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「反例を積み重ねろ。」


ナシーム・ニコラス・タレブ著・「ブラック・スワン」を読んだ。

ありえない事象のことを指すブラック・スワン(黒い白鳥)。

その特徴は、
・普通は起こらない
・大きな衝撃がある
・事後に説明が可能

なこと。

そのありえないことが実際に起きてしまうと社会に大きな影響を及ぼす。

9.11のアメリカ同時多発テロや3.11の東日本大震災なんかはまさにブラック・スワンだ。

このありえないことになぜ人々は気付かず予測も出来ないのか?

そこを紐解いたのがこの本。

クセのある表現が多かったけど、人間の思考に関して鋭い視点で考察していて面白かったな。



本の中で書いてあった人間の思考の特徴を3つほど書いていく。


まず、人間には型にハマった考えをする傾向がある。(本ではプラトン性と呼んでいる。)

こうなったらこういうことが起こる。
みたいな理にかなった考えを幾つも持っている。

これは別に悪いことではないんだけど、
このプラトン性のせいで実際にわかっている以上のことを自分がわかっていると思い込むんでしまう。

この思い込みやズレた型のせいで、ありえない(ブラック・スワン)に気が付けないんだ。


その思い込み・ズレた型は、
間違っていたら深刻な影響を及ぼす。
さらに、間違っているかどうかは事前にはわからない。
(影響を受けた事後にわかる。)



さらに人間の思考の特徴として後講釈や要約・単純化するのが好きだ。

何でもかんでも論理的な繋がりや事実同士を結びつけて考える。

そうすれば、物事をずっと簡単に覚えられるしわかりやすくなるからだ。

ただ、わざわざ次元を落として考えてしまうことで
深読みが苦手になり結果的に世界を歪んでみてしまう。



最後の3つ目は人間は繰り返すことで学ぶということ。

ただその一方でそれまでに起こっていない事象のほうはなおざりにする。

繰り返すことのない事象は起こるまで無視され、起こったことは過大評価される。

起こった事象は具体的で後解釈できるけど、起こってない事象は抽象的だから後解釈や要約が出来ないんだ。

だから、抽象的なことをなおざりにしてしまう。

でも、ブラック・スワンは超抽象的なことだ。



以上3つの人間の思考の特徴を書いたように、

この特徴があるからこそ人間はブラック・スワンが見えないんだ。

起こったことを心配し、起こるかもしれないけど起こらなかったことは心配しない。

それがプラトン性を生み、知っている型や知識を好む。

そうやって現実を見るのに不自由になっていく。


次に来るブラック・スワンは絶対に具体的に見えることはない。

だって、それは未知で抽象的なものなんだから。

捉えることなんてできず、予測したって無駄だ。


だけど、
3つの思考の特徴を避け、ブラック・スワンに対してリスク管理する方法はある。

それが反例を考えまくることだ。

白い白鳥を観たら黒い白鳥を考えるように、積み重ねるべきものは知識や観察の裏付けではなく反例なんだ。

昨日、最悪を想定しろと書いたけどこれも反例みたいなもの。

大雨が降っても治水されているからから大丈夫じゃないんだよ。

そうやって反例を積み重ねることがブラック・スワンに対しての最大のリスク管理になる。


未知は未知なんだから絶対にわからない。

でも、未知が自分にどんな影響を与えるか?はある程度推し量ることはできるでしょ。

よく投稿することだけど、それが致命傷を受けないような戦略ってことだ。


型にハマるな。
思考を疑え。
反例を積み重ねろ。



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