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ファンづくりの極意!『お客さまを“とりこ”にする方法』

1:顧客満足から個客満足へ。
  「あの方」に満足していただく、という売り方。

■言葉に踊らされない「顧客満足」。

「顧客満足」と言われて久しいですが、あなたは実践していますか。

顧客満足と言うと、どんなオファーがあるのか、どんな得があるのか、などばかりが注目されますが、本来は違います。お客さまが「笑顔」になることです。

「キレイごとだ」「抽象論だ」と思われるかもしれませんが、「笑顔」というのは、お客さまの最大限の満足なのです。驚き、感激、感動…、お客さまの心に響いた結果が、「笑顔」なのです。そこには、オファーも得もないサービスが存在します。「おもてなしの心」です。大切な人をもてなす心があれば、やるべきサービスは自ずと見えてきます。

■競合に勝てるのは、お客さまを思う「心」だけ。

デフレを抜け出す気配はなく、いまだ価格競争は続いています。しかし、小さな会社や個人商店が、これをやってはいけません。大手に勝てるわけがありません。

価格競争を尻目に、確固たる自信で成功している会社や商店はたくさんあります。そこには、独自の「顧客満足」があります。お客さまを喜ばせるには? 楽しませるには? 感動させるには? 常にそのことを考え、小さなことを積み重ねています。それを知っているお客さまは、「千円高い程度なら、このお店で買おう」となるのです。これが、差別化です。値引きもおまけもありません。大切なのは、お客さまを思う「心」だけ。

極端に言えば、お客さまを本物の「心」で大切に思うなら、価格は高くても良い、ということです。

■儲かることを考えないと、「満足」は提供できない。

社長、店主も人の子。儲かっていなければ、厳しい顔をしているかもしれません。それでは、お客さまを喜ばせることなど考えられません。心に余裕がなければいけないのです。

そのためには、儲かる手立て、利益を出し続ける仕組みを作る必要があります。利益が先か。顧客満足が先か。まるで禅問答のようですが、これを解決しなければ、成功にはつながりません。

では、どうするか。コストをかけず、お客さまに誠心誠意尽くすこと。お客さまにやってあげたいことをたくさん考えてください。そのひとつひとつを一生懸命にやってください。まずは、ファンを作ることです。その結果が、儲かることなのです。儲かれば、その利益をお客さまに還元できます。すると、またファンが増えるのです。

■これから大切になるのは「個客満足」。

では、「顧客満足」を本気で考えれば…、となりますが、時代はその先を求めています。単なる「顧客」では括れなくなり、「個客」対応が必要となってきました。お客さまひとりひとり、満足のカタチには違いがあります。そのひとつひとつに応えることが大切です。「それは理想論だ」と思われるでしょうが、限りなく「個客満足」に近づけなければ、勝ち残りは無理です。この個客対応で成功しているお店があります。

・包装紙に、家紋や名刺を印刷してくれる和菓子屋さん
・似顔絵を描いてくれるケーキ屋さん
・古くは、お客さまの足の木型を保管している靴屋さん

このような個客対応ができるかどうかが、小さな会社・商店の将来を左右します。「あの方」に満足していただく、という売り方が、重要なカギを握っています。

2:お客さまが納得すれば、商品の価値は高まる。
  買う基準は、高い、安いではない。

■安くてもいらないモノ、高くても欲しいモノ。

人はなぜ、モノを買うのでしょうか。必要だから? いえいえ、欲しいからです。

モノが溢れている時代で、必要なモノはすでに持っています。次に来るのは、「欲求」でしかありません。好き、嫌い。かわいい、かわいくない。そんな基準で商品を選んでいます。自分の欲求を満足させてくれるものを欲しいと感じるのです。満足できると「納得」したときに、商品の購入を決定します。

その選択には、高い、安いという基準はありません。いらないと思うものは、安くても絶対に買いません。でも、気に入ったものなら、借金をしてでも買おうとします。これが、今のお客さまなのです。

