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このままでいいやなんて
去年貰ったアロマキャンドルは
結局火をつけることもないままに
積もった埃が燃え滓のようにじっとして息を潜めている。
夢の様な春が終わり、夢の様な雨が降れば、夢の様な夏が始まる。
履き古したジーンズで
見慣れたはずの街を歩いても
必ずどこかが変わっていて
惨めな気持ちが歩みを鈍らせる。
ここが今、どん底だって、そう思い込んで
生きていきたいんだって
叶うはずもないんだけれど
ここが今、絶頂だ
呟きのような小ささで
満月が映える夜に、一人ではないことを確認するため
僕らはそれを瞳に、レンズに、タイムラインに残す。
孤独ではないと、誰かも見上げていると
繋がりを求めただ、感傷を求めている。
傲慢に発達した無償の愛はナイフに変わり
振りかざし突き刺しても血は流れない。
既に血も通わない偶像はただひび割れ
足蹴にすれば優越感は夜に満ちる。
心ない言葉をぶつけ合った。
心じゃないならどこから生まれた。
喉元からは
春という季節が生み出す雑感
一つ忘れるたびに気がつくこと。
一つ覚えるたびに思い出すこと。
一つ気がつくたびに忘れること。
僕の中に潜むもの。
呼吸はやがて意識しなければ出来なくなった。
心と呼ばれるものは随分と欲張りだと思う。
昼過ぎになって、新しいインスタントコーヒーの瓶を開けた。
漂ってくる香りは僕にある種の寂しさを想起させる。
それは小学生の頃の習い事から帰る途中の車の中だったり、
深夜のコンビニでふと知っている