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家づくりの予算について

建物には、カタログや見本がありません。この家が○○円で買えます、という文化がないのです。
それをファストファッションのように規格化し、大量生産することで「カタログの家が低予算で建てられます、○○円で買えます」という文化にしてしまったのがハウスメーカーなのです。そしてそこではある程度の妥協や我慢を強いられることも少なくありません。

建物は基本的に、その土地の条件、クライアントの要望や予算に合わせて特注で計画してつくるもの。だから同じ値段や建物になるはずがないのです。快適な住まいをデザインしながら、予算と要望を綱引きしていく、そんな地道な作業が続くので、計画途中に見積もりを取ると、予算をオーバーすることも少なくありません。クライアントからは「初めから予算を伝えていたのに何で予算オーバーするんだ」と怒られることも少なくありません。

そんな時前職のボスがラーメンに例えて良く言っていたことがあります。

僕たち建築家は、お客さんの食べたいラーメンを特注でつくります。だから要望があれば、チャーシューも何枚でも入れる。でも800円しかない人に大盛のチャーシュー麺は出せない。でもはじめから「あなたは800円しかないからチャーシュー麺は無理です」っていうのも違う。スープから麺から、つくり方から工夫して何とか希望を叶えたい。だからその過程で予算オーバーすることだってあるわけです。その過程や状況を理解し、ともに頑張ってくれるクライアントは僕たちにエネルギーをくれるし、毎回こちらがびっくりするようないい建築になるような発想をくれます。

予算は無限にあるわけではないし、進めていく中での不安があるのはみんな同じです。それこそ、クライアントの夢と予算を預かる建築家の不安は、言うに及ばずです。だから必死になって、費用を抑えながらどうしたら実現できるかを材料やつくり方から考えています。

そうした姿勢や過程を、理解して一緒になって楽しんでくれるクライアントは出来上がった空間にとても満足して、楽しんで使ってくれています。
何とかしようという熱意と、過程を楽しむ気持ちこそが、建物づくりに最も必要なものなのかもしれません。

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