■その価値に満足するから、ブランド品は売れる。

あなたは、ブランド品をお持ちですか。なぜ、買ったのですか。その理由を考えてみましょう。

ブランド品は、厳しい品質管理や高級なイメージづくりによって、高い価格を維持しているからこそ、お客さまは「納得」して購入するのです。「値段が高いから、選ばれた人にしか買えない」という価値を感じている人たちがたくさんいるのです。そんな贅沢品は、ステータスでさえあります。もし、買いやすい価格に下げてしまうと、「価値」を感じなくなり、そのブランドには手を出さなくなります。ブランド品は、高いからこそ、売れるのです。

■心を満たしてくれるから、高くても納得する。

大きな旧家をそのまま利用した中華料理屋があります。予約制で、六千円〜八千円の3コースのみ。

玄関を入ると、すぐに案内の女性が出て来て、まるで高級旅館のような接客で、個室に通されます。お茶が出され、コースの確認、飲み物の注文を聞き、静かに丁寧にさがって行きます。窓からは、手入れの行き届いた大きな庭が見渡せ、実に贅沢な気分になります。適度なタイミングで供される料理は、惜しくも八十点。街中で食べれば、三千円〜四千円くらいでしょうか。

しかし、八千円を払う価値があります。個室、雰囲気、接客。そのすべてにおいて、自分が特別な扱いを受けているような感覚になります。たとえ、料理が八十点でも、その他が百点以上なので、納得できるのです。

■「こだわり」に応えてあげれば、商品は売れる。

今のお客さまは、すべてに「こだわり」を持っています。食品、雑貨、車、家、遊び…。自分のお気に入り、自分らしさを大切に考え、妥協しません。

ならば、売る側にも「こだわり」がなければ、お客さまは見てくれません。昔のように、みんなが持っているモノには、興味を示しません。他には無いモノ、他とは違う売り方をしているモノを提供しなければいけません。それは、ブランド品のような特別な価値かもしれませんし、中華料理屋のような特別なおもてなしかもしれません。

お客さまの「こだわり」を満足させてあげることが、大切なのです。

3:売る相手を間違っていないか?
  年齢、性別、地域を考えた、ターゲットの選択。

■売れないなぁ……そのひとつの理由。

若い女性に買ってほしい。と思っているのに、時々買ってくれるのは、中高年女性ばかり。

ここで、あなたは間違いを犯すのです。若い女性にウケるような言葉やデザインで、チラシをバラまいてしまいます。自分が考えているタ−ゲットに来て欲しいのはわかります。でも、扱っている商品を欲しているのは、中高年女性なのです。ならば、ターゲットを変えなければいけません。

「欲しがっている人に売る」これが、商売の基本です。欲しがるような仕掛けを作るのも商売ですが、欲しがる人に売る方が簡単なのです。

■お店の立地によって、客層は変わる。

お店のファンを作るためには、本当のターゲットがどんな人なのかを正確に読み取る必要があります。

たとえば、フラワーショップ。
・住宅街なら、フラワーアレンジメント、ガーデニング用として、
 20〜60代の主婦。
・ビジネス街なら、オフィスのインテリア、歓送迎会用として、
 それを買いに来る若いOL。
・ネオン街なら、クラブのおねえさんへの下心プレゼント用として、
 中年男性。
・病院近くなら、お見舞い用として、男女、年齢を問わず。

このように、お店の立地によって、客層が変わります。それに合わせて、花の種類や価格帯も当然変えなければいけません。

■同じようで違うターゲット。

ターゲットは主婦だから、昼間の営業でいい。そう思っていませんか。

いまどき、いわゆる主婦という存在はごく少数。正社員やパートで働く主婦の割合は高くなっています。つまり、昼間、買い物をする人は少なくなっているということ。なのに、昼間だけの営業でいいのでしょうか。

スーパーでは、夕方から夜にかけての来店がピークです。ということは、主婦を相手にするお店は、昼間ではなく、夕方からの営業に力を入れるべきなのかもしれません。「専業主婦」ではなく、「仕事を持った主婦」がターゲットなのです。

■ターゲットの間違いは、命取り。

つまり、「売れる場所(ターゲットのいるところ)」で「売れる商品(ターゲットが欲するもの)」を「売れる時間(来店しやすいとき)」に売らなければ、お客さまを集めることはできません。

なにを言いたいのかというと、間違ったターゲットに売ろうとしても、無駄なだけだということです。ネオン街で、鉢植えの花は売れませんよね。商売も適材適所なのです。

「売る場所」「売る相手」「売る商品」をもう一度見直してみてください。場所も商品も簡単には変えられませんから、まずはターゲットの見直しです。女性だと思っていても、本当は男性かもしれませんよ。

