ヒトのイイタイコトはだいたい抽象的なものである
ご無沙汰いたしております。
新年度~2023年4月~を迎えて、皆様はどのような日々を過ぎしているでしょうか?
本ノート筆者は、長い間考える時間をいただくことにより、ようやく自分なりの感染症診療の基本的な考え方を皆様に自信を持って、お伝え可能な時期が訪れました。
先人の積み重ねて来られた臨床感染症学の知見に、私自身のイイタイコト・ツタエタイコトをプラスして、皆様に本ノート記事としてお届けしていこうと思います。
最初に、私の新しい「感染症診療の基本的な考え方」の講義で重要な概念をお伝えするためのお話をさせていただきます。
まずは下記スライドを見てください。
臨床現場では、日々沢山の患者の皆様を診療させていただいております。
その患者様一人ひとりが、「診断」され「治療」へと進んでいくことが、医療現場の日常業務として実施されております。
患者様は、一人ひとりに多様な個性があり、違いがある存在です。
そのため、各患者の皆様を、全て個別化した診療を行えれば、大変理想的なことであると思いますが、残念ながら医師の能力は、一人ひとりの患者の皆様の病態を完全に個別・具体的に捉える程には優秀ではありません(と筆者は想定しています)。
そこで、各患者の皆様を、似たような病態に分類する作業≒診断名をつける作業を行うことで、一般化した対応を行っているのが現実です。
今サラッと、一般化と言いましたが、では個別~具体的なものと一般~抽象的なものというのは、どのような概念でしょうか?
少し説明いたしますね。
最も具体的なものとは、「目で見て、手で触れることができる存在」が読者の皆様にも理解されやすいでしょうか。
それに対して、抽象的なものは、「目で見て、手で触れること」から徐々に遠ざかっていき、ヒトの五感では感じ取れない存在が究極の「抽象的な存在」となるかと筆者は考えております。
具体的なものか?抽象的なものか?の判断は、相対的なものであるともいえます。
例えば、「甘いもの」という概念も、体感したことがある人にとっては、「具体的」に感じるかもしれませんが、これまで一度も「甘いもの」を味わったことがない人には「抽象的」なものに感じるかもしれません。
眼の前にいらっしゃる具体的な患者の皆様を診療させていただき、共通な部分を抽出し、一般化・抽象化した情報(もしくは予め学習していた知識)を医師は記憶し、その抽象化された情報を、新たな患者の皆様に活用していく作業~これこそが診療現場で日々行われている医師の臨床判断のための学習様式であると私は考えております。
下記スライドにまとめます。
ということで、これからしばらくの間、本ノートでは
感染症診療の基本的な考え方
を、改めてお伝えしてまいりたいと思います。
その際に、重要な抽象的なキーワードは以下の2つです。
限定列挙と相互規制~この2つの抽象的な概念を、感染症診療の基本的な考え方に組み込むことで、読者の皆様の「感染症診療の質の向上」につながれば、患者の皆様に役立つものとなるのではないか~と淡い期待を抱いております。
そして、この抽象的な考え方を、言葉を尽くした説明をすることで、読者の皆様に感染症診療の基本的な考え方が
「わかった!!」
と納得していただくことを目標に執筆してまいります。
それでは皆様、一緒に感染症診療の基本的な考え方を勉強していきましょう!
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