第55回新潮新人賞
結果から書くと、第55回新潮新人賞の予選を通過した。
ただ、通過しただけ。最終選考はおろか二次選考にも残ることはできなかった。
それでも興奮した。新潮という偉大な雑誌に自分の名前が載ったのだ。
今から約半年前の三月末に締め切られたこの文学賞に、僕は一つだけ作品を投稿した。
「いい加減逃げるのはやめて小説を書こう」と決め、一番初めに書き始めた作品だった。
何故新潮文学新人賞に応募したかというと、僕の尊敬する又吉直樹先生が審査員の一人として名を連ねていたからだ。
正直、全くもって期待していなかった。
話の内容と構成に自信はあったものの、一文ずつ拘って書けたかと問われれば微妙だった。
何より、自分が「面白い」と感じ「こういう話が書きたい」とイメージして書いた作品が、評価されるか不安だった。
不安だったし、一寸先は闇であって、まさに暗中模索、疑心暗鬼の常時「これつまんなくね?」状態。
1ヶ月ほどで書き上げた作品を送ったが、そんなんだから先週まで発表があるのを忘れていたくらいだ。
「絶対落ちてるけど念のため確認しとくか」と思い書店に足を運ぶ。
新潮10月号、新人賞予選通過作品のページを開く。
パラパラパラ
「あー、載ってない載ってないお疲れ様でしたー」
パタンッ
ん?
パラパラパラ
「えっ」
載ってる!!! えっ!!! 俺の名前!!! 載ってんじゃん!!!
店内をほぼダッシュしてレジに向かう。購入し、ダッシュして書店を後にする。
店の外でもう一度雑誌を開く。
「載ってる!!! 俺の書いた『東京ハリネズミ』が!!! 予選通過してる!!!」
やったーーー!!!
その後僕は仕事だったので普通に出勤した。
平静を装いながらも「まじで言いたい。俺の名前載ってる雑誌みんなに見せて自慢したい」と心がムズムズし続けていた。
言わなかった。だって別に大賞を受賞したわけじゃないから。
ネットで調べてみると、新潮新人賞には毎年2000作くらいの作品が寄稿されるらしい。
そのうち予選を通過するのは約40作くらいなのだが、巷では「文体が整っていれば通過できる」と言われているらしかった。
でも嬉しい。何より又吉先生の目に触れたかもしれないと思うと嬉しくて叫びたい気分です。
ギュアアアアアア!!!
何を成し遂げたわけでもなく、何者かになったわけでもない。
だが、僕が夢を叶えるために踏み出した偉大なる第一歩は、ずしんという大きな音と共に、小さな足跡をアスファルトに残したのだ。
それだけで、人生の方針が決定した気がした。
以上報告でした。
あとあたらよ文学賞という賞も現在一次選考通過し、二次選考結果待ちしてます。
これの好評も嬉しかったなあ……。
以上報告でした。
誰か褒めてっ!!!
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