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感染症テキスト

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2つの微生物学的感染症診断~感染症診療の基本的な考え方~その9

2つの微生物学的感染症診断~感染症診療の基本的な考え方~その9

こんにちは

今回も引き続き感染症診断~微生物学的診断~のお話です。

まずは、下記スライドをご参照ください。

眼の前の患者さんが、何らかの感染症に罹患されていることを想像してください。

さて、患者さんに感染している微生物~確認できますか?

多くの、というかほとんどのヒトに感染可能な微生物は、目てみて・手で触れることが可能な具体的な存在とは捉えにくいものです。

例外的に、比較的大きめの微生

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第3の感染症診断~感染防御・免疫力診断~感染症診療の基本的な考え方~その7

第3の感染症診断~感染防御・免疫力診断~感染症診療の基本的な考え方~その7

みなさまこんにちは。
本日は、引き続き感染症診断のお話の続きです。

本ノート記事は、世界初公開の内容です~著者自信も改善の余地があるものと考えていますので、読者の皆様もお読みになり、自分なりに考えてみていただければと思います。

それではまいります。

これまで、2つの感染症診断
・臓器・解剖学的診断
・微生物学的診断
についてお話いたしました。

そして、これら2つ感染症診断は、相互に強く影響

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なぜ感染症診断を2つに分割して認識するのか?~感染症診療の基本的な考え方~その6

なぜ感染症診断を2つに分割して認識するのか?~感染症診療の基本的な考え方~その6

今日もご訪問ありがとうございます。

本日は、現実世界から少し距離を置いて、2つの感染症診断の思考実験をしてみたいと思います。

予めお断りしておきますが、本ノート記事はあくまでも、仮想世界でのお話です。

リアルワールドでの感染症診断は大変複雑な要素が多数あるのは、皆様周知の事実かと思います。

でも、限定された世界での脳内シミュレーションは、2つの感染症診断における相互規制関係を理解するために

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2つの感染症診断~感染症診療の基本的な考え方~その5

2つの感染症診断~感染症診療の基本的な考え方~その5

本日は、冒頭スライドの問題から。

感染症の診断名~と聞いて、読者の皆様はどのようなものを思いつくでしょうか?

まあ、いろいろと診断名があがるのかと想像いたしますが、ご自身で考えられる・想定される限りの「感染症領域の診断名」を上げてみてください!

            ⬇
 
            ⬇

            ⬇

じっくり考えましたか?

それでは、次のスライドをご覧く

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感染症診断に役立つ情報とはどのようなものか?~感染症診療の基本的な考え方~その4

感染症診断に役立つ情報とはどのようなものか?~感染症診療の基本的な考え方~その4

こんにちは
4月も下旬に入り、新しい生活様式にも徐々に順応されつつある状況かと想像いたします。

公立昭和病院 感染症科・感染管理部ノートでは、引き続き感染症診断についてお話を続けてまいります。

まずは、前回(感染症診療の基本的な考え方~その3)の復習事項から

感染症診断では、限定列挙の考え方で、目の前の患者の皆様の鑑別診断をあげていく~できれば少ない選択肢の限定列挙となるように~が重要ポイン

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診断をつけるという行為はどういうことなのか?~感染症診療の基本的な考え方~その3

診断をつけるという行為はどういうことなのか?~感染症診療の基本的な考え方~その3

感染症診療の基本的な考え方の続きです。

今回は感染症診療の重要なポイント~診断~について考えてまいりましょう。

診断をつける~読者の皆様はマジメに考えたことがあるでしょうか?

医療提供者の読者は、おそらく日々特別に考えることもなく、診断をつけるという行為を行って来たのではないかと想像いたします。

「そんなことは無いよ~診断学を十分に学んできたつもりです」

そうですね。
診断学を学ぶことは

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ヒトのイイタイコトはだいたい抽象的なものである

ヒトのイイタイコトはだいたい抽象的なものである

ご無沙汰いたしております。
新年度~2023年4月~を迎えて、皆様はどのような日々を過ぎしているでしょうか?

