母を注入しません。
ビールを作るために欠かせない酵母を入れない……それじゃアルコールになりません。
いったいどうするのかというと……
空気中に浮遊してる微生物が、自然とビールに入るのを待ちます。
そんな気の遠くなりそうな製法を、1900年からずっと行なっているのが、カンティヨン醸造所なんですね!
いったいどうやって作ってるの?
ではどうやって作っているのか見ていきましょう。
↑麦芽を煮立てて、麦汁を作ります。カンティヨンでは、大麦以外に小麦も入れてビールを作っています。
↑機械がちょっと小さめ。家族経営なんだなあ、というのがうかがえます。
↑こちらは麦の貯蔵庫。屋根裏!
↑ご覧ください。蜘蛛の巣張ってる。本来清潔であるべき醸造所で、信じられないことだと思いますが、実は、蜘蛛の巣が超大事なんですね。
なにしろ自然のままの環境でビールを作るので、虫が出ます。そういった虫がビールに入るのは避けなければなりません。
だから、虫を蜘蛛につかまえてもらう、というわけなんですね。
なんてアナログな、と思うかもしれませんが、伝統製法にこだわる醸造所の、譲れぬ思いを感じます。
↑この水槽に熱した麦汁を置いて冷ましながら、自然と空気中を浮遊する酵母菌が入るのを待ちます。
そして貯蔵。ランビックは貯蔵するうちに、だんだん発酵が進んで、ビールの量が目減りしてしまいます。
それでも数年以上貯蔵して、より美味いビールを追求するんだとか。
↑樽を見るだけでテンション上がります。
そうして出来上がったのが、カンティヨンのビールというわけですね。
カンティヨンのビールを飲んでみよう!
お待ちかねのテイスティングタイムです。
↑ランビック。輝いてますね!
これまでもランビックビールは飲んだことがあったんですが、カンティヨン醸造所のランビックは、完全に別格でした。
ランビックは酸っぱいビールなんですが、まさにビールって多様なんだな、と思わせてくれる味です。
ラガーやエールにまったく引けを取らないどころか、これなら毎日でも飲みたいと思わせてくれる芸術品。
何度も何度も目を閉じ、首を振り、じっくり味わいました(笑)
なんかマニアっぽいしぐさですが、単なる飲んだくれです。
↑左がフランボワーズ。右がグーズ。
古いランビックと新しいランビックを混ぜ合わせ、さらに貯蔵し、発酵をうながして作るのがグーズです。ランビックよりも、より酸味が強くなっています。
また、グーズにキイチゴを足して、飲みやすくしているのがフランボワーズ。
次々に伝統的な製法のランビックが消えていく中で、ずっと同じ製法を守り続ける。
そんな素晴らしい家族経営の醸造所でした。
いつまでもこの味が、残っていきますように。
ブリュッセルの夜は続く
カンティヨンの衝撃さめやらぬ夜、ブリュッセルでもう一軒有名なバーに立ち寄りました。
↑「ムーデル・ランビック」というお店。
ここはランビックビールを始め、一風変わったビールを取り扱っているお店です。
左が酸味に特化したビール「GUEUZE TILQUIN」(グーズ・ティルカン)。
右が**苦味に特化したビール「XXX BITTER」(イクスイクスイクスビター)。 **
似た色と泡持ちしてるのに、飲み心地はまるで対極。
右はもう、苦いビールといわれるIPAの苦味ですら我慢できない人が飲むビール(笑) 最強の苦味です。
ああ、結局今日も飲んでばかりでした(笑)
ブリュッセルの夜を満喫しました。
p.s.
カンティヨン醸造所内には、製造工程を表す番号と、かわいい絵がついてるんですが……
↑最初はこんな感じで、まだシャンと立ってるんですが、
↑やがて発酵を待つ絵にかわり……
↑ついには飲んだくれになり、、
↑最後はハンモックでぐっすり。よい姿です。
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