4:地域、人びとのお役に立つこと。
  地域に溶け込めば、商売繁盛。

■地域に奉仕する気持ちを忘れず。

「儲かれば、地域のためになにかやりたい」。そう思っている社長、店主は多いと思います。

確かに、儲かっていないのに、奉仕する気にはなりませんよね。でも、逆なんです。地域のためになることを先にやるのです。お金のかかることをする必要はありません。それは、儲かってからのこと。地域の清掃や防犯活動、その他ボランティア、なんでも構いません。役に立つことをやります。

「やっているんだ」と見せるためではなく、社長、店主、従業員の気持ちを育てるためです。「地域を愛する心」を育てるためにするのです。本気で惚れなければ、お役立ち精神は身につきませんから。

■地域の人びとに支持されるために。

地域を愛せば、人びとがあなたの会社、お店に、なにを求めているのかがわかります。

生活に必要なものを揃えること? いいえ、それらは、大きな会社、お店に任せます。品揃えや量では勝てませんから。大きな会社、お店には無い商品、サービスを提供することです。商品、売り方、サービス、接客、雰囲気、人間性……。これらのうちのどれかひとつでも徹底することができれば、地域の人びとに認められ、その噂は広まり、会社、お店の存在価値が保証されます。

ひとつのことができれば、また次のことへと、じっくりと進んでいきます。

■地域、人びとへの心配りが大切。

「馴染み」という言葉を考えてみてください。会社、お店にとっては「お馴染みさん」です。つまり、「常連」「固定客」のこと。会社、お店に「馴染んでいる」という言い方もできます。では、どうして馴染んでいるのか。

それは、自分たちに親切にしてくれ、地域にとけ込んでいるからです。たとえば、雨や雪に濡れて入って来たお客さまに、乾いたタオルや温風機を用意すれば、その心配りに感謝していただけます。そんなとき、お客さまは親しみを感じ、馴染んでいただけるのです。また、地域のさまざまな活動に参加していれば、「顔馴染み」にもなり、地域に受け入れてもらえます。

地域、人びとのことをつねに考えていることが大切なのです。

■いまこそ生きる、ご用聞き精神。

「なにかご用はございませんか」。昔の商売では当たり前の方法でした。

ご用聞きという存在は、いろんな頼まれごとやお手伝いもして、みんなに愛されていました。心が失われた現代だからこそ、このご用聞きが生きてくるのです。注文を取りに行け、と言っているのではありません。売ったら終わり、ではなく、アフターサービス、フォローアップで、ご用聞き精神を発揮します。初めてのお客さまには、顧客カードを作ったり、売ったモノの不備はないかと電話をしたり、ときにはご機嫌伺いをしたりすることが大切なのです。

誠心誠意尽くすことで、地域、人びとに愛される存在へとなっていくのです。

5:『らしさ』の無いお店は、お客さまに敬遠される。
  奇をてらわない、安心できる店がまえを。

■業種『らしい』お店に、お客さまは安心する。

カフェのようなラーメン屋、バーのようなお好み焼き屋、ブティックのような米屋……。

誰が行きたいと思うでしょうか? 話題にはなっても、リピーターはいません。でも、実際にこういうお店は存在します。店主が、本や雑誌、はたまた、どこかのお店を気に入って、外観、内装を「らしくない」お店にしてしまったのです。見ためは美しいかもしれません。しかし、お客さまは「なんだか入りづらい」のです。違和感。つまり、落ち着かないのです。お店には、業種によって、『らしさ』があります。お洒落なラーメン屋は、マズそうです。バーでは、ワイワイ騒げません。ブティックの米屋は、高そうです。

入りやすい外観、内装。すなわち『らしさ』が、お客さまを安心させるのです。

■店主、店員にも、『らしさ』が必要。

寿司屋の大将が、洋食シェフの格好をしていては、変ですよね。

やはり、粋な鉢巻き姿をしていて欲しいものです。ブティックの店主が、ダサいファッションでは……。宝飾店なら、信頼できる「見ため」。しかし、個人商店主には、これを忘れている方がたくさんいます。接客にしてもそうです。お寿司屋に入ったのに、暗い声で「いらっしゃいませ〜」と言われたら、それだけで食欲がなくなります。明るく元気な仏壇屋では、困りますよね。やはり、『それらしさ』が必要なのです。