本ノート筆者は、長い間考える時間をいただくことにより、ようやく自分なりの感染症診療の基本的な考え方を皆様に自信を持って、お伝え可能な時期が訪れました。

先人の積み重ねて来られた臨床感染症学の知見に、私自身のイイタイコト・ツタエタイコトをプラスして、皆様に本ノート記事としてお届けしていこ

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抗菌薬選択を限定するための細菌グルーピング~その②グラム陰性桿菌編

抗菌薬選択を限定するための細菌グルーピング~その②グラム陰性桿菌編

お久しぶりです。

本日は、抗菌薬選択を限定するための細菌グルーピング~その②と題して、グラム陰性桿菌に対する抗菌薬選択の概要をお話させていただきます。

まずは、冒頭のスライド~臨床現場で主に問題となるグラム陰性桿菌は大きく下記①~③の3グループにわけます。
①腸内細菌科グラム陰性桿菌:PEK+PMSECK
②ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌:PAS
③グラム陰性嫌気性菌:BP

それでは、最初にの

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抗菌薬選択を限定するための細菌グルーピング各論その①~グラム陽性球菌編

抗菌薬選択を限定するための細菌グルーピング各論その①~グラム陽性球菌編

本日は、抗菌薬選択のための細菌グルーピングのお話の続きです。

まずは抗菌薬選択が比較的シンプルなグラム陽性球菌から。臨床の現場で、問題となる細菌は、グラム染色の鏡検所見から下記4つにグルーピングされるのでしたね。

まずは抗菌薬選択が比較的シンプルなグラム陽性球菌から。

グラム陽性球菌は、上記スライドのように大きく2つにグループ分けします。

・グラム陽性レンサ球菌

・グラム陽性ブドウ球菌

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抗菌薬選択を限定するための細菌グルーピング

抗菌薬選択を限定するための細菌グルーピング

皆様お久しぶりです。

本日は、抗菌薬選択のための細菌のグループわけのお話です。

はじめにお断りしておきますが、本日の内容は原則から外れるものも少なくないため、実際の臨床現場で抗菌薬を選択する際には、臨床状況に則した判断をお願いいたします。

原因菌種とそれに基づいた適切な抗菌薬選択は複雑に感じる読者の皆様も多いかと想像いたします。

特に、近年は原因菌種と抗菌薬を一対一対応で考えることが大変困

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MIC?の数値から抗菌薬の有効性の判断・投与設計へ~最適治療抗菌薬の選び方④

MIC?の数値から抗菌薬の有効性の判断・投与設計へ~最適治療抗菌薬の選び方④

本日は、最適な抗菌薬選択に関するお話の続きです。

患者さんの検体を細菌検査に提出し、特定の菌種が原因菌(症例由来菌株)が培養される。

培養された原因菌(症例由来菌株)に対して、抗菌薬感受性検査を実施する。

原因菌(症例由来菌株)の特定の薬剤に対する最小発育阻止濃度っぽいもの(いわゆるMICっぽい数値ここでは”MIC?”で表現します)が得られます。

ここまでのMICの数値の意味合いについては

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感染症治療薬選択は微生物学的診断が重要~最適治療抗菌薬の選び方~その②

感染症治療薬選択は微生物学的診断が重要~最適治療抗菌薬の選び方~その②

寒い日々が続きますが、読者の皆様はいかがお過ごしでしょうか?

本日は、最適な感染症治療薬・抗菌薬の選び方の続きをお話しいたします。

適切な感染症診療の基本となるのは、「2つの感染症診断」を可能な限り正しく診断することでした。

2つの感染症診断
・臓器・解剖学的診断
・微生物学的診断

参考:2つの感染症診断≒正しい問題認識
https://note.com/idshowa/n/n7b222

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MIC?(最小発育阻止濃度)の”ような”数値の解釈~あなたはわかりますか?

MIC?(最小発育阻止濃度)の”ような”数値の解釈~あなたはわかりますか?

本日は、菌種同定検査結果に記載がある「薬剤感受性MIC?」のような数字の解釈のお話しです。

冒頭のスライドをご参照ください。

右上に菌種:大腸菌 Escherichia coli

左側に、番号、薬剤名(略号)、MIC?数値が記載されております。

それでは、モンダイ!

一番MICの小さい薬剤はどれですか?回答者「そんなのカンタンじゃん!」

簡単ですか・・・では答えは?

回答者「7 ME

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血液培養は血行性転移を見つけるために実施する

血液培養は血行性転移を見つけるために実施する

本日は「血液培養」のお話です。

読者の皆様もしくは周囲の方々が細菌感染症になられたことがあるでしょうか?

たとえば、細菌性肺炎。

肺に特定の細菌が感染して発症するのですね。

そして、一番頻度の高い細菌性肺炎の原因微生物が「肺炎球菌:Streptococcus pneumoniae(正式な菌種の名前:学名)」です。

2つの診断を確認しましょう。
・臓器・解剖学的診断:肺炎
・微生物学的診断

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