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感染症治療薬選択は微生物学的診断が重要~最適治療抗菌薬の選び方~その②
寒い日々が続きますが、読者の皆様はいかがお過ごしでしょうか?
本日は、最適な感染症治療薬・抗菌薬の選び方の続きをお話しいたします。
適切な感染症診療の基本となるのは、「2つの感染症診断」を可能な限り正しく診断することでした。
2つの感染症診断
・臓器・解剖学的診断
・微生物学的診断
参考:2つの感染症診断≒正しい問題認識
https://note.com/idshowa/n/n7b2220340aa0
では、本日のモンダイです~
感染症治療薬選択において、
・臓器・解剖学的診断
・微生物学的診断
どちらの診断がより重要となるでしょうか?
「どちらも重要でしょ?」
まあその通りですが、なんでも優先順位を付けることは「予想」をする上でも重要なのです。
同時に2つの事柄を考えるよりは、優先順位をつけて、より重要なものから検討していった方が、効率よく診療できることは想像に難くありませんよね?
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こたえ
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こたえ:微生物学的診断
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これは、読者の皆様もそれほど難しくなくこたえられたのではないでしょうか?
目の前の感染症患者さんが、どこの臓器の感染症か不明であっても、「A群溶連菌:Streptococcus pyogenes」が「微生物学的診断≒原因微生物」であると予想もしくは確定していれば、この患者さんはおそらくペニシリン系抗菌薬たとえば「PCG:ペニシリンG」や「ABPC:アンピシリン」、「AMPC:アモキシシリン」などの抗菌薬が有効であることが予想されます。
また、どこの臓器の感染症か不明な場合でも、目の前の患者さんの微生物学的診断が「インフルエンザウイルス」と判明してれば、抗インフルエンザウイルス薬(オセルタミビル、ペラミビル等)が有効な可能性を予想可能となるのです。
でも、目の前の患者さんが、臓器・解剖学的診断が「肺炎」だけれども、微生物学的診断が「予想できない・・・」なんて残念なお医者さんだとどうでしょうか?
微生物学的診断を「予想」できないお医者さんは、有効であるかどうかわからない治療薬を処方する~「賭けの処方」をするしかないのではないかと筆者は想像いたします。
「でも、お医者さんみんなが『感染症診療の専門家』ではないんだから、しょうがないんじゃないの?」と思われる方々もいらっしゃるかもしれませんね。
でも大丈夫!
日本の保険診療のシステムには、「抗菌薬適正使用支援加算」というものがあり、それを算定している病院は以下のことが義務付けられているのです~
他の医療機関から抗菌薬適正使用の推進に関する相談を受ける
ですから、もし地域の診療所や病院に感染症診療の専門家がいなくても、その地域内の「抗菌薬適正使用支援加算」を算定している病院・医療機関の抗菌薬適正使用の専門家に相談することが可能となっているのです。
この「抗菌薬適正使用支援加算」を算定している医療機関は、平成30年6月時点の調査で、既に日本全体の1057もの届出医療機関があるとのことですから、ほぼ日本全国で抗菌薬適正使用に関する相談が可能なシステムが整っていると考えてもよろしいのではないか?と筆者は考えております。
(届出医療機関数:保険局医療課調べ(平成30年7月1日時点)
算定回数:平成30年社会医療診療行為別統計(平成30年6月審査分))
もちろん、公立昭和病院も「抗菌薬適正使用支援加算」を算定しております(本記事執筆時点:2020年1月13日現在)。
公立昭和病院 感染症科・感染管理部では、地域の医療機関の皆様からの「抗菌薬適正使用の推進」に関するご相談を受け付けております。
地域の医療機関の職員の皆様で、「抗菌薬適正使用」に関して、お困りのこと、ご相談等ございましたらぜひ公立昭和病院感染症科・感染管理部職員までご連絡ください。
まとめ
感染症治療薬決定には「微生物学的診断」が重要~
抗菌薬適正使用に関して相談したいときには「抗菌薬適正使用支援加算」を算定している医療機関に相談ができるシステムが日本にはある!
公立昭和病院感染症科・感染管理部では「抗菌薬適正使用の推進」に関する相談を随時受け付けております。ぜひご活用ください。
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