ときには、期待を裏切る「驚き」は効果的なのですが、まずは、第一印象で敬遠されるような店づくりは、やめた方がいいでしょう。

■奇をてらうと、長続きしない。

デザイナーズレストラン、マンションが、一時ブームとなりました。有名デザイナーが手がけた、実にお洒落な空間に、流行に敏感な人たちがたくさん押し寄せました。

しかし、所詮流行。すぐに飽きられてしまい、消えていきました。マンションは、売ってしまえば終わりかもしれませんが、レストランはそうはいきません。長く商売を続けられなければ、いくらお金をかけたって、失敗なのです。そんなお店は、見ためばかりを重視して、お客さまの「安心感」、つまり『らしさ』を忘れていたのです。

デザイナーの独りよがり、オーナーの自己満足でしかなかったのです。

■『らしさ』の中で、差別化を図る。

『らしさ』を追求すると、他店と同じようなお店になるのでは?

そこで大切なのが、「こだわり」です。あなたにも「理想のお店」があるはずです。どれだけ理想に近づくことができるのか、を追求しているかどうか。「まぁ、いいか」「こんなものだろう」という、中途半端な気持ちで店づくりを考えている人が、いかに多いことか。暖簾、看板はもとより、インテリア、小物にいたるまで、妥協せずに、絶えず「こだわり」を持ち続けること。これが、他店との差別化になるのです。

業種『らしさ』の中で、「こだわり」を追求していくと、それが、あなたの『お店らしさ』へと変わっていくのです。

6:ターゲットの価値観、スタイルを読む。
  固定観念を捨て、冷静な眼で。

■消費者心理を知ることから。

あんなお店にしたい。こんな人に来てほしい。ビジョンを持つことは大切ですが、お客さまのことをもっと勉強しなければいけません。

ビジョンが時代に合っていないかもしれません。ターゲットが間違っているかも。長年営んでいる商店主ほど、「経験でわかる」と言って、勉強を怠ります。その固定観念を捨てなければ、これからを生き抜くことは不可能です。

時代はめまぐるしく移り変わり、人びとの価値観もすぐに変化します。その中で、お店のあるべき姿、めざす方向をしっかりとつかむためには、消費者であるお客さまの心理を読み取る勉強が不可欠です。

■なにをどう売りたいのかを明確に。

「コンセプトショップ」という言葉を聞いたことはありませんか。ターゲットも品揃えも、伝えたいことも、ハッキリとした主張のあるお店。つまり、テーマを持ったお店のことです。企業がメッセージを流すためのお店、とも言えます。

この考え方は、個人商店でも必要なことです。いま、若い女性の間でこんなことが流行っているから、品揃えはこうだ。では、ダメなのです。まったく新しいスタイルを提案するくらいの気持ちで、消費者心理の分析から得たデータをもとに、『この商品を、こう使ってほしい』という、明確なイメージで訴えることが大切です。

私のお店は「こうだ!」という主張が必要なのです。

■一点集中で売り込む。

商店主に限らず、大手企業でもやってしまうことですが、ターゲットが曖昧なために、誰からも支持されないということがあります。

「欲」です。できることなら、いろんな人に買ってもらいたい。これが、失敗のもとなのです。焦点がぼやけてしまい、誰に、なにを言いたいのかが、伝わらなくなるのです。お客さまにとっては、「私には関係ないわ」となります。

『あの人に売り込む』というくらいに、ひとりをイメージして訴求することが大切です。すると、不思議なことに、ターゲット以外からも注目されるようになるのです。

■年代で消費者を分類しない。

中高年だから、若いから、などという時代ではありません。人それぞれに、好みのモノ、スタイルがあり、年代で分けると、とんでもない間違いを犯します。

30〜40代の女性を見ると、年相応という言葉では表せないファッションをしていることがあります。ティーン向け雑誌で見るような「かわいい格好」で歩いているのをよく見かけます。はたまた、小中学生向けの雑誌を見ると、高校生以上が着るような服や化粧品まで紹介されており、おまけに、それらの商品を「通販」で買えるのです。小学生だからという意識で見ていると、まったく時代遅れな品揃えをしてしまいます。驚くことに、そんな雑誌を見て、真似するお母さんもいたりします。

