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#エッセイ
子どもの1歳の誕生日に、どうしようもないツラさを抱えていた君へ
スクロールした画面に遠方の友人があらわれる。いや、友人自身は写っていない。そこにいるのは配偶者や子どもの姿。
30歳を迎えた彼女のタイムラインでは、結婚、出産、子育ての話題がピークを迎えている。とりわけ、子どものお食い初めや誕生日のイベントの投稿が多い。
子どもの誕生日というのは、とても幸せな出来事だ。
けれども彼女は、心の底にたまったオリのようなみじめさを感じずにはいられなかった。
膝の
私が運んでいたものは
黄色いテーブルクロスの上に置かれた、きちんと折りたたまれた真っ白なナフキン。その上にはメニューカードが立てかけられ、スポットライトを浴びて輝いている。これからどんなメニューが出てくるのだろう。はやる気持ちを押さえながら、文字を追う。
何だ、このメニューは。
隅々まで知り尽くして、全てのメニューを把握しているはずのレストランで私たちに用意されていたのは、誰も知らないスペシャルコースだった。
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