テクノ/ハウス名曲選(後編)'91-'99
※2500字以上の記事です。
お時間のある時にお付き合いいただけると嬉しいです。
前回に引き続きテクノの名曲を紹介していきます。
なお、前置きとして書いた記事で私が挙げた「テクノの三要素」より「音(サウンド)」「リズム」「コンセプト」の三つの評価軸を★5点満点で評価を付けました。
さらに、その楽曲自体の知名度も★5つで表示しています。
①Energy Flash/Beltram('91)
知名度 ★★★
サウンド ★★★★★
リズム ★★★★
コンセプト ★★★★
ベルトラムは、アメリカのジョイ・ベルトラムによるユニット。このアシッド・ハウスは世界的なヒットを果たした。畳みかけるようなリズムトラックとウネウネとしたサウンドが心地いい。途中で入るストリングスは、オービタルの『Chime』(前編⑫)のサンプリングか。
②Little Fluffy Clouds/The Orb('91)
知名度 ★★
サウンド ★★★★★
リズム ★★★★★
コンセプト ★★★★
ジ・オーブは、イギリスのテクノユニット。ニワトリの鳴き声、飛行機の音、男女のナレーションのような声からはじまるイントロ、メロディアスなシンセのリフ、小気味いいリズムトラックの組み合わせが素晴らしい。
③Go/Moby('92)
知名度 ★★★
サウンド ★★★★
リズム ★★★★
コンセプト ★★★
モービーは'90年代初頭から DJ をはじめていたアメリカのアーティスト。
初期の代表曲であるこの曲ではドラマ『ツイン・ピークス』のメインテーマがサンプリングされている。
渋いストリングス、「Go!」の掛け声、女性ボーカルのサンプリング、それらをまとめる激しいドラムのビートが圧倒的な存在感を放っている。
④POPCORN/電気グルーヴ('93)
知名度 ★★★★
サウンド ★★★★★
リズム ★★★★★
コンセプト ★★★★★
電気グルーヴのアルバム『VITAMIN』より。'69年にガーション・キングスレイが発表した曲のカバーで、アシッド・ハウス風のアレンジがされている。
テクノの古典を当時の最先端の音楽スタイルで蘇させるというアイディアが秀逸で、音の立体感が際立っている。テレビ番組の BGM として使われることも多かった。
⑤On/Aphex Twin('93)
知名度 ★★★
サウンド ★★★★★
リズム ★★★★★
コンセプト ★★★★★
エイフェックス・ツインは、イギリスのリチャード・D・ジェームスによるテクノユニット。テクノのおもしろさの一つに、「動」と「静」が共存する要素があるが、この曲はその代表格ともいえる名曲である。
静かな電子音、雷の音ではじまり、そこに音圧の強いベース、ソリッドな音が絡んできて、徐々にテンポアップしていく。ゆっくり盛り上がっていく過程がいい。
⑥Born Slippy (Nuxx)/Underworld('95)
知名度 ★★★★★
サウンド ★★★★★
リズム ★★★★★
コンセプト ★★★★
アンダーワールドは、イギリスのテクノユニット。'80年代末からバンドとして活動を続け、'92年に DJ のダレン・エマーソンが加入して以来、テクノ色の強いサウンドに変化した(ダレンは’00年に脱退)。この曲は、映画『トレインスポッティング』のラストシーンでも使用され、世界的なヒット曲となった。
切り張りして重ね合わせたような独特のリズムのボーカル、キャッチーなシンセのリフ、そして、しっかりフロア仕様のリズムトラック。それらをドラマチックな構成で仕立てている。メジャーなシーンでも支持を得たのがわかる。
⑦Extra/Ken Ishii('95)
知名度 ★★★
サウンド ★★★★★
リズム ★★★★★
コンセプト ★★★★★
ケン・イシイは、日本のテクノアーティスト。この初期のヒット曲の MV は、アニメ映画『AKIRA』の制作にも関わった「スタジオ4℃」が手掛けており、東洋でも西洋でもないサイバーパンク的な世界観が描かれている。
複雑な音が違和感なくミックスされ、映画のワンシーンを彷彿させる構成。ケン・イシイならではの世界観を築いた。
⑧Life Is Sweet/Chemical Brothers('95)
知名度 ★★★★
サウンド ★★★★
リズム ★★★★
コンセプト ★★★★
ケミカル・ブラザーズは、イギリスのユニット。ゲストボーカルとして、ザ・シャーラタンズのティム・バージェスが参加している。
サウンド的にはヒップホップの要素が強いものの、生楽器の音をサンプリングしているため、生音の質感が生きている。ロックのシーンでヒットしたのも肯ける名曲。
⑨Firestater/The Prodigy('97)
知名度 ★★★★
サウンド ★★★★
リズム ★★★★
コンセプト ★★★★
ザ・プロディジーはイギリスのバンド。ダークでエッジの利いたサウンドと癖の強いボーカルの組み合わせが、いかにも同バンドのイメージに合っている。
フジテレビのバラエティー番組『めちゃ²イケてるッ!』でも、この楽曲の一部が BGM として使われていたので、耳馴染みのある方も多いかもしれない。
⑩Da Funk/Daft Punk('97)
知名度 ★★★
サウンド ★★★★
リズム ★★★★
コンセプト ★★★★
ダフト・パンクはフランスのエレクトロデュオ。アシッド・ハウス的なウネウネとしたサウンド(この頃は「フィルター・ハウス」と呼ばれていた)、ファンクのリズムをヒップホップ的な感覚でミックスしている。
犬の被り物をした人物が演じる MV は、映画的な味わいがあった。
⑪Right Here Right Now/Fatboy Slim('98)
知名度 ★★★★
サウンド ★★★★
リズム ★★★★
コンセプト ★★★★
ファットボーイ・スリムは、イギリスのノーマン・クックによるユニット。
幻想的なストリングス、みぞおちに響くような野太い低音、リズミカルな声のサンプリングをブレイクビーツでまとめている。
日本でもいくつかの CM やテレビ番組の BGM として使用された。
⑫Swastika Eyes/Primal Scream('99)
知名度 ★★★★
サウンド ★★★★
リズム ★★★★
コンセプト ★★★★
プライマル・スクリームは、スコットランドのバンド。彼らは'91年に発表した『Screamadelica』で、はじめてクラブミュージックの要素を取り入れた。
この楽曲では、さらに電子音の比重を高め、テクノロック(「デジロック」とも言う)を確立している。様々なアーティストがリミックスした複数のバージョンがある。
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