このように、年代で消費者をくくることなど、できないのです。価値観、スタイルを勉強することが必要な時代だと言えます。

7:「カリスマ性」で、店主、店員を売る時代。
  商品が売れるのではなく、人が売れるのです。

■商品を売る時代は終わった。

「こんなものは、見たことがない」という新商品が出てくる時代ではありません。開発することも探し出すことも難しくなりました。モノが溢れていますから。

では、お客さまはなにを望んでいるのでしょうか。商品は、どこのお店も同じようなものばかりです。それほど差はありません。ならば、どうして、売れるお店と売れないお店があるのでしょう。お客さまが望んでいるのは、商品ではない、ということです。

『付加価値』ここに、秘密があります。商品そのものの価値ではなく、そこに付加された、イメージやサービス、売り方によって、差がついてしまうのです。

■カギを握るのは「人」。

その商品を買ったお客さまの生活がどう変わるのか。買うことによるメリットはなにか。これらを強く訴えることが、『付加価値』を高めることにつながるのです。

訴えるのは、店主、店員です。つまり、「人」が一番肝心なのです。店主、店員が、ウマく伝えることができるかどうかにかかってきます。伝えることができなければ、他店には勝てません。基本の商品力には差がありませんから。

そのためには、商品の熟知はもちろんのこと、話術、心理学も勉強する必要があります。と言うと、難しいですね。話術は「人との接し方」、心理学は「人を想う心」と言い換えれば、ちょっと気が楽かもしれません。こうしたことは、経験からも生まれますが、大切なのは「気配り」です。

■気配りのできる人が、「カリスマ」になれる。

カリスマ美容師、カリスマ店員、カリスマ教師……。そんな人たちは、特別な技術を持った人間のように思われますが、実は違います。

技術を持った人は、他にもたくさんいます。しかし、カリスマが注目されるのには、別の理由があります。それは、人間性そのものです。気配りのできる、繊細な人たちなのです。

お客さまを気持ちよくさせる。お客さまが得をしたように感じさせる。子どもたちをやる気にさせる。そのための気配りができる人なのです。どういう言葉を遣い、どういう質問をして、どう答えれば、お客さまに喜んでいただけるのかを知っています。それが、「カリスマ」なのです。

■「カリスマ」には、宗教的引力がある。

宗教。それは、たくさんの人びとの心のよりどころです。絶対的信頼感を持ち、疑うことをしません。

「カリスマ」と呼ばれる人たちは、それと似たところがあります。その人が言うことは、すべて正しく、その人が奨めるものは、なんでも買ってしまう。信頼しているので、お客さまは「満足」します。こう書くと、怪しい感じがしますが、「カリスマ」には、それほどの「力」があるということです。

商売をする上では、「カリスマ」をめざすべきです。つまり、「商品知識」「人との接し方」「人を想う心」に優れた人間になれ、ということです。「カリスマ」には、たくさんの信者が集まってきます。

8:わがままは聞くな。ご要望には応えよ。
  お客さまのひとことが、ビジネスチャンスに。

■わがままな人は、お客さまではない。

お客さまの中には、わがままな人がいるものです。横柄な態度で、無理難題を言います。「買ってやるんだから…」と。あなたは、我慢しているのですか?「お客さまは大切にしなくちゃ」と思っているのでは?

お客さまは、大切です。しかし、わがままな人は、お客さまではありません。平等である人間同士で、そんな理不尽なことを我慢することはありません。「それでは、商売にならない」と思われるかもしれませんが、そんな人は、お店を愛してくれてはいません。いずれは、来なくなります。

品のある、お店を愛してくださるお客さまだけを相手にしましょう。

■絶対に、わがままは聞かないこと。

食料品を扱うお店なのに、ペットを連れて入ろうとする人がいます。入店をお断りすると、「ペットじゃありません。家族です」これは、明らかにわがままです。断固、入店を拒否しましょう。二度と来なくなるかもしれませんが、それは仕方のないこと。他のお客さまの迷惑になりますから。

車で居酒屋に来て、お酒を注文する人がいます。ほとんどのお店が、見て見ぬ振り。これは、絶対にいけません。人の命がかかっています。犯罪に手を貸すのですか。「大丈夫!責任は自分で取るから」という、わがままは許されません。お客さまを送迎したり、運転代行を頼めるシステムを作っておくことが必要です。

一部の人のわがままを聞かないことが、他のお客さまからの信頼につながります。

■「○○だったら、いいのに」を聞き逃さない。

百貨店やスーパーに、小さなパックの惣菜を見かけるようになりました。これは、単身者や高齢者の「少しでいいのに」という、ご要望を聞き入れたためです。

高齢者の「たくさんのお米は、なかなか食べきれない」という、ご要望を聞き、1kg、2kg単位での配達をしている米屋があります。また、その都度少量を精米して、販売してくれる米屋も。これも「美味しいお米が食べたい」という、お客さまのご要望です。

ご要望を「なんて面倒なことを」と、お客さまのわがままだと思っている店主がいます。商売人の資格はありません。わがままとご要望を、きちんと聞き分けることが大切なのです。

■商売人の心意気を思い出せ。

昔の八百屋、肉屋、魚屋などには、商売人の心意気がありました。

お客さまが「これ、半分だけでいいんだけど」と言うと、「あいよ、半分だね」と言って、快く包んでくれました。「○○はないの?」と聞くと、「悪いねぇ、今度仕入れとくよ」と謝り、すぐに仕入れて、そのお客さまが来たときには「奥さん、○○入ったよ」と、教えてくれます。つねに、こんなやりとりがあり、要望を聞いてくれていました。その代わり、「奥さん、○○安くしとくから、買わないかい」ということもあり、いつも要望を聞いてもらっているお客さまとしては、「買ってあげよう」となるのです。

これが、お客さまとお店の本来あるべき姿なのです。こんなやりとりをしろ、と言っているわけではありません。お客さまの「ひとこと」をしっかりと聞いてほしいのです。

9:忙しいフリで、入りやすさを演出。
  暇なお店に、人は近寄らない。

■不況が不況を呼ぶ。

売れないなぁ。不景気だ。暇だぁ。そう思っていると、本当にそうなります。いまの世の中と同じ。不況だ、不況だと誰かが言っていると、みんながそう思ってしまい、「買うのをやめよう」「お金を使わないでおこう」となり、悪循環で、さらに不況となります。

誰かが、「景気がよくなってきたぞ」と言えば、「そうかもしれない」となり、やがて、みんながお金を遣うようになるのです。人の心理とは、そんなものです。まわりに流されやすいのです。ならば、誰かが仕掛ければいいのです。景気のいいフリをすればいいのです。

会社やお店でも、「売れないなぁ」をやめて、「儲かってるよ!」と言いましょう。すると、まわりが動き出します。

■繁盛を演出して、繁盛へと導く。

ディスコ全盛の頃。あるお店では、店内は空いているのに、わざと入口にお客さまを待たせ、「人気がある」というように、見せていました。ラーメンチェーンでは、新規オープンのときには、行列ができるように、「さくら」のアルバイトを雇っていました。また、通販会社の電話受付のBGMには、オペレーターとお客さまとの会話を想定した声を流していました。

あなたは、これらをどう捉えますか。「それじゃ、詐欺じゃないか」と思いますか。しかし、そのお店が、本当に繁盛するほどの、優れた商品、サービスを提供しているとしたら……。

これは、優れた演出法だとは言えませんか。「本物」を提供しているなら、多少の「演出」は許されるのではないかと思います。「人気があるんだ」ということで、お客さまは『安心』するのです。

■暇そうなお店には、入りたくない。

あなたが街を歩いているとき、ふと気になったお店があるとします。しかし、店頭には、暇そうな店員が、お店の外をボーッと眺めて、立っています。あなたは、入りますか。

入りませんよね。いや、入れませんよね。店員が近づいてきて、あれこれ話しかけられるかもしれませんし、商品のひとつひとつを説明されるかもしれません。買わされるかも。そう思うと、絶対に入れないのが、普通の人間です。それでも、こんなお店はたくさんあります。お客さまの「入りやすさ」など、まったく考えていません。お客さまに隙があれば、「売り込んでやろう」という感じさえします。

暇そうな店員が、お客さまにとって、赤信号になっているのです。これは、近づいてはいけないお店だ、と。

■暇だったら、忙しいフリをする。

入りやすいお店とは、「店員が必要以上に接客をしない」「まわりの眼を気にせず、じっくり商品を見ることができる」「店内の様子が外からわかる」などがめやすとなります。つまり、自分のペースで、ゆっくり買い物が楽しめる空間があるかどうかです。

そのための大切な要素として、店員の存在があります。声をかけられなくても、じっと立っていられると、気になります。見られているようで。

では、どうするのか。暇そうにしなければいいのです。忙しいフリをします。商品の整理をしたり、レジまわりで別の仕事をしたり、お客さまにとって、気にならない存在となればいいのです。これもひとつの演出です。お客さまが購入を決定したときに、声をかけやすい場所にいればいいのです。

行列のさくらも、BGMも、忙しいフリも、お客さまの『安心』につながることです。

10:クレームでファンを創る……
   納得いくまで、話していただくこと。

■クレームのないお店は危険。

「うちはあまりクレームがないから……」そう思って、安心しているあなた。非常に危険です。たえず、お客さまの気持ちになって、商品のこと、サービスのことを考えている自信があるなら、なにも言いません。しかし、儲かっていますか?儲かっていないなら、クレームがない理由を考えてみましょう。

クレームは、お店に対するお客さまの「期待」の表れです。「期待」があったからこそ、少しでも不満があれば、クレームをつけるのです。クレームをつけないお客さまは、あなたのお店を「どうでもいい存在」だと思っているのです。もう二度と行かない。それで、終わりです。また、もうひとつの理由として、ご近所だからクレームをつけにくい、という場合もあります。言えないだけです。これもお店を利用しなくなる原因となります。

つまり、クレームをつけやすいお店になることです。もちろん、クレームの出ないようなお店になることが理想ですが。

■謝罪することから始まる。

では、クレームをつけやすいお店とは?それは、誠意を持って対処してくれるお店です。

まず、クレームが出たら、すぐに謝罪すること。たとえ、お客さま側に問題があったとしても、お詫びの言葉を口にすることです。お客さまは、それを待っています。謝罪することで、お客さまは自分の主張が通ったと、ひと安心するのです。それから、詳しいことをお聞きします。そこでは、決して反論しないこと。お客さまの怒りを増幅することになります。

とにかく謝り続けることです。すると、序々にお客さまの気持ちも和らぎ、穏やかな口調へと変わっていきます。そこで初めて、お店としての対応をお伝えするのです。ここが、スタートラインです。お客さまを失うか。ファンになっていただくか。

■クレームはデータ化すると、財産になる。

店員にクレームをつけても、店主に伝わらない。同じ間違いを繰り返す。これは、お客さまからのクレーム(声)を記録していないからです。

どんなお客さまから、どんなクレームがあり、どんな対処をしたかをデータとして残しておき、それを、お店に関係する全員が知っておくことが大切です。お客さまに対応した店員ひとりが知っているだけでは、別の店員が、また同じ間違いをしてしまうこともあります。また、店員が店主に報告していなければ、お客さまに謝ることさえできずに、お客さまからの信頼をも失ってしまいます。

すべてデータ化することです。お店の全員が、同じ意識を持つためにも、必ずやりましょう。アルバイトやパートだから知らなくていい、というのは、お店の身勝手です。お客さまにとっては、みんなお店の人です。

■言いたいことをすべて話していただく。

クレームをお聞きするときに大切なことは、お客さまの言いたいことをすべて話していただくことです。追究するように、根ほり葉ほり聞き出すのではなく、相づちを打ち、しっかりとお聞きすることです。

人は悩みがあると、家族や友だちに聞いてもらうだけで、スッキリすることがあります。クレームも、ほとんどの場合、これと同じです。お客さまは、言いたいことをすべて言えば、落ち着くのです。熱心に聞いてもらえれば、それだけでも納得できるのです。そこから先は、「お客さまの満足」を考えて、対処すること。

ここで、お店のファンが誕生します。「このお店なら、なにかあってもきちんと対処してくれる」そんな安心感、信頼感で、またご利用いただけます。

#創作大賞